フライング・ギロチン RE-3066

作品紹介

公開年月  2013/12/07
ジャンル  カンフー/アクション
原作  ホー・メンファ 『空飛ぶギロチン』(リメイク)
監督  アンドリュー・ラウ
脚本  オーブリー・ラム、ジョイス・チャン、ほか
製作  ピーター・チャン、ジョージョー・ホイ、ほか
製作国  香港
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

清朝の第5代皇帝の雍正帝は、宮廷内で自分に反目する政敵たちを排除するべく、秘密裏に集めた暗殺部隊“血滴子”を組織する。
総領官は隊員のレイらの革命闘士のリーダーである天狼の暗殺を命じるが、反撃に遭って仲間が捕らわれてしまう。
天狼を追跡していたレイは仲間から尊敬を受ける革命闘士たちを見て、暗殺者として生きる自分に疑問と葛藤を感じて反旗を翻すのだった。

登場人物&出演者

冷/ラン(演:イーサン・ルアン)
暗殺部隊「血滴子」の隊長。漢人。孤児だったが雍正帝に選ばれて乾隆帝の側近になる。
イーサン・ルアンは代表作に『モンガに散る』、『王朝の陰謀/闇の四天王と黄金のドラゴン』などがあります。
小さい頃から乾隆帝の側近として生きていたが、雍正帝の命令で血滴子として生きる事に。
清朝に革命をもたらそうとする天狼を捕まえるが、そこで彼を殺す者だと明言される。
一緒に育ったハイドゥの裏切りで仲間の血滴子が殺されて、天狼の考えに触発されていく。
最後は血滴子としての任務をまっとうするが、王朝の汚点として自身の処刑を望んだ。

穆森/ムーセン(演:リー・ユーチュン)
暗殺部隊「血滴子」の隊員。総領であるゴンアの一人娘。次期総領として期待されている。
リー・ユーチュンは代表作に『孫文の義士団』、『ドラゴンゲート/空飛ぶ剣と幻の秘宝』などがあります。
革命を起こそうとする天狼を追い詰めるが、ギロチンを発動させるも不発に終わってしまう。
その後も総領から指令を受けて天狼を追っていくが、代わりに捕まってしまう事に。
漢人たちから容赦ない拷問を受けるが、血滴子たちのやった真実を知って考えを改めた。
最後はハイドゥが率いる鉄砲隊の前に立ち向かうが、ギロチンも使わずに撃たれて死亡した。

龔額/ゴンア(演:ジミー・ウォング)
暗殺部隊「血滴子」の総領。先帝に血滴子として忠誠を誓う。娘にはあまり期待していない。
ジミー・ウォングは代表作に『片腕必殺剣』、『片腕ドラゴン』などがあります。
天狼を逃してしまった事に叱責するが、反抗的な態度を取ったムーランに厳しい言葉を出す。
ムーランよりもランを信頼していて、彼が自分の息子じゃない事をずっと悔やんでいた。
捕まったムーランが天狼の考えに賛同して裏切ると、一族とともに財産と地位を没収された。
最後は乾隆帝が鉄砲や大砲の近代武器に頼ると分かり、将来がないと知って服毒自殺した。

海都/ハイドゥ(演:ショーン・ユー)
御前侍衛。満州人。孤児だったがランとともに雍正帝に選ばれて乾隆帝の側近となる。
ショーン・ユーは代表作に『インファナル・アフェア』シリーズ、『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』などがあります。
乾隆帝に忠義を尽くす事から側近として残り、兄弟のように育ったランと別の人生を歩む。
清朝に反旗を翻す天狼を追う血滴子の監視として同行するが、彼らから白い目で見られる。
真の目的は清朝の汚点となっている血滴子の殲滅で、兄弟のランに天狼の抹殺を任せた。
最後はランが乾隆帝に諫言するが、なんとか助けようとするも結局は叶う事はなかった。

