残穢/住んではいけない部屋 VD-306

作品紹介

公開年月  2016/01/30
ジャンル  ホラー
原作  小野不由美 『残穢』
監督  中村義洋
脚本  鈴木謙一
製作  松井智、高橋敏弘、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

小説家である「私」の元に女子大生の久保という読者から一通の手紙が届く。
部屋で奇妙な音がするという手紙の内容から、好奇心が抑えられない「私」は久保とともに調査を開始する。
「私」の夫や作家の平岡芳明に心霊マニアの青年である三澤徹夫らの協力を得て、ついに数十年の時を経た壮大な戦慄の真相にたどり着くのだった。

登場人物&出演者

「私」(演:竹内結子)
主人公。小説家。怪談雑誌で連載を持ち、読者の奇妙な体験談を基に短編を発表している。
竹内結子は代表作に『黄泉がえり』、『サイドカーの犬』などがあります。
久保さんから届いた手紙によって、原因がすぐに判明しない怪奇現象について調査を始める。
その過程で久保さんと会って協力して原因を突き止める中で、同時に体調も悪化していく。
調査が遠くの九州まで及ぶが、久保さんが調査の辞退を申し出て終わらせる事になる。
最後は一件落着したと思っていたが、公衆電話からの着信によって連鎖が続いていると知る。

久保さん(演:橋本愛)
建築デザインを学ぶ女子大生。学生寮から出て以前から憧れていた一人暮らしを始める。
橋本愛は代表作に『告白』、『寄生獣』シリーズなどがあります。
「私」に手紙を送った事で原因の究明を一緒にするが、なかなか大本を見つけられず。
途中で怪談作家の平岡の助力を得て、バラバラだった出来事が繋がっていると知る。
引っ越して平穏に過ごしていたが、またも異様な音を聞いた事で調査の辞退を申し出た。
最後は「私」からの情報により、社会人として問題なく暮らしているという。

直人(演:滝藤賢一)
「私」の夫。ミステリー小説家。「私」以上に心霊現象に対する否定的な意見を持っている。
滝藤賢一は代表作に『クライマーズ・ハイ』、『踊る大捜査線』シリーズなどがあります。
「私」が手がけている短編小説の元ネタを見て、知識を持っているがまったく信じておらず。
マンションから一戸建てに引っ越すべく、土地の下見を任されて一人で見て即決していた。
新しい家に取り付けた人感センサーによるライトが勝手に付く状況に不良品だと疑った。
最後は誰もいないのにまたしても人感センサーが反応し、それを呆然とずっと眺めていた。

平岡芳明(演:佐々木蔵之介)
怪談作家。「私」が雑誌の担当編集者の田村と相談していた喫茶店でたまたま遭遇する。
佐々木蔵之介は近年の出演作に『ひとよ』、『WE ARE LITTLE ZOMBIES』があります。
「私」の話しに聞き耳を立てて興味を引き立てられると、一緒に調査する事となった。
バラバラの出来事の大本は一つという持論があって、「私」よりも熱心に情報を集めていた。
大本になると思われる吉兼家の廃屋に入ると、率先して調べていくが根じゃないと分かる。
最後は目的を見失った久保さんの辞退で調査が終了し、解散となって別の出来事を追う。

三澤徹夫(演:坂口健太郎)
会社員。福岡県出身で心霊マニア。九州に関する心霊事件についてほとんど網羅している。
坂口健太郎は代表作に『ヒロイン失格』、『64ロクヨン前編/後編』などがあります。
久保さんの手紙から始まった調査が九州に及ぶと、平岡の推薦で喜んで情報を提供した。
そのまま調査に一員として一緒に行動して、吉兼家まで「私」たちと廃屋で写真を撮った。
最後は一連の出来事にまつわるエピソードを提供し、喜んで協力を惜しまなかった。

田村(演:山下容莉枝)
怪談雑誌で「私」の担当編集者。読者から提供される体験談の手紙を「私」に渡している。
山下容莉枝は代表作に『12人の優しい日本人』、『嫌われ松子の一生』などがあります。
「私」が書いてきた短編小説をチェックして、時には意見を述べるが基本的にそのまま使う。
久保さんの体験談をまとめた短編小説が少し長いと意見して「私」も納得していた。
「私」や久保さん、平岡に三澤の調査にも参加して、編集者らしく現実的な意見を述べた。
最後は原稿を受け取ろうと「私」に電話するも通話できず、記事を書く同僚より先に帰った。

梶川(演:渋谷謙人)
久保さんが入居する以前に住んでいた青年。家電量販店に勤め、仕事は真面目で優秀だった。
渋谷謙人は代表作に『スペーストラベラーズ』、『図書館戦争』などがあります。
マンションで怪奇現象を体験した事で引っ越したが、その後は別人のようになっていた。
最後はアパートの大家の元に現れるが、すでに死んでいて翌日には首吊り自殺で発見された。

山本(演:成田凌)
梶川の死後にアパートへ入居した男性。事故物件という事で安い家賃の理由で入居した。
成田凌は代表作に『キセキ/あの日のソビト』、『スマホを落としただけなのに』があります。
特に怪奇現象が起きるワケじゃなく、事故物件でも幽霊を信じずに納得して住んでいた。
最後は連鎖する恐怖の中に囚われると、久保さんが見た首吊り自殺の老女を見る事になる。

感想

個人的な評価

本作は小野不由美による同名小説を基に製作されています。
小説は『第26回山本周五郎賞』を受賞し、『ミステリが読みたい!2013年版』では国内部門で第10位を獲得しています。
更に『第28回東京国際映画祭コンペティション部門』にて出品された作品となります。
本作はジャパニーズ・ホラーに恥じないジメジメとした怖さを演出し、それに加えて元凶を追求しようとするサスペンスもあります。
ハッキリ言って、本作は原作の小説を読んだ方が数倍怖いだろうと伝わってくるような内容だと感じさせるほどでした。
これもまた珍しい事ですが、久しぶりに原作の小説を読みたくなるぐらい面白さを内包させているような構成だっと感じました。
つまり、本作は映像化に際して相当内容を切り詰めていて、真の面白さは原作にある事がちゃんと伝わってきました。
どうしても邦画による実写映画化には予算や事務所の力関係に左右されるが、本作はその中でも頑張った方だと思います。
ホラー映画としては映像の怖さはあまりないが、ジャパニーズ・ホラーらしく徐々に聞こえてくる音で恐怖を煽っていく演出は悪くない。
何より一見してバラバラだったエピソードが、実は大本が同じという終着点もまた納得のできる展開でした。
しかし、本作は尺が足りなかったせいで完全な原因の究明にならず、ラストは完全なる消化不良に終わってしまっている。
クライマックスの直前までは良かったのに、本作のオチには不満が残ってしまいました。
このオチさえちゃんとしたできるモノにすれば、程よい緊張感を保ったままスッキリした気持ちで納得できただけに残念すぎました。
さすがに本作はホラー映画初心者には厳しいけど、だからと言って上級者が満足できるほどの作品ではなかったです。