ミッドナイト・スペシャル VD-162

作品紹介

公開年月  2016/04/21
ジャンル  SF/ドラマ
原作  なし
監督  ジェフ・ニコルズ
脚本  ジェフ・ニコルズ
製作  サラ・グリーン、ブライアン・カヴァナー=ジョーンズ
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

不思議な力を持つ少年のアルトンを父親のロイが連れ去るという事件が発生する。
しかし、その真相はアルトンが別世界の住人であり、ロイは彼を約束された場所と時間に送り届けないといけない。
そこで幼馴染みだった州警察官のルーカス、別居していた妻のサラたちの協力を得て、カルト教団やFBIから逃れながら目的地を目指すのだった。

登場人物&出演者

ロイ(演:マイケル・シャノン)
主人公。アルトン少年を誘拐した容疑で全国指名手配を受ける。何よりもアルトンが大事。
マイケル・シャノンは近年の出演作に『ポッターズビルの奇跡』、『シェイプ・オブ・ウォーター』などがあります。
途中で元信者だった男の家に立ち寄るが、彼が息子の目を覗き見したせいで粛清する事に。
今度は妻でアルトンの母親であるサラの家に立ち寄り、束の間の平穏な時を過ごした。
ドークたちにアルトンを連れ去られ、軍施設に収容されるポールのおかげで戻ってきた。
最後はルーカスとともに車で囮になってアルトンを送り出し、刑務所から空を見上げて笑う。

ルーカス(演:ジョエル・エドガートン)
ロイとともに行動している男。ロイとは幼馴染み。テキサスでは州の警察官をしていた。
ジョエル・エドガートンは近年の出演作に『レッド・スパロー』、『ブライト』があります。
徐々に弱っていくアルトンを心配するが、病院に立ち寄っている場合じゃないと知る。
三日前に“牧場”に入ってから疎遠だったロイが助けを求め、アルトンの力を知り協力する。
一度は“牧場”の信者たちにアルトンを連れ去られるが、ポールのおかげで戻ってきた。
最後はFBIや軍関係者の目を欺く為にロイとともに車で暴走し、結局は捕まって刑務所へ。

サラ(演:キルスティン・ダンスト)
ロイの妻でアルトンの母親。遠く離れた場所に住んでいて、二人とは別居している。
キルスティン・ダンストは近年の出演作に『ドリーム』、『ギリシャに消えた嘘』がある。
ある場所に向かう途中で立ち寄ったロイたちを出迎え、束の間の家族の団らんを味わう。
アルトンをあるべき場所に送る為に同行するが、ドークたちによって阻まれてしまう。
拘束されるもなんとか抜け出してロイとルーカスを助けるも、アルトンが連れ去られる。
最後はポールがアルトンを届け、ある場所に向かって息子を見送って逃亡生活を送る事に。

アルトン(演:ジェイデン・リーバハー)
ロイとルーカスの二人に連れられてある場所を目指す。常にゴーグルをしている状態。
ジェイデン・リーバハーは代表作に『ヴィンセントが教えてくれたこと』、『IT/イット“それ”が見えたら、終わり』などがあります。
スイッチが入ったように様々な言語を話すが、目から強烈な光線を放って何かを見せる。
普段はロイの言葉に従う少年であるが、見られているという理由で軍事衛星を墜落させる。
昼間はずっと寝ていたが、仲間を近くに感じて朝日を浴びると悪化していた体調が戻る。
最後はロイとルーカスが囮になり、サラに見守られながら本来帰るべき場所へ帰っていった。

ドーク(演:ビル・キャンプ)
宗教団体“牧場”の信者。カルヴィンから絶大な信頼を寄せてアルトンを追う役目を担う。
ビル・キャンプは代表作に『ラビング/愛という名前のふたり』、『ジェイソン・ボーン』などがあります。
元々は電気技師だったが、カルヴィンに言われて仕方なく銃を手にロイたちを追っている。
サラの母親からロイたちに協力した男を順に追い、ついに彼らがいるモーテルにたどり着く。
先にモーテルを出たルーカスを銃撃するも、反撃したロイによって負傷してしまう。
最後はなんとか逃げ出そうとするが、結局は待ち構えていたFBIや軍関係者に捕まった。

