作品紹介
公開年月 | 1959/02/27 |
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ジャンル | SF/ホラー |
原作 | なし |
監督 | ロバート・デイ |
脚本 | ジョン・C・クーパー、ランス・Z・ハーグリーヴズ |
製作 | ジョン・クロイドン |
製作国 | イギリス |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
ロケットY-12試運転の発射テストに乗り込んだダンは、見事に任務を成功させ、人類最初の宇宙飛行を達成した男として賞賛される。
ダンは次のロケットY-13で更なる記録を伸ばそうとするが、宇宙で謎の物体と衝突し、ロケットは地上に舞い戻り墜落してしまう。
そして、その日から牛の血が抜かれ、血液銀行が襲われる謎の事件が勃発するのだった。
登場人物&出演者
・チャールズ・アーネスト・プレスコット少佐(演:マーシャル・トンプソン)
ダンの兄で上官。今回の試運転に志願した弟を心配しながらも、任務を確実に遂行する。
マーシャル・トンプソンは代表作に『悪漢バスコム』、『愛と喝采の日々』などがあります。
命令を聞かないダンに対して苛立ち、地球へ帰還しても報告しない事に烈火の如く怒った。
隔離していたダンが再びテストパイロットに選ばれ、命令違反しないように釘を刺した。
結局、またもダンが命令違反をして行方不明となるが、連続する殺人事件の犯人だと推測。
最後は基地に戻ったダンを高所気密室で話しを聞き、息絶えた彼を英雄だと讃えた。
・ダン・プレスコット中尉(演:ビル・エドワーズ)
人類未到の宇宙飛行をするべく志願した。ロケットY-12は安定して目標を達成させる。
ビル・エドワーズは代表作に『桃色の旅行鞄』、『戦う翼』などがあります。
地球へ帰還する時、操縦不能に陥ってしまい、一時は行方不明になるも無事に見つかる。
次のロケットY-13では命令を無視して宇宙を飛行するが、謎の物体に衝突して行方不明に。
謎の物体により体が変異してしまい、本能のままに血を求めて牛や人間を次々と襲った。
最後は基地に戻って高所気密室で正気を取り戻し、チャールズを助ける為に犠牲となった。
・ティア・フランチェスカ(演:マーラ・ランディ)
ダンの恋人。海軍航空医療部ではフォン・エッセン博士の助手を務めている。
マーラ・ランディは代表作に『バスカヴィル家の犬』、『血の河』などがあります。
テストパイロットをしていたダンに不満を感じていたが、最初のテストで彼に惚れ直した。
二度目のテスト飛行を行ったダンが行方不明となり、チャールズを問い詰めてしまう。
それでも立ち直ろうと高所気密室で仕事をこなし、チャールズの励ましで正気を保った。
最後は姿が変わったダンを見てショックを受けるが、宇宙の男になった彼を誇りに思った。
・ウィルソン(演:ビル・ネイギイ)
州警察署長。ニューメキシコ州に落ちたパラシュート付きロケットの現場を担当する。
ビル・ネイギイは代表作に『伯爵夫人』、『赤ちゃんよ永遠に』などがあります。
次々と殺人が起きてしまい、それをチャールズに報告した上でロケットの残骸も回収させる。
チャールズが看護婦の噛み跡を気にして、最初に被害が出た牛の死体まで案内した。
基地に戻ったダンを高所気密室に誘導し、助けようとしたチャールズたちを見守っていた。
最後はダンが自身の命はもうないと悟って死亡し、その遺体を見て実験の悲惨さを口にした。
・ポール・フォン・エッセン(演:カール・ジャッフェ)
海軍航空医療部の博士。ロケットY-12に立ち会った。宇宙でパニックになったダンを宥めた。
カール・ジャッフェは代表作に『月のかなたに』、『老兵は死なず』などがあります。
数ヶ月前からフランチェスカを助手にしていて、彼女が誰よりもダンを知っているという。
二度目のテストで打ち上げられたロケットY-13が回収され、付着した保護膜を分析する。
未知の宇宙線を浴びた事で形成された保護膜だと判明し、ダンも同じ状態だと断言した。
最後はやって来たダンを高所気密室に入れるが、結局は助ける事ができず死んでしまった。
感想
個人的な評価
本作は『ターザン大いに怒る』や『絞殺魔甦る』で知られるロバート・デイが監督を務めた作品となっています。
劇中に登場するモンスターの造形は『エレファント・マン』で知られるマイケル・モリスが担当しています。
本作は最初から最後までシリアスな展開であり、調子に乗ったテストパイロットの悲しい末路が描かれています。
人類がまだ宇宙へ行っていない時代、本作のダンという人物は最初に宇宙へ行った男の名誉を手にしたくて命令違反をする。
その結果、未知なる宇宙線を浴びた結果、異形の怪人に変異して牛や人間の血を求めるようになってしまいます。
ダンの兄で上官に当たるチャールズは必死に弟を探していく中、殺人を犯している怪人こそ弟のダンだと推測します。
当初は兄弟の仲はあまり良くなく、いつも暴走するダンをチャールズが止めるという役割を担っていました。
結局、ダンは宇宙へ行った男の称号を手にする代わり、地球に戻ると異形の怪人になり、元に戻れず夢を手にするもすべてを失ってしまった。
とにかく、本作の結末は非常に悲しく、異形の怪人になったダンは救われない形となります。
しかも、彼が倒れても今回の事故を教訓にして、次の為に活かすような展開となっていく。
ずっと信じて待っていた恋人、必ず連れ帰ると言っていた兄と、自分を見放さなかった者たちの前で息絶えるのは本当に無念だったのでしょう。
それぐらい悔しい思いが伝わってくるし、恋人や兄からも悔しさも伝わってきました。
怪人の造形もなかなかグロテスクで、モノクロであってもハッキリと分かるぐらい、いい意味での気持ち悪さでした。
本作は宇宙への興味が高まっていた時代において、その危険さを示すような作品になっていたと思います。
勇気ある男の行動で歴史に名を刻むが、その代償があまりにも大きく、果たしてそれは本当に良かったのかと考えさせる作品でした。