天狼(演:ホァン・シャオミン)
革命闘士。清朝が漢人を弾圧する圧政に納得できず、反旗を翻して革命を推し進めている。
ホァン・シャオミンは代表作に『イップ・マン/葉問』、『封神伝奇/バトル・オブ・ゴッド』などがあります。
血滴子たちに囲まれても一人で善戦するぐらい強く、捕まっても死に対する恐怖がない。
予言で未来を見通す事ができ、自分を殺す場所と時間、相手を知っていて行動に迷いはない。
多くの漢人たちに慕われるカリスマ的な存在で、ムーランやランもその考えに触発される。
最後はハイドゥ率いる鉄砲隊の前に屈し、自分を殺す相手であるランに首を捧げた。

乾隆帝(演:ウェン・ジャン)
清朝の第6代皇帝。小さい頃からランとハイドゥと育ち、太平の世を実現しようとする。
ウェン・ジャンは代表作に『海洋天堂』、『人魚姫』などがあります。
側近として留まったハイドゥに絶大な信頼を置き、清朝の汚点である血滴子の殲滅を謀る。
欧米諸国が持つ鉄砲や大砲の威力を感じていて、時代遅れな血滴子をゴンアに伝えた。
ハイドゥに鉄砲隊を出させて、天狼とともに血滴子を討ち取るべくランにも任せた。
最後はランから諫言され、太平の世を築く上で汚点であるランの存在を仕方なく消した。

雍正帝(演:アンドリュー・ラウ)
清朝の第5代皇帝。次期皇帝である乾隆帝を守る役としてランとハイドゥを選び出した。
アンドリュー・ラウは代表作に『インファナル・アフェア』シリーズ、『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』などがあります。
頑なな意志のランを血滴子として選び、忠義の強かったハイドゥを乾隆帝の側近にする。

感想

個人的な評価

本作は1975年に公開された『空飛ぶギロチン』のリメイクとなります。
監督には『インファナル・アフェア』シリーズのアンドリュー・ラウ、製作には『孫文の義士団』のピーター・チャンが務めています。
アンドリュー・ラウ監督は演出にこだわった映像が特徴的で、そこに悲哀的なドラマを足していき、あとはちょい役ながら大物として出たがりな人です。
そんな本作でも十二分にアンドリュー・ラウ監督のやりたい事が伝わってきます。
ハッキリ言って、本作はオリジナルである『空飛ぶギロチン』とは題材だけで物語としてはかなり違っています。
そして、冒頭にスタイリッシュさが詰まったアクションシーンは本作の真骨頂であり、あとは下り坂になるだけでした。
原作では70年代らしい分かりやすい展開で、暗殺武器を使う血滴子の存在もまた単純で行動原理が非常に分かりやすかったです。
しかしながら、そこはアンドリュー・ラウ監督は一筋縄ではいかず、なぜか血滴子たちの悲哀を中心に描いています。
ですが、肝心の血滴子は冒頭で個々の紹介しているが、こういう作品では大体の場合は意味を成していません。
本作でも例外に漏れず、結局は主要人物が三人程度であり、あとの血滴子は見分けのつかない頭数だけを揃えているだけでした。
そもそも、血滴子の悲哀を描くにはベースの説明が回想程度で、彼らの絆を感じさせるエピソードがほぼ皆無なのが最大の間違いだと感じました。
血滴子の悲哀を描く為には、彼らの絆を描くべきなのに、映像のスタイリッシュさとテーマの重さを優先して、必要なモノを忘れてしまったように感じた。
あとは圧倒的に構成が退屈であり、冒頭のアクションがピークで、あとは主人公たちが町中をウロウロする映像が延々と続くだけでした。
本作で致命的な失敗として、邦題が『フライング・ギロチン』という物語にほぼ絡んでこないインパクトだけで付けた点だろう。
それならば、原題である『血滴子』を使った方がいいけど、インパクトを選ぶなら『フライング・ギロチン』になってしまう。
やはり、これは原作を観ているならば、本作がどれだけ間違えた演出なのか分かるが、逆にアンドリュー・ラウ監督が好きな人なら楽しめると思います。