王朝の陰謀/闇の四天王と黄金のドラゴン RE-3089

作品紹介

公開年月  2019/01/19
ジャンル  アドベンチャー/アクション/ファンタジー
原作  ロバート・ファン・ヒューリック 『ディー判事』シリーズ
監督  ツイ・ハーク
脚本  ツイ・ハーク、チャン・チアルー
製作  ツイ・ハーク、チェン・クォフー、ほか
製作国  香港、中国
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

国家の危機を救った判事ディーは、皇帝から神剣を授かった。
皇后の則天武后は神剣を奪う為、司法長官ユーチに命じてディーを狙う中、不可解な事件が発生する。
解決策を知る三蔵法師の弟子ユエンツォー大師や医官シャトーとともに、ディーは命を懸けた正義の戦いを挑むのだった。

登場人物&出演者

ディー・レンチェ(演:マーク・チャオ)
主人公。判事。国家を救った功績により皇帝でも諫言を許される「降龍杖」を授けられた。
マーク・チャオは代表作に『モンガに散る』、『ウォリアー・ゲート/時空を超えた騎士』などがあります。
心の奥に潜む邪悪な心のせいで何度か発作を起こし、シャトーの針治療で軽減している。
大理寺卿となっていたが、則天武后の権力欲を予見して「降龍杖」が狙われていると知る。
則天武后の命令に従うも兄弟の絆を優先するユーチが異人組を配下にしていると聞かされる。
最後はユエンツォー大師に協力を求め、封魔族の企みを止めるが、皇后の暴走を予言した。

ユーチ・ジェンジン(演:ウィリアム・フォン)
金吾衛の長。国家を救った功績で金吾衛に出世した。ディーとは兄弟のような絆を持つ。
ウィリアム・フォンは代表作に『太極(TAI CHI)』シリーズ、『おじいちゃんはデブゴン』などがあります。
則天武后から「降龍杖」をディーから奪うように命令され、疑いながらも素直に従った。
異人組を使う事に反対していたが、実はディーにすべて話し則天武后の凶行を警告していた。
ディーから「降龍杖」の居場所を教えられ、ヨウミンバーダオに襲われる返り討ちにした。
最後はディーの作戦で封魔族を迎撃して、その仲間を倒して再び国家を救う事になる。

シャトー・チョン(演:ケニー・リン)
大理寺に所属する医官。牢に囚われていたディーと協力し、助手となって国家を助けた。
ケニー・リンは代表作に『グレートウォール』、『修羅の剣士』などがあります。
功績から正式な医官となっていて、事件が起きるとディーの助手として一緒に現場検証する。
普段から発作を起こしているディーの主治医として針治療して、彼の病気を心配していた。
ディーからシュイユエの監視を利用するように言われ、結果的に友情を築く事となった。
最後は封魔族を大理寺で対決し「降龍杖」を奪われないようにするも結局は奪われてしまう。

シュイユエ/水月(演:マー・スーチュン)
「降龍杖」を奪うべく結成した「異人組」の術師。薊山符隠派という影に隠れる術を持つ。
マー・スーチュンは代表作に『ひだりみみ』、『タイム・レイダーズ』などがあります。
皇后やユーチの前で術を披露する際には、皇后の影から現れて軽業による奇襲を見せていた。
見た目は術師たちの中で若い娘で、シャトーと同じ里の出から運命的な出会いをする事に。
封魔族の罠で毒を受けるもシャトーに助けられ、友人となってユエンツォー大師の元に行く。
最後は正式に大理寺の者となって、ディーやシャトーとともに唐に仕える剣客となった。

ヨウミンバーダオ/幽冥覇刀(演:サン・ジャオロン)
「降龍杖」を奪うべく結成した「異人組」の術師。幻刀門という独特な剣の術を使う。
サン・ジャオロンは代表作に『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』、『ゴッド・オブ・ウォー』などがあります。
皇后やユーチの前で術を披露する際には、武術と幻術を組み合わせた演舞を披露している。
見た目は山賊のような荒々しさを出した雰囲気で、計画が失敗しそうになって短気を起こす。
「降龍杖」の在処を遠回しにディーから教えてもらったユーチをずっと付けて狙っていた。
最後は「降龍杖」を力尽くで奪おうとするが、それを手にしたユーチの前に倒された。

ホワフォグイイエ/花火鬼夜(演:タンガド・ボルフー)
「降龍杖」を奪うべく結成した「異人組」の術師。千手門という火花を出して操る術を持つ。
タンガド・ボルフーは本作が長編映画デビュー作となります。
皇后やユーチの前で術を披露する際には、空中に無数の火花でできた梵字を見せていた。
見た目は大きく曲がった猫背で顔が白く深いシワを持つ老婆で、マトモな会話ができない。
実は封魔族の一人であり、黒幕の族長から命令されて暗躍して「降龍杖」を狙っていた。
最後はディーとユーチの罠にかかってしまい、逃げ出そうとするも捕縛されてしまう。

ミャオショウフェイイエ士/妙手飛煙(演:ワン・シチャオ)
「降龍杖」を奪うべく結成した「異人組」の術師。仙器門という道具を出現させる術を持つ。
ワン・シチャオは代表作に『Qing chun xu』などがあります。
皇后やユーチの前で術を披露する際には、離れたところから水を容器に注ぐ仕掛けを見せた。
見た目は若い男性で独特な話し方をしていて、ユーチから「イカサマ」と言われてしまう。
ディーから「降龍杖」と命を奪おうと絵師の自宅に毒を仕込み、最初に姿を現し消えた。
最後はホワンティエン道士が国師として術を見せるが、現れた黄金の龍に食われてしまう。

