スマホを落としただけなのに VD-380

作品紹介

公開年月  2018/11/02
ジャンル  サスペンス/ホラー
原作  志駕晃 『スマホを落としただけなのに』
監督  中田秀夫
脚本  大石哲也
製作  刀根鉄太、下田淳行、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

会社員の富田はタクシーにスマホを置き忘れてしまい、恋人の麻美が彼に電話すると聞き覚えのない男の声を聞いてしまう。
たまたま拾ったという男性のおかげで無事に富田のスマホを取り戻すが、その日を境に二人の身に不可解な出来事が立て続けに起こる。
不安になった二人はセキュリティ会社に勤める浦野に相談して安全対策を取るが、そんな中で山中で若い女性の遺体が次々と見つかる事件が発生するのだった。

登場人物&出演者

稲葉麻美(演:北川景子)
主人公。会社員。以前、富田の会社で派遣社員として働き、そこで出会って付き合っている。
北川景子は代表作に『チェリーパイ』、『パラダイス・キス』などがあります。
相当の美人だが、基本的にあまり出しゃばらず、SNSは登録してもほとんど休眠状態である。
母親の再婚相手と合わず、プロポーズした富田を紹介しづらくて一時的に返事を留めている。
浦野にSNSを乗っ取られても気付かず、そのせいで富田との仲を裂かれて露頭に迷い出す。
ついに浦野に捕まってしまうと、実は親友の人生を生きている事実を知られて富田に話した。
最後はすべてを捨てようとしたが、愛を知った富田と再会して改めてプロポーズを受けた。

富田誠(演:田中圭)
会社員。麻美の恋人。タクシーにスマホを忘れるが、そのおかげで新たな契約を成功させる。
田中圭は代表作に『凍える鏡』、『図書館戦争』シリーズなどがあります。
一流企業に勤め、美人な恋人もいて順風満帆な人生でプロポーズをしようとあれこれ考える。
麻美へのプロポーズを成功させるも、すぐに返事がもらえず、やきもきするような状態に。
勘違いするような写真で麻美との仲を引き裂かれ、冷静に物事を考えられず疎遠にされる。
最後は追跡アプリで麻美を助け、別人だと知って悩むが、彼女の愛で改めてプロポーズした。

杉本加奈子(演:高橋メアリージュン)
麻美の親友。富田とは知り合いで、麻美との関係を応援して何かと相談相手になっている。
高橋メアリージュンは近年の出演作に『あいあい傘』、『新宿スワンⅡ』などがあります。
SNSが大好きで外食する際は必ず写真を撮って投稿しており、合コンも積極的に行っている。
自己開示しない麻美にSNSを再開させ、彼女を危険な状況に追い込む手助けをしてしまう。
麻美がSNSで問題を抱えても、あまり深く考えずに適当なアドバイスで彼女を納得させる。
最後は麻美が仕事に来ているか富田から確認され、素っ気ない返答で休んでいると説明した。

小柳守(演:バカリズム)
総務課で富田の同僚。富田が麻美と付き合っている事を知っていて、情報網を見せつけた。
バカリズムはピン芸人として活躍し、映画の代表作に『がんばっていきまっしょい』などがあります。
実は以前から麻美を狙っていたが、口説き落とせず、富田に取られて静かなる嫉妬心を持つ。
その後、SNSで麻美とコンタクトを取るようになって、何故かしつこく彼女を誘っていた。
最後は富田に問い詰められるが、何も知らないと話し、成りすましだと切れ気味に主張した。

武井雄哉(演:要潤)
麻美の大学時代の先輩。今はカタールで石油関係の仕事をしていて、忙しい日々を過ごす。
要潤は近年の出演作に『キングダム』、『トラさん/僕が猫になったワケ』などがあります。
学生時代から麻美に注目していたが、ガードの固い彼女を口説き落とせず機会を伺っていた。
加奈子のデートをセッティングして、麻美と強引に顔を合わせてキスまでするも振られる。
SNSでキスした動画を流され、既婚者なのに遊びまくっている事を浦野に暴露されてしまう。
最後はSNSの動画や悪口を削除しないと、法的措置に出ると麻美に強く忠告していた。

