作品紹介
公開年月 | 2017/07/29 |
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ジャンル | 戦争/ドラマ |
原作 | 『第二次世界大戦・ダンケルク大撤退』(モチーフ) |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 | クリストファー・ノーラン |
製作 | エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン |
製作国 | イギリス、アメリカ、フランス、オランダ |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
1940年のフランス北端の港町ダンケルクでドイツ軍に追いつめられた英仏連合軍40万の兵士たちは絶体絶命の状況を迎えていた。
若き英国兵士トミーが街中を必死で逃げ回り、たどり着いた海岸には多くの兵士たちが救助を待っていた。
ドーバー海峡を挟んだ対岸のイギリスでは民間船を総動員した救出作戦が決行され、ミスター・ドーソンもそれに呼応する。
更に最新鋭戦闘機スピットファイアのパイロット・ファリアも危険を承知で味方の撤退を援護するべくイギリスから飛び立つのだった。
登場人物&出演者
【陸】
・トミー(演:フィン・ホワイトヘッド)
主人公。英国陸軍二等兵。海岸線の近くで部隊が全滅し、一人だけなんとかたどり着く。
フィン・ホワイトヘッドは代表作に『The Children Act』、『Caravan』などがあります。
居場所がなくさまよっていると、死んだ英国兵士の服を拝借していたギブソンと出会う。
ギブソンとともに負傷兵を運び出して撤退しようとするが、人数オーバーで降ろされる事に。
その船が沈没して戻ってきたアレックスと出会い、彼の同隊から座礁した商船の情報を聞く。
最後は商船が沈んでいく中、ミスター・ドーソンの船に救出されて無事に母国へ帰った。
・ギブソン(演:アナイリン・バーナード)
トミーが海岸に到着した時、死んだ英国兵士の身包みを盗んでいたところを見られる。
アナイリン・バーナードは代表作に『アイアンクラッド』、『プラハのモーツァルト/誘惑のマスカレード』などがあります。
その後、トミーとともに行動をして一緒に負傷兵を運び出して船に乗り込むも追い出される。
桟橋で次の船を待っていると、送り出した船が沈没して帰ってきた兵士たちを出迎えた。
アレックスが同隊からの情報で座礁した商船があると知って、トミーとともに付いていく。
最後はフランス人だとバレてアレックスに責められ、船が沈没していく中で運命を共にした。
・アレックス(演:ハリー・スタイルズ)
英国陸軍「高地連隊」の二等兵。船で海岸線を撤退した時に敵の攻撃で沈没して戻ってきた。
ハリー・スタイルズは本作は長編映画デビュー作となります。
その時に桟橋に身を潜めていたトミーとギブソンと出会い、行動を共にする事となる。
救出にやって来る船を待っていた時、同隊の兵士を見つけて座礁している商船へ向かった。
敵の攻撃を受けて船が沈みそうになると、フランス人だと発覚したギブソンに降りろと命令。
最後は救出作戦に参加したミスター・ドーソンの船に救出され、母国に帰っていった。
・ウィナント(演:ジェームズ・ダーシー)
陸軍大佐。ボルトンとともに行動する。救出作戦の状況をボルトン中佐に伝えていく。
ジェームズ・ダーシーは代表作に『マスター・アンド・コマンダー』、『サバイバー』などがあります。
救出作戦が難航する中で、イギリス軍が船や戦闘機を出し惜しみする状況に怒っていた。
最後は兵士たちを撤退させて自分たちも撤退する中、残るボルトン中佐に敬礼して帰還する。
・ボルトン(演:ケネス・ブラナー)
海軍中佐。防波堤で撤退作戦の指揮を執る。撤退作戦が上手くいかず、あらゆる手を講じる。
ケネス・ブラナーは近年の出演作に『オリエント急行殺人事件』、『エージェント:ライアン』などがあります。
敵の戦闘機で次々と兵士を運ぶ船が沈没する中、救出にやって来る民間船に望みをかける。
ようやくやって来た民間船の光景に感動し、救出を待っていた兵士たちを乗せていく。
最後はウィナント大佐を見送ると、フランスの為に海岸線を死守するべく残った。
【海】
・ジョージ(演:バリー・コーガン)
ミスター・ドーソンに同行する青年。ミスター・ドーソンが救出作戦に参加すると知り同行。
バリー・コーガンは代表作に『アウトサイダーズ』、『聖なる鹿殺し/キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』などがあります。
道中で助けた英国兵士を迎え入れて温かい紅茶を出すが、パニック状態の彼に拒否される。
英国兵士が暴れ出すとピーターとともに止めるが、その拍子に下の船室に落ちて頭を強打。
ピーターが適切な処置を施すが、想像以上の重傷で目が見えなくなって気絶する。
最後は多くの兵士を乗せた時に息を引き取り、ピーターが新聞に記事を持ち込んで英雄に。
・ピーター(演:トム・グリン=カーニー)
ミスター・ドーソンの息子。イギリス軍からの要請で救出作戦に参加するべく準備をした。
トム・グリン=カーニーは本作が長編映画デビュー作となります。
道中で助けた英国兵士を船室に迎えるが、危険を感じて施錠して閉じ込めてしまう。
英国兵士が母国に帰りたいと暴れ出すと止めに入るが、ジョージがその拍子でケガをする。
重傷を負ったジョージに適切な処置をするが、すでに彼は目が見えない状態になっていた。
