バレット TV-56

作品情報

公開年月  2012/11/14
ジャンル  アクション/犯罪
原作  アレクシス・ノラン 『Du Plomb Dans La Tete』
監督  ウォルター・ヒル
脚本  アレクサンドロ・キャモン
製作  アルフレッド・ガフ、アレクサンドラ・ミルチャン、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  テレビ(午後のロードショー)

あらすじ

裏社会で非情な殺し屋として生きてきた元海兵隊員のジミー・ボノモ。
ある時、唯一心を許した相棒のルイスを何者かの陰謀で殺されてしまう。
復讐に燃えるジミーの前に、ワシントン警察のテイラー刑事が現れる。
彼はジミーが殺し屋と知りながらも背後に潜む巨悪を捕まえる為に捜査への協力を要請する。
テイラーの情報なしでは黒幕にたどり着けないと考えたジミーは、仕方なく自分のルールを曲げて協力を決意する。
こうしてジミーは刑事との奇妙なコンビを組み、捜査に乗り出すのだった。

登場人物&出演者

ジミー・ボノモ(演:シルヴェスター・スタローン)
主人公。刑事が大嫌いの殺し屋であり、心を許していた相棒が殺されて復讐に燃える。
シルヴェスター・スタローンは近年の出演作には『ゲットバッカーズ』、『リベンジ・マッチ』、『大脱出』などがあります。
とにかく、刑事が嫌いという設定を守ろうとするスタローンの演技が印象に残った。
いつもは正義の味方で正しい事をやっているスタローンだが、本作では最初から悪役です。
自分のルールにしか従わず、有無を言わさず殺しまくるのはさすが殺し屋というところ。
更に本作では67歳でありながら、凄まじい肉体でアクションをする姿はなかなかでした。

テイラー・クォン(演:サン・カン)
刑事。元相棒を何者かに殺され、ワシントンからやって来る。携帯電話が最大の武器。
サン・カンは数多くのテレビドラマに出演し、映画では『ワイルド・スピード』シリーズが特に有名です。
脇役とも言えない端役のイメージしかないけど、本作はスタローンの相棒として登場する。
確かにテイラー・クォンではちょっと物足りないが、それでも無難に立ち回っています。
典型的な時代遅れのジミーと違い、携帯電話一つでなんでもできる現代的な刑事です。

リサ・ボノモ(演:サラ・シャヒ)
ヒロイン。タトゥーアーティスト。ジミーの事を父親として認識していない。
サラ・シャヒは主にテレビドラマで活躍し、『Lの世界』や『Life 真実へのパズル』が代表作となります。
ロクでもない親父に育てられたが、ちゃんとした常識のある娘として育っている。
役割としては非常に微妙であり、父親と和解するワケでもないが、ジミーの違った一面を演出する為だけにいる感じでした。

キーガン(演:ジェイソン・モモア)
悪役。モレルに雇われている殺し屋。一切躊躇いなく人を殺す。
ジェイソン・モモアはモデルであり、俳優として主にテレビドラマで活躍しています。
悪役側の実行部隊とも言うべき人物で、最後に主人公と対決をしてくれる。
あの危ない目つきは印象的であり、三等分された悪役の中で特に目立っていました。

ロバート・ヌコモ・モレル(演:アドウェール・アキノエ=アグバエ)
悪役。黒幕の政治家。足が悪く杖を使って歩くが、語る時の表情はまさに悪党です。
アドウェール・アキノエ=アグバエは近年の出演作には『ANIIE/アニー』、『ポンペイ』などがあります。
真の黒幕として登場しているが、悪役を三等分にしているせいで今一つでした。

マーカス・バプティスト(演:クリスチャン・スレーター)
悪役。モレルと組んで悪事を働く大物弁護士。調子に乗っていて口達者である。
クリスチャン・スレーターは近年の出演作は『新エクソシスト/悪魔払い』、『アスク・ミー・エニシング/彼女の告白』があります。
三等分された悪役として出演時間は短いが、尋問された時の挑発のセリフは良かった。

感想

個人的な評価
監督は80年代に活躍したウォルター・ヒルが務めているのは大きい。
2002年に監督を務めた『デッドロック』以来、10年ぶりに映画監督として復帰。
本作はもう少し明るい予定だったが、スタローンの意向でダークな世界観を実現してます。
それはウォルター・ヒル監督がヒット作『48時間』シリーズ、『レッドブル』などを手がけた事に由来しています。
とにかく、本作では主人公と相棒の刑事がお互いに認める事なく最後まで突き進みます。
この手の映画というのは、最終的に和解するが、本作はすれ違ったまま終わります。
これはこれで新鮮であるが、本作自体は80年代を彷彿とさせる骨太のアクション映画。
主人公は暴力と殺ししかせず、マトモに話し合う事は一切せずに行動をしている。
その一方で相棒となる刑事は現代的な携帯電話を使い、殺しに対して咎める場面が何度も登場している。
でも、結局は主人公のペースで物語が進んでいて、これはウォルター・ヒル監督が80年代のアクションを再現しているような印象を持った。
スタローンは当然ながら主人公として行動しているが、どうにも深みが感じられない。
娘を登場させて人間味を出そうとしているが、これも中途半端でお気の毒だった。
悪役についても、なぜか三等分してしまっているので、それぞれが薄くなっています。
真の黒幕はあっさりと裏切られ、大物は呆気なく死んで、最後の手駒だった殺し屋も消化不良の死に方となる。
本作はジェイソン・モモアが演じた殺し屋が一番ハマっていただけに、三等分したのは非常にもったいないと感じた。
久々に『エクスペンダブルズ』以外のアクション映画で観たスタローンだが、その肉体だけは年々逞しくなっているのは本当にスゴイ事だと思う。