作品紹介
公開年月 | 2010/05/22 |
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ジャンル | SF/ホラー |
原作 | なし |
監督 | 塚本晋也 |
脚本 | 塚本晋也、黒木久勝 |
製作 | 川原伸一、谷島正之 |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
東京の外資系企業に勤めるアメリカ人のアンソニーは、妻ゆり子と三歳の息子トムと幸せな生活を送っていた。
だがある日、最愛の息子を謎の男に殺されてしまい、感情を抑えられなくなったアンソニーに変化が