最後はジョージの夢である新聞に載る事を実現させる為、新聞社に彼の活躍を記事にさせた。
・ミスター・ドーソン(演:マーク・ライランス)
民間船の船長。イギリス軍からの要請でダンケルクにて兵士の救出作戦への参加する。
マーク・ライランスは近年の出演作に『BFG/ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』、『ザ・ガンマン』などがあります。
瞬時に自国と敵国の戦闘機を聞き分ける事ができ、狼狽える息子やジョージに説明する。
途中で助けた英国兵士が母国に帰るよう主張するが、使命だとしてダンケルクを目指す事に。
英国兵士と揉み合っている時にジョージがケガしてしまうが、使命を果たそうとする。
最後は海岸線に到着して多くの兵士を乗せ、そのまま母国を目指して彼らを送り返した。
・謎の英国兵士(演:キリアン・マーフィ)
ミスター・ドーソンに救出された英国兵士。Uボートの攻撃を受けて沈没する戦艦で孤立。
キリアン・マーフィは近年の出演作に『フリー・ファイヤー』、『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』などがあります。
当初は名前すら話さなかったが、ダンケルクに向かっていると知って母国に戻るよう主張。
ミスター・ドーソンと揉めていた時、止めに入ったジョージを吹き飛ばしてしまう。
結局、ダンケルクに向かうミスター・ドーソンの意志は変わらず、その後は静かにしていた。
最後はケガさせたジョージは無事だと言われ、納得して母国に到着して無言で去った。
【空】
・コリンズ(演:ジャック・ロウデン)
英国空軍「スピットファイア」のパイロット。ダンケルクでの救出作戦に援護するべく出発。
ジャック・ロウデンは代表作に『Tommy’s Honour』、『否定と肯定』などがあります。
道中に敵国の戦闘機から攻撃を受けて倒すが、隊長も撃墜されてファリアの指示に従う。
味方の船が攻撃を受けていたが、なんとか助け出すも自らも攻撃を受けて海面に不時着した。
その後、救出作戦に参加したミスター・ドーソンの船に助け出されて無事に祖国へ帰った。
・ファリア(演:トム・ハーディ)
英国空軍「スピットファイア」のパイロット。隊長やコリンズの部隊でダンケルクに向かう。
トム・ハーディは近年の出演作に『レヴェナント:蘇えりし者』、『レジェンド/狂気の美学』などがあります。
道中に敵国の戦闘機を発見して戦闘となるが、その時に隊長機が撃墜されて指揮を執る事に。
味方の船が攻撃を受けているのを発見して助けるが、コリンズも脱落して一人で向かう。
燃料の計器が壊れて残りが分からない中、海岸線を脱出する味方兵士たちの援護をしていた。
最後は燃料が切れても残っていた敵機を撃墜し、着陸するがドイツ軍に捕まってしまう。
感想
個人的な評価
本作は実際にあった第二次世界大戦での「ダンケルクの戦い」で展開した“ダイナモ作戦”を実写映画化した作品。
監督と脚本を務めるのは、数多くの話題作を手がけるクリストファー・ノーランが務める。
今まではクリストファー・ノーラン監督はアメコミ原作映画とオリジナルを手がけています。
ですが、本作はクリストファー・ノーラン監督にとって初の史実を実写映画化した作品。
戦争映画という事で当然のように多方面から多大な期待が寄せられた作品となります。
やはり、本作はクリストファー・ノーラン監督の作風を強く反映させた内容となっています。
題材となっている『ダイナモ作戦』は現在のイギリス人にとって、仲間の命を救い出すという団結の精神を象徴しているという。
だからこそイギリス人であるクリストファー・ノーラン監督が史実を実写映画化する意味も込められていると思います。
本作の特徴として、陸海空の視点から描かれていて、しかも時系列も一週間、一日、一時間と違っています。
これは『インセプション』でも魅せた時系列を巧みに操ったクリストファー・ノーラン監督だからこそできる芸当だと言えるだろう。
陸からは撤退をしようとする兵士の視点、海からは救出に向かう民間人の視点、空からは撤退する仲間を援護するパイロットの視点に分かれている。
時系列として始まりはバラバラであるけど、同じように盛り上がって緊張感の沸き立つ場面を同時に魅せる上手さがあります。
更に『ダークナイト』でクリストファー・ノーラン監督が使った人を不安にさせる音楽も効果的に本作でも緊張感を煽っています。
もちろん、それぞれの視点でも盛り上げる部分は盛り上げ、緊張感を与えるところは緊張感を的確に与えています。
本作は全編に渡って張り詰めた緊張感が漂い、脱出したい兵士、助けに行く民間人、援護するパイロットたちの思いが伝わるようにしている。
ただし、本作は視点が飛んでしまうせいで感情移入しづらい構成になってしまっています。
そのせいで全体的に薄味に感じてしまう事があり、なんだか淡々と物語が展開しているように見えてしまうと思います。
確かに視点を三つにして、それぞれの違いを見せているが、その分だけ作品に入り込む余地をなくしているだろう。
でも、それはクリストファー・ノーラン監督の計算にも入っていて、例え短いエピソードでも感情移入できる人も少なくはないと思います。
まずは本作で伝えたいイギリス人の精神をクリストファー・ノーラン監督は訴え、そこに戦争の悲惨さも訴えていると感じました。
しかし、個人的に印象の強い場面がなく、ずっと似たような緊張感が続いたせいで期待していたほどじゃなかったのが正直な感想でした。