こどもつかい RE-2650

作品紹介

公開年月  2017/06/17
ジャンル  ホラー
原作  なし
監督  清水崇
脚本  清水崇、ブライジリィー・アン・山田
製作  秋田周平
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

新人記者の駿也は郊外で起こった連続不審死事件を追っていると、小さなこどもが失踪した三日後に周りの大人が死んでいる事を発見する。
街の人々の間に広がる“こどもの呪い”の噂を聞き、更に失踪したこどもたちが口ずさむ歌に事件解決の糸口を見出す駿也は取材にのめり込んでいく。
そんな中、駿也の恋人・尚美が“こどもの呪い”にかかり、彼女を守ろうとする駿也たちの前に謎の男“こどもつかい”が現れるのだった。

登場人物&出演者

こどもつかい(演:滝沢秀明)
子供の怨念を操る謎の男。トミーの歌とともに虐待を受けた子供たちの前に姿を現す。
滝沢秀明は代表作に『マイ・フレンド・フォーエバー』、『川の流れのように』があります。
その正体は「上之郷サーカス」に属していた子供に人気のあった腹話術師トミーの人形。
トミーはさらった子供たちを使って人形に命を吹き込んでいた変態野郎で許せなかった。
正体がバレると知ったトミーがサーカスに火を付けるが、子供たちの怨念が宿って彼を殺す。
最後は連が尚美を許した事で呪いが解かれ、現実で人形を破壊されて消え去ってしまう。

駿也(演:有岡大貴)
三多摩新聞社の新人記者。次々と起こる不審死事件の謎を独自の方法で追っていく。
有岡大貴は代表作に『姉御/ANEGO』、『ベースボールキッズ』などがあります。
子供が謎の歌を歌っている事に気づくと、不審死があった団地の取材から真実を求める。
そのうちに恋人で同棲中だった尚美が呪いにかかってしまい、止めようと奔走する。
こどもつかいを倒す為に人形を探すべく近藤のリサイクルショップに行くも邪魔される。
最後はこどもつかいの人形に追いつめられるが、尚美と蓮によって破壊して事なきを終える。

尚美(演:門脇麦)
駿也の恋人。あげは保育園の保育士。児童たちから人気があって慕われている。
門脇麦は代表作に『スクールガール・コンプレックス/放送部篇』、『世界は今日から君のもの』などがあります。
過去に母親から虐待を受けていて、少し事でも以上にビックリするオーバーリアクション。
その時にこどもつかいと出会い、呪いを使って母親を殺してしまうという過去を思い出す。
呪いの期限であった三日目にこどもつかいの人形を追うも、逆にその世界に囚われてしまう。
最後は素直に蓮へ謝罪して許し合うと、現実世界に戻ってこどもつかいの人形を破壊した。

(演:中野遥斗)
あげは保育園の児童。母親から虐待を受けていて、保育園でも迎えに来ない事が多い。
中野遥斗は代表作に『エイプリルフールズ』、『きみはいい子』などがあります。
夜遅くなっても母親が迎えに来ない事で、尚美がその代わりとして自分の家に泊まらせた。
そこから尚美を「ママ」だと認識し、保育園でも「ママ」と言ってしまい墓穴を掘る。
本当の母親が呪いで亡くなり、尚美のところに残ろうとするも拒否られて裏切られる事に。
最後は尚美に呪いをかけたが、それは間違えだと気づいて

洋子(演:西田尚美)
あげは保育園の保育士。尚美の先輩。母親たちからの意見に戸惑う尚美を励ます。
西田尚美は代表作に『学校の怪談』シリーズ、『図書館戦争』シリーズなどがあります。
蓮を自分に家に泊めてしまった尚美の勝手な行動は良くないと先輩としての意見を述べる。
こどもつかいの人形があったサーカスへ行く尚美たちからムリに連の面倒を見る事に。
最後はすべてを解決させた尚美たちの引っ越しを手伝うという雑用係となっていた。