加賀谷学(演:千葉雄大)
刑事。元々はIT企業でプログラマーとして働いていた。殺人事件に興味があって転職した。
千葉雄大は代表作に『Mr.マックスマン』、『全員、片思い「あさはんのゆげ」』がある。
猟奇殺人の死体遺棄現場でヒルに噛み付かれて、一人で大騒ぎをして周囲を呆れさせていた。
小さい頃に母親から充分な愛情をもらえず、黒髪の女性を見てしまうと過去の事を思い出す。
犯人が別人を使って成りすましたと突き止め、サイバーでの追跡を毒島に任せられる。
最後は浦野の居場所を突き止め、同じ種類の人間だと言われても拒否せず無言で聞いていた。

毒島徹(演:原田泰造)
ベテラン刑事。猟奇殺人の死体遺棄現場にやって来て、被害者の状態を見て異常性を察知。
原田泰造はお笑いトリオ「ネプチューン」のメンバーで、映画の代表作に『ジャンプ』などがあります。
新人の加賀谷と組んで捜査する中で、犯人がパソコンスキルを持っている事が判明していく。
犯人だと思われる男が自殺するが、成りすましだと分かりサイバーでの追跡を加賀谷に託す。
最後は加賀谷の勘で浦野の場所が判明し、助ける為に発砲し、その後は尋問も担当していた。

浦野善治(演:成田凌)
セキュリティ会社に勤める。先輩から連絡を受けて代わりに富田のスマホの問題を解決する。
成田凌は代表作に『カツベン!』、『弥生、三月/君を愛した30年』などがあります。
麻美のスマホも同じ症状となって解決し、睡眠薬入りのカクテルを飲ませて正体を明かす。
過去に母親から愛情を受けられず、長い黒髪の女性に対して深い恨みを持って殺している。
ついに麻美を捕まえるが、調べているうちに彼女が親友の人生を生きていると分かっていた。
最後は富田が来るのを知って痛めつけるが、後から来た加賀谷たちに対応できず捕まった。

感想

個人的な評価

本作の原作となる志駕晃のホラー小説を原作にしており、『このミステリーがすごい!』大賞で受賞しています。
志駕晃は元ラジオディレクターでニッポン放送プロジェクト専務取締役である勅使河原昭のペンネームで、人脈を生かした実写映画化となりました。
最近話題になったと思っていたら、もう2年前の作品だった事に驚いています。
便乗作品の『スマホを拾っただけなのに』は内容がお粗末すぎた上に、先にこっちを観ていたせいで期待はしていなかったです。
でも、実際に始まると、本作の主人公を演じる北川景子が別格すぎる存在に納得しました。
最近鑑賞した『クロユリ団地』の前田敦子は画面にずっと映るという拷問は厳しかった。
しかし、北川景子は逆に演技しなくてもいいからずっと見ていたいと思わせるほどの美人で、それだけで充分だと感じさせる。
前半は誰が犯人なのか分からないように描いていて、これが絶妙なバランスで候補を複数人じゃなく、二人にした点が面白い。
怪しい候補をボヤけた感じじゃなく、ハッキリと見せながらも微妙に正体を明かさない部分はしっかりとミステリーしていました。
ただ、中盤を過ぎて犯人が正体を現すところから一気に雑な展開になったのは残念です。
特に主人公の麻美が突然ブチ切れる感情の起伏に違和感があって、これは邦画のダメな部分が悪い方に出でしまいました。
犯人を賢く見せる為に高度な行動をさせるのではなく、周囲の人間をバカにするところも背伸びしてしまった印象がありました。
ただ、犯人を演じた成田凌はサイコパスなキャラクターを強烈なインパクトで魅せていたのは悪くなかったです。
終盤はそのテンションで結末を迎えならば多少雑になってもフォローになったと思う。
ですが、原作がそうなのか分からないが、主人公の正体が別人だったというオチは欲張りすぎたと思います。
このネタだけで一本の作品ができるので、それをオチに持っていたのはやり過ぎです。
確かに衝撃的なのでしょうが、伏線を張っていたとは言え、ちょっとばかり説得力に欠けてしまい、クライマックスはなんだか盛り下がってしまった感じでした。
直接物語に影響するような設定じゃなく、ドラマチックにしたいが為に付加されたような印象で逆効果になってしまったと思う。
その欲張りかなければ、もっとラストの着地点はスッキリしたたけに惜しいと感じました。