ラビング/愛という名前のふたり PR-2

作品紹介

公開年月  2017/03/03
ジャンル  ドラマ/ラブロマンス
原作  『ラビング事件』
監督  ジェフ・ニコルズ
脚本  ジェフ・ニコルズ
製作  コリン・ファース、ジェド・ドハーティ、ほか
製作国  イギリス、アメリカ
鑑賞方法  試写会

あらすじ

1958年、アメリカのバージニア州で大工を営む白人のリチャード・ラビングは、深い絆で結ばれた黒人の恋人ミルドレッドから妊娠を告げられ、喜びとともに結婚を申し込む。
だが、当時のバージニア州で異人種間の結婚は法律で禁止されていたが、二人はそれが認められているワシントンD.C.で結婚する。
地元に帰って新居で暮らし始めるも、押しかけた保安官に逮捕され、ラビング夫妻は離婚か故郷を捨てるかの選択を迫られるのだった。

登場人物&出演者

リチャード・ラビング(演:ジョエル・エドガートン)
主人公。白人。レンガ職人で大工。他人の白い目があってもミルドレッドを愛している。
ジョエル・エドガートンは近年の出演作に『ブラック・スキャンダル』、『ザ・ギフト』などがあります。
恋人同士時代でも目をつけられていたが、それでも真実の愛を貫き通していました。
その証明として唯一、異人種間の結婚を認められているワシントンD.C.まで出向いてく。
基本的にあまりしゃべらない人物で、他人をあまり信用していないような態度を取る。
しかし、ミルドレッドや子供たちには無限の愛を与え、守る通す覚悟を持つ男でもある。

ミルドレッド・ラビング(演:ルース・ネッガ)
ヒロイン。黒人。リチャードの愛を一身に受け、白い目で見られても気にしなかった。
ルース・ネッガは代表作に『ワールド・ウォーZ』、『ウォークラフト』などがあります。
当初はリチャードに守られる存在であり、最初に逮捕された時の怯えた表情が非常に印象的。
リチャードの愛の証明の結婚を喜ぶも、それが自分たちの安全を脅かす状況に不安を持つ。
バージニア州から離れて遠くワシントンD.C.で暮らす間はどこか冴えない表情をする。
ただ、子宝に恵まれていて、一見して幸せな生活を送るも故郷への思いはまだ持っていた。
最初とは違って、母親になって積極的な行動をして、その結果、法律を変える事になる。

ガーネット(演:テリー・アブニー)
ミルドレッドの姉。幸せなミルドレッドを祝うも、リチャードとは微妙な関係である。
テリー・アブニーは代表作に『トリプル9/裏切られたコード』などがあります。
妹が留置所に収容された事に怒り、故郷を追われる事にも怒りを露わにした。
その原因を作ったリチャードに嫌悪感を示し、彼に対して怒鳴り散らしてしまう。
だが、ミルドレッドが子供を故郷で産む為に戻ってきた彼を温かく出迎える。

レイモンド(演:アラーノ・ミラー)
リチャードとは無二の親友。誰よりもラビング夫妻が頼れる人物である。
アラーノ・ミラーは代表作に『All Wifed Out』、『Wish You Well』などがあります。
一度、州の外へ出て戻ってきたラビング夫妻を匿い、連絡係として助ける。
昔は友達だった周囲が変化する中、ずっとリチャードと変わらない態度で接した。

ブルックス(演:マートン・ソーカス)
キャロライン群の保安官。白人至上主義。黒人を別の生き物として認識している。
マートン・ソーカスは代表作に『ロード・オブ・ザ・リング』三部作、『イコライザー』などがあります。
異人種間の結婚を根底から否定し、「神の定めた法」として見逃す気がまったくない。
本作ではラビング夫妻を恐怖に陥れる存在として、短いながらも強烈なインパクトを残す。

バーナード・コーエン(演:ニック・クロール)
自由人権協会(ACLU)の弁護士。ACLUよりラビング夫妻を助ける為に無償で担当する。
ニック・クロールは代表作に『デート&ナイト』、『聖杯たちの騎士』などがあります。
当初はビジネススマイルで対応するが、異人種間の結婚を禁じる法律を変える為に奔走する。

フィリップ・ハーシュコプ(演:ジョン・ベース)
公民権を専門に扱う弁護士。コーエンの協力者として無償でラビング夫妻の案件を扱う。
ジョン・ベースは代表作に『サイバー・ストーカー』などがあります。
最高裁という戦いの場を決めて、的確な指示と進め方で見事に勝利を呼び込む。

グレイ・ヴィレット(演:マイケル・シャノン)
ライフ誌のカメラマン。ラビング夫妻の日常を写真に収めて記事にした人物。
マイケル・シャノンは近年の出演作に『バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生』、『バンズ・オブ・ラヴ/手のひらの勇気』などがあります。
他人をあまり信用しないリチャードが珍しく談笑した貴重な人物でした。

感想

個人的な評価

実際にあった『ラビング事件』を基に作られている。
当時は異人種間の結婚が法律で禁じられた時代。
今でも考えられない事だが、当時は当たり前だったという。
ただでさえ白人と黒人が恋人同士でも白い目で見られる時代。
それでも白人の夫であるリチャードは、黒人の妻ミルドレッドへの愛を証明する為に法律を犯してでも貫き通している。
ただ、普通に結婚しただけだが、ラビング夫妻の住むバージニア州では許されない犯罪。
その理由が「安全と平和を乱した」という不当すぎる理由です。
しかし、どんなにラビング夫妻が訴えても誰からも認められないのです。
だから、異人種間の結婚が許されている遠くワシントンD.C.へと行くしかない。
もし戻ってしまえば、逮捕されるというトンデモない事になる。
本作ではリチャード役のジョエル・エドガートン、ミルドレッド役のルース・ネッガが素晴らしい演技を魅せています。
リチャードはあまりしゃべらないが、その内に秘めた熱い感情が伝わってくる。
対してミルドレッドは最初、守られる弱い存在であったが、母親になってから強くなる。
とにかく、本作はリチャードとミルドレッドのラビング夫妻の静かなる戦いがメイン。
ただ、その戦いは静かであって、基本的に外野の雑音は極力抑えられています。
本来なら裁判などのシーンが多く割かれるはずだが、本作はほとんどない状態です。
なぜなら、本作はあくまでラビング夫妻の愛を貫いた物語だからである。
法廷のシーンをタラタラとやるのはナンセンスであり、本作には必要性がないのです。
この演出がラビング夫妻の愛を際立たせていて、静かなる展開は非常に雰囲気が合っている。
アメリカの歴史に刻まれる事実として、実写映画化した意味が分かります。
あのコリン・ファースがプロデューサーを名乗り出るだけの説得力ある作品でした。