近藤(演:尾上寛之)
駿也の幼馴染み。リサイクルショップの店長。取材していた駿也を見つけて声をかけた。
尾上寛之は代表作に『スクールウォーズ/HERO』、『魁!!男塾』などがあります。
リサイクルショップは繁盛していて、苦戦する駿也を尻目に息子の自慢話をしていた。
実は店で万引きした女の子を捕まえて、ビデオ撮影しながらイタズラをしていたという。
それにより怨みを持たれた女の子により、こどもつかいの呪いを受けて怯えていた。
三日目の期限が息子の誕生日で、それを祝っている時にソファで首を絞められて死亡した。

上之郷勝夫(演:吉澤健)
上之郷サーカスを作った地元の名士で父親の慎吾の息子。すでにサーカスはなくなっている。
吉澤健は代表作に『天使と恍惚』、『龍三と七人の子分たち』などがあります。
訪れた駿也と尚美に上之郷サーカスが焼失した事を話すが、それ以上の真実は口にせず。
サーカスの団員たちが寝泊まりする宿舎を紹介して、駿也と尚美は早速向かっていく。
そこで彼らがトミーの人形による呪いを受けていると察知し、間一髪のところで二人を救う。
最後はこどもつかいの世界に入り、子供たちとともに彼を抑え込み、尚美と連が脱出した。

感想

個人的な評価

本作は『呪怨』シリーズで知られるジャパニーズ・ホラーを担う一人、清水崇の最新オリジナル映画となります。
清水崇は『呪怨』シリーズがヒットした事で、ビデオ作品から今ではハリウッドで映画を製作するまで有名となりました。
世界にジャパニーズ・ホラーの素晴らしさを伝えた人物であり、本作のオリジナル映画は多大な期待を寄せられました。
『呪怨』シリーズは純粋なるホラー映画として君臨するが、本作は分かりやすいテーマとして「児童虐待」を取り上げている。
分かりやすいけど、現代社会だけじゃなく、昔から問題となっている「児童虐待」は非常に重いテーマだと言えます。
それをホラー映画として脚色して問題の提言をしていますが、虐待している場面は観ていても気分のいいモノではありません。
多分だが、清水崇史監督はこの部分こそが最大のホラーだとしてリアルな描写にしていると感じました。
そんな自分勝手な大人たちに振り回される力のない子供たちに、こどもつかいがやって来て彼らに助けの手を差し伸べていくのです。
そのこどもつかいを演じるのは滝沢秀明ですが、本作で映画出演が二本目という新人です。
演技の方ではテレビドラマや舞台などで経験しているので問題はないが、映画だとまた違った演技力を必要とされると思います。
本作でのこどもつかいはあくまで虐待を受けた子供たちの怨みを晴らす立場として、ある意味、正義の味方とも言えます。
その為、『呪怨』シリーズにある問答無用の死を与える存在ではなく、子供のような立ち振る舞いながら、現実的な問題の解決方法を提示している。
本作は滝沢秀明を上手く活用しようとする清水崇史監督の演出が窺えるけど、それは結果的に中途半端なキャラクターを生み出した。
軽い感じのノリでやるのもいいけど、ユーモアの面では悪夢の殺人鬼であるフレディ・クルーガーの足元にも及びません。
フレディ・クルーガーは自分が楽しむ為に殺しをやるので、彼のキャラクターが全面的に出ているから面白い。
それに対して、本作のこどもつかいはルールに縛られるせいもあって、自由なようで自由ではなく、万能のようで万能じゃない。
現実世界での影響力は子供を通してじゃないと発揮できないが、彼の世界ではなんでもできるという設定を活かせてない。
本作を中途半端なホラー映画にしたせいで肝心の怖さはまったくないが、コミカルな部分が面白いとも思えない。
どうせやるならば、フレディ・クルーガーのような笑えるホラーにすれば、こどもつかいのキャラクターが立ったと思います。
ここら辺は滝沢秀明に気を遣ってしまったのか、遠慮してしまったのか、中途半端なキャラクターになったのは本当に残念でならない。
物語としても特別新しいところはなく、結局は滝沢秀明の主演というだけで他にセールポイントのない作品でした。