GODZILLA/怪獣惑星(第1章) RE-2844

作品紹介

公開年月  2017/11/17
ジャンル  SF/アクション
原作  なし
監督  静野孔文、瀬下寛之
脚本  虚淵玄、村井さだゆき、ほか
製作  吉澤隆
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

20世紀末の地球に巨大生物“怪獣”が次々と現れ、それらを駆逐する“ゴジラ”が出現し、戦いに敗れた人類は地球外惑星への移民計画を実行に移す。
それから20年後、たどり着いた惑星は人間が生存可能な惑星ではなく、ゴジラに両親を殺された青年ハルオ・サカキは地球へ舵を切る事に。
しかし、地球はすでに2万年の歳月が経過し、惑星はゴジラを頂点とした未知の生態系に変貌していたのだった。

登場人物&出演者

ハルオ・サカキ(声:宮野真守)
主人公。大尉。幼少時、地球を脱出する直前で突然出現したゴジラにより両親が殺された。
宮野真守は代表作に『テイルズ・オブ・ヴェスペリア/The First Strike』、『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』などがあります。
移民の為に来た惑星が人類に適さないと計画中止を強行するが、説得されて監禁される。
メトフィエフの策略で保釈されて、ゴジラを倒すべく地球降下に参加する事になる。
リーランドが殉職し、メトフィエフにより指揮官に任命され、みんな特攻作戦を敢行させる。
最後はゴジラ・フィリウスを殺すが、ゴジラ・アースの出現で部隊が襲われて吹き飛ばれた。

ユウコ・タニ(声:花澤香菜)
ヒロイン。アラトラム号で生まれた日本人女性。ハルオの幼馴染みだが「先輩」と呼ぶ。
花澤香菜は代表作に『センコロール』、『アラーニェの虫籠』などがあります。
ハルオが未知の惑星への移民を止めたが、祖父ダイチが彼を説得して向かうも失敗した。
元々はパワードスーツ部隊の隊員で、地球降下ではハルオのお目付役を任される。
ゴジラ・フィリウスとの戦闘ではパワードスーツに乗り、EMPプローブスピアを打ち込んだ。
最後はゴジラ・アースの出現で部隊が散開してしまい、逃げられたのか不明のまま。

マーティン・ラッザリ(声:杉田智和)
環境生物学者。イタリア系アメリカ人。地球降下に参加して地表の調査をリーランドに依頼。
杉田智和は代表作に『劇場版アクエリオン』、『劇場版七つの大罪/天空の囚われ人』がある。
第2部隊を率いて調査していると、植物や動物がゴジラの影響を受けている事を突き止める。
現在の地球はゴジラを頂点に環境が大きく影響を受けていて、以前とは別世界だと宣言した。
ゴジラ・フィリウスが22年前とは別個体だと推測し、ゴジラ・アースの存在を割り出した。
最後はゴジラ・アースの出現を見て、あの圧倒的な巨大さこそが最も自然な流れだと言った。

アダム・ビンテバルト(声:梶裕貴)
揚陸艇とホバーの操縦士。ハルオを尊敬していて、彼の立てた戦術の為なら命をかける。
梶裕貴は代表作に『劇場版イナズマイレブン/最強軍団オーガ襲来』、『劇場版七つの大罪/天空の囚われ人』などがあります。
地球降下ではゴジラ・フィリウスの戦闘で陽動を行うはずが、時間短縮で作戦が変更される。
揚陸艇を使ってゴジラ・フィリウスをトラップの場所まで誘導するべく爆撃をした。
最後はゴジラ・アースの出現で部隊は散開してしまい、逃げ延びたのか分からないまま。

エリオット・リーランド(声:小野大輔)
地球降下部隊司令官に任命された。イギリス人。野心家でアラトラム号の権力を狙う。
小野大輔は代表作に『天上人とアクト人最後の戦い』、『えいがのおそ松さん』があります。
戦場では慎重さを第一に考えていて、部隊が小型の突然変異種で被害を受けて撤退をする。
その際にゴジラ・フィリウスの出現場所を通過しなければならず、結果的に戦う事になる。
最後はゴジラの弱点を探るべく一人で多脚戦車で攻撃し、反撃の熱線を受けて死亡した。

ウンベルト・モーリ(声:堀内賢雄)
アラトラム号の船長。中央委員会のメンバー。あくまで船内の人間を第一に考えている。
堀内賢雄は代表作に『アモン・サーガ』、『薄墨桜/GARO』などがあります。
危険をなるべく避けて、船内にいる4000人の同朋が生き延びる事だけを考えている。
その為にハルオの過激的な考え方に賛同せず、あくまで移民計画にすべてを賭けていた。
最後は移民計画が中止になり地球に戻ると、メトフィエフの策略でハルオの作戦を承認した。