ホワンティエン/幻天道士(演:チャン・アユエ)
「降龍杖」を奪うべく結成した「異人組」の術師。腕二本を生やして炎を召喚する術を持つ。
チャン・アユエは代表作に『ファイナル・マスター』、『The Hidden Sword』があります。
呼び出されたユーチにより各派の術師を募り、異人組のリーダー的な存在として君臨する。
ディーから「降龍杖」だけを奪う為に皇后に雇われたが、勝手に毒を使って殺そうとした。
陛下や則天武后の前で術を披露するが、別の者が黄金の龍の術を使い行方不明になる。
最後は黒幕である封魔族の存在をばらさない為に口封じとしてあっさりと殺されてしまう。

ユエンツォー大師(演:イーサン・ルアン)
三蔵法師に師事した最後の弟子。過去に三蔵法師の元を訪れたディーと面識を持っている。
イーサン・ルアンは代表作に『モンガに散る』、『シチリアの恋』などがあります。
長らく修行をしていた為にディーが助けを求めるも、代わりに移魂術を破る術を授けた。
封魔族の移魂術は強力だと分かり、ディーから再び協力を要請すシュイユエの頼みを聞く。
最後は大理寺にやって来ると、封魔族の族長に宿る悪の心を浄化して問題は解決した。

封魔族の族長(演:ジア・ウェイ)
長らく歴史から消えた封魔族の族長。瞻波伽という天竺の門派で「移魂」の催眠術を使う。
ジア・ウェイは本作が長編映画デビュー作となります。
一族はかつて中原に移り住んで高祖の天下統一を助けて「封魔族」という名を賜った。
反乱の兆しがあるとして地位や名誉を奪われ、国家に対する憎しみを持っている。
移魂術を使って則天武后を操って異人組を暗躍させ、「降龍杖」を奪おうと企んだ。
最後はディーとユーチたちと大理寺で対決し、ユエンツォー大師に悪の心を浄化された。

則天武后(演:カリーナ・ラウ)
皇后。皇帝から「降龍杖」をディーが授かった事で皇帝に反乱の危険性を強く主張していた。
カリーナ・ラウは代表作に『インファナル・アフェア』シリーズ、『2046』などがあります。
食事の席で食器をひっくり返すほど激昂し、それは単なる嫉妬だという事は明白である。
なんとか「降龍杖」を奪おうとディーとともに国家を救ったユーチに「異人組」を任せる。
実は封魔族の族長に移魂術でずっと操られていて、ディーたちに見破られ助け出される。
最後は移魂術は解かれたが、心の奥に潜む権力欲がディーに見破られ、将来に備えられる。

感想

個人的な評価

本作はロバート・ファン・ヒューリックのベストセラー探偵小説の『ディー判事』シリーズが基になっています。
ツイ・ハーク監督による映画化であるが、シリーズとして三作目となっています。
前作に引き続き若き日のディー判事を演じるのはマーク・チャオだが、三作すべてに出演している則天武后のカリーナ・ラウとなります。
やはり、どうしても一作目でディー判事を演じたアンディ・ラウの印象は強いが、ようやくマーク・チャオも板に付いたと思います。
本シリーズは中国版シャーロック・ホームズと言われているが、三作目の本作はもはやファンタジー映画と言っても過言じゃない。
それぐらい推理とはまったく関係ないファンタジックな演出が多才であり、ツイ・ハーク監督らしくお腹いっぱいになるほどの凝ったシーンがクライマックスで連続していく。
サブタイトルにもある四天王が物語のカギを握っていると思ったら、まさか単なる噛ませ犬だったとは予想外でした。
真の黒幕だとずっと予想していたのに見事な裏切りと、思い切った使い捨てにはツイ・ハーク監督の徹底した演出には頭が下がります。
そんな中で相変わらずカリーナ・ラウが演じる則天武后の権力欲が素直に出ていて、そこに嫉妬も加わった恐ろしい女というイメージがしっかりと描かれている。
更にディー判事だけじゃなく、彼を支える助手とも言えるシャトーのちょっとしたロマンスや兄弟とも言える仲になった金吾衛のユーチとの友情もなかなか上手く描かれています。
本作はとにかくクライマックスにすべてが詰まっていて、ツイ・ハーク監督はそこを魅せたかったのかと思うぐらいに力が入っていました。
元々は実在した人物たちに荒唐無稽なファンタジーを絡めているが、ツイ・ハーク監督は後者の部分を大きく膨らませています。
あくまで方術という「まやかし」を使っているが、映像としては実際にいるような感じにしていて、ゼイタクなCGを惜しげもなく投入しています。
いわゆる「お金アルよ、チャイニーズ・ファンタジー」となっていて、超展開に次ぐ超展開で観ている側を圧倒させていきます。
もはや触れ込みである「中国版シャーロック・ホームズ」を忘れさせるぐらい、クライマックスでのモンスターバトルはいろんな意味で凄まじかったです。
これでツイ・ハーク監督による『判事ディー』シリーズは完結したと思うが、恐らく何かの形でまた作るのではないと考えるのは決して不自然じゃないと思います。