レヴィ(演:スコット・ハゼ)
宗教団体“牧場”の信者。ドーク同様にカルヴィンから信頼されてアルトン追跡をする。
スコット・ハゼは代表作に『Child of God』、『アメリカン・ソルジャー』などがあります。
能力以上の仕事を任されて不満を漏らすドークに対して、できるから任されたと話す。
ドークとともにロイたちの足取りを掴むべく、強引なやり方で彼らを着実に追っていた。
モーテルでドークは撃たれてしまうが、その隙にロイと倒してアルトンを連れ出す。
最後はドークとともにアルトンを連れて逃げ出すも、やはりFBIや軍関係者に捕まった。

カルヴィン(演:サム・シェパード)
宗教団体“牧場”の教祖。誘拐されたアルトンを追う。余裕がなくて焦っている様子。
サム・シェパードは代表作に『天国の日々』、『ライトスタッフ』などがあります。
アルトンの養子で彼が発作を起こして様々な言語を話し、それを元に教典を作ったという。

ポール・セビエ(演:アダム・ドライヴァー)
国家安全保障局の通信部門に勤める。政府の極秘情報を知るカルビンに尋問する為に来る。
アダム・ドライヴァーは代表作に『沈黙/サイレンス』、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』などがあります。
次々と信者たちから尋問していくが、彼らの言葉がほとんど答えにならず困ってしまう。
アルトンが軍事衛星を墜落させたガソリンスタンドの現場で彼が持っている力を知る。
ドークたちか奪ったアルトンに尋問するべく選ばれるが、そこで彼の力を目の当たりにする。
最後はアルトンの帰るべき場所を手伝う為に脱出させ、ロイたちの元に送り届けた。

ミラー捜査官(演:ポール・スパークス)
FBI捜査官。以前から宗教団体“牧場”を捜査する。団体を別の場所に移し事情を敢行。
ポール・スパークスは代表作に『MUD/マッド』、『グレイテスト・ショーマン』がある。
軍事衛星を落としたアルトンの仕業だと知っていて、ポールを彼の専門家になれと言われる。

感想

個人的な評価

本作は第66回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品された作品となります。
監督はジェフ・ニコルズで、2017年度のアカデミー賞の最有力作『ラビング/愛という名前のふたり』でも知られています。
本作は更に『X-MEN:アポカリプス』や『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』などで活躍したVFXスタッフが集結しています。
家族愛を大事にするジェフ・ニコルズ監督の特徴が最大限に発揮された内容となっています。
一応、本作は異星人や異次元の者を扱ったSF映画であるけど、それらとは少し違っている。
バリバリのアクションではなく、あくまで別の次元の住人である息子を本来あるべき世界に戻す為に旅をする家族の物語。
そこに主人公の幼馴染みが協力して、約束された場所と時間に息子を送り届ける展開です。
大抵の場合だと分かりやすく説明してくれるが、本作にはそれが一切なく、感じさせて考えさせるのが主題となっています。
これはジェフ・ニコルズ監督の特徴であり、以前鑑賞した『ラビング/愛という名前のふたり』にもあった演出です。
しかし、こういう場合だとハッキリと説明しないとモヤモヤするが、この部分を上手く濁して気にさせないドラマを作り上げている。
本作のメインはSFチックな描写ではなく、家族愛がテーマであり、例え超常現象の意味が分からなくても問題はない。
家族愛を表現したセリフの中で特に印象的だったのは、ロイがアルトンに向けて放った「心配したい」という言葉である。
相手が自分の想像を遙かに超える者であっても、息子は息子でロイは父親として単純に息子を心配するセリフが本作の伝えたかったモノだと分かりました。
つまり、本作にあるSFチックな現象はお飾りであって、本質は家族愛にあると納得できる。
非常に上手くSFチックな部分を気にさせない手法を取っていたけど、ラストでのロイ、ルーカス、サラの処遇が納得できなかった。
あれだけ愛情を捧げ、信じていたアルトンという存在が、帰ってしまったら終わりという呆気なさはなんだかモヤモヤさせられました。
ここら辺はもっと三人に良い結末があっても良かったと思うが、彼らは彼らなりに満足した表情を浮かべていました。
そう考えると第三者として見ると悲しい結末だが、三人にとってはハッピーエンドだったのかもしれません。
本作は現代にあってなんだかクラシックな雰囲気があって、少しだけ懐かしい気分にさせてくれる良質な作品でした。