スティーブ・ジョブズ/2015年版 RE-2276

作品情報

公開年月  2016/02/12
ジャンル  ドラマ/伝記
原作  ウォルター・アイザックソン 『スティーブ・ジョブズ』
監督  ダニー・ボイル
脚本  アーロン・ソーキン
製作  マーク・ゴードン、ガイモン・キャサディ、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1984年、アップル社の新製品発表会の本番40分前。
スティーブ・ジョブズは発表されるMacintoshに「ハロー」と言わせる為に指示を飛ばす。
音声デモと格闘するアンディで直すように脅し、ジョアンナには胸ポケットのある白いシャツを用意するように命じる。
共同設立者のスティーブ・ウォズニアックがAppleⅡチームへの謝辞を求めていた。
そこへアップル社のCEOのスカリーと舞台裏で口論が白熱していく。
その中でスティーブ・ジョブズは娘のリサとの確執が展開されるのだった。

登場人物&出演者

スティーブ・ジョブズ(演:マイケル・ファスベンダー)
主人公。アップル社の共同設立の一人で、世界的に偉大な人物として認められた人物。
マイケル・ファスベンダーは近年の出演作には『X-MEN:アポカリプス』、『マクベス』、『スロウ・ウェスト』があります。
完璧主義者であり、思いつきと閃きを持ち、自分が誰よりも好きだという男を好演している。
普通に考えれば、人間性としては最悪の部類であり、人間関係のトラブルは絶えない。
その原因はスティーブ・ジョブズ自身の性格だと分かるマイケル・ファスベンダーの演技。
スティーブ・ジョブズはマトモな神経じゃないからこそ、世界を変えるだけの力がある。

ジョアンナ・ホフマン(演:ケイト・ウィンスレット)
ヒロイン。ジョブズを長年に渡って支えてきたビジネスパートナーで職場妻のような関係。
ケイト・ウィンスレットは最年少記録となるアカデミー賞に6回もノミネートされる実力者。
気難しく敵を多く作り出すスティーブ・ジョブズをずっと支えてきた有能な部下です。
何より間違った事をしているジョブズに唯一口答えができる対等な人物でもある。
特にジョブズが娘のリサに対する言動に対して、提案する場面が非常に良かったです。

リサ・ブレナン/19歳(演:パーラ・ヘイニー=ジャーディン)
ジョブズの娘。当初は認知されなかったが、彼女はずっと父親だと思っている。
パーラ・ヘイニー=ジャーディンはブラジル出身で、2004年公開の『キル・ビル/Vol.2』でデビューしています。
アップル社を救った『iMac』で登場するが、それまでの確執と最後に和解という難しいところを見事に演じる。
特にジョブズへの怒りを魅せる演技が非常に印象的で、物語の中核とも言えます。

アンディ・ハーツフェルド(演:マイケル・スタールバーグ)
アップル社の技術者。冒頭からジョブズに脅しをかけられ、最後もボロクソに言われる。
マイケル・スタールバーグは様々な作品に出演し、最新作は『トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男』です。
いつも人の良さそうな人物を演じるマイケル・スタールバーグだが、本作でも本領を発揮。
異常なジョブズと違って人間味があって、その対比もなかなか面白いです。

ジョン・スカリー(演:ジェフ・ダニエルズ)
アップル社のCEO。ジョブズを友人として接するも、会社経営には現実的な人物。
ジェフ・ダニエルズは近年の出演作には『オデッセイ』、『帰ってきたMr.ダマー/バカMAX』などがあります。
やはり、ジョブズをクビにした張本人として、彼と口論する場面が印象に残ります。
何より事実をしっかりと伝えている点では大きな役目を果たしている。

スティーブ・ウォズニアック(演:セス・ローゲン)
アップル社の共同設立の一人。ジョブズとは親友だったが、彼の人間性で袂を分かつ。
セス・ローゲンは俳優、コメディアン、映画製作者、脚本家としても活躍している。
本作では登場回数は少ないけど、スティーブ・ジョブズが過去の行いでどのような結果を招いたか演出する上で必要でした。

クリスアン・ブレナン(演:キャサリン・ウォーターストン)
ジョブズの元恋人。二人の間にはリサがいて、娘を使ってジョブズから金を要求する。
キャサリン・ウォーターストンは『ハリー・ポッター』のスピンオフである『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』でヒロインを演じています。
本作では特に扱いが悪かった登場人物であり、ただ単にジョブズから金を巻き上げるだけの印象しかなかった。

感想

個人的な評価
スティーブ・ジョブズは亡くなった今でも人気の高い人物と言えます。
アップル製品を買わない人でも、スティーブ・ジョブズは知っているほどの有名人。
では、実際にどんな人間だったのか、分からない人が多いと思われる。
そこで本作が登場して、スティーブ・ジョブズという人間を魅せてくれています。
スティーブ・ジョブズは偉大な人物であると同時に最低のクソ野郎とも言われている。
本作では特に彼の人間性を追求した作品となっていて、製品の発表前にどんな事が起きていたかみせてくれています。
慌ただしい発表前で様々な人物がスティーブ・ジョブズに接触している様子が分かります。
スティーブ・ジョブズの傍でずっと支えてきたビジネスパートナーのジョアンナ・ホフマンを演じたケイト・ウィンスレットが素晴らしい。
多くの敵を作るスティーブ・ジョブズを見放さず、彼を支えた優秀な人物だと伝わります。
更にアップル社の共同設立の一人で友人だったスティーブ・ウォズニアック、アンディ・ハーツフェルド、ジョン・スカリーとの関係も描かれています。
しかし、その中で本作がテーマにしているスティーブ・ジョブズが父親である点でしょう。
彼がずっと認知しなかった娘のリサに対する言動が一つの物語となっています。
とにかく、スティーブ・ジョブズという人間は非常に難しく、彼は絶対に自分が正しいと思っている人物でもある。
そんな彼が本作で過ちを認める娘との対話は物語を締めるには相応しいモノでした。
世界的に有名な男も、人間としては大きな欠点を持っていて、それまで友人だった人たちが離れていく様子も分かる。
その原因こそが彼自身にあって、非を認める事は一切なく、貫き通す姿勢も描かれている。
確かにスティーブ・ジョブズは天才かもしれないが、人間としてはクソ野郎だと思う。
だからこそ人とは違うアイデアを出せるし、歴史に名を刻むだけの人物だと言える。
個人的にはクライマックスでスティーブ・ジョブズがリサに対して、iPodを彷彿とさせる発言をした場面が一番感動を持ちました。