ガルグ(声:諏訪部順一)
異星人「ビルサルド」の技術士官。かつては地球連合軍戦略技術研究所でメカゴジラを設計。
諏訪部順一は代表作に『劇場版テニスの王子様』シリーズ、『劇場版黒執事/Book of the Atlantic』などがあります。
メトフィエフとは旧知の仲であり、彼と同様に中央委員会のメンバーに辟易している。
ハルオの描いた対ゴジラ戦術に一目を置いていて、科学的な裏付けを行っていた。
地球降下に参加して、ゴジラ・フィリウスとの戦いでは電磁バルス増幅器官の攻撃を担当。
最後は出現したゴジラ・アースの攻撃を食らいながらも、なんとか退避しようとした。

メトフィエフ(声:櫻井孝宏)
異星人「エクシフ」の軍属神官。族長に代わって教団を運営して人類に教えを説いている。
櫻井孝宏は代表作に『デジモンアドベンチャー/ぼくらのウォーゲーム!』、『えいがのおそ松さん』などがあります。
到着した惑星が人類に適さないと反対していたハルオに一目を置き、彼の状態を診察する。
中央委員会のメンバーでありながら、保身ばかりを考えている他のメンバーに辟易している。
地球降下に参加してハルオの作戦を信頼し、彼の持つ献身的な姿に教義を重ねていた。
最後はようやく姿を現したゴジラ・アースを見て、22年ぶりの再会に想いを馳せていた。

感想

個人的な評価

本作は『ゴジラ』シリーズにおける第30作目であり、初の長編アニメーション映画作品となっています。
三部作構成として企画がスタートし、本作はその1作目として公開されています。
『シン・ゴジラ』は世界的に大ヒットしており、その流れに乗って三部作構成でアニメーション映画という大冒険に出た作品。
しかも、内容は人類が戦いに負けて地球を去っていくが、結局戻ってゴジラを倒すという回りくどい展開となります。
従来の『ゴジラ』は突然出現して街を破壊するが、同時に出現した怪獣を倒して立ち去るパターンが王道でした。
本作では王道をすべて捨て去り、思い切ったハードSFのテイストを取り込んでいます。
そうなれば、今までのゴジラファンは戸惑うだろうし、話しの半分以上は意味不明な専門用語で理解できない。
本作は典型的なハードSFという印象があって、そこに異物であるゴジラがポツンと立っているような印象がありました。
つまり、あれだけ専門用語でお膳立てしていたのに、結局はゴジラの攻撃ですべてを無に帰すというギャグにも見える展開に思えた。
地球人だけじゃなく、都合良くやって来た二つの異星人たちと知識を結集して、ゴジラに再戦して勝利を得る。
ただし、それは人類を追い出したゴジラじゃなく、別に生まれたゴジラという衝撃の展開。
子ゴジラが倒されると、本家本元が圧倒的な存在で出てきて、もはや脅威には見えない人類をあっさりと倒していく。
あまりにも戦闘のバランスが悪すぎて、ゴジラシリーズで得られるようなワクワク感がまったくなかったです。
やはり、どうしても原案と脚本に虚淵玄の存在が強すぎて、序盤と終盤でのバランスの悪さが目立ちました。
どう見ても前半に力を入れて、後半は適当に流したようにしか感じられなかったです。
それに加え、主人公であるハルオ・サカキは魅力的じゃないし、精神論しか語らない一番危ないタイプの人間を指揮官に据える展開もビックリです。
最初から帰る気がないし、道連れでもゴジラを殺したいヤツを指揮官に置くのは愚策中の愚策にしか思えなかった。
当然のように多くの兵士が死んでいくが、なぜか主人公だけは至近距離でゴジラに近づいたのにかすり傷一つも負わないという主人公補正には笑いました。
人類が太刀打ちできなかったゴジラをあっさり殺したので、あれだけ時間をかけてゴジラの脅威を説明した意味がなくなった。
そこに真打ちが登場して主人公たちをなぎ払う展開もなんだか違うような気がしました。
本作はハードSF好きには面白い作品だろうけど、従来のゴジラファンのほとんどは納得できない内容だったと思います。
最も致命的なのは人類側に誰一人として魅力的なキャラクターがおらず、ゴジラに殺されても同情もできない点だろうと感じました。
虚淵玄はハードSFに力を入れすぎて、肝心のエンターテイメント性を取り入れる事を忘れてしまったと思うしかない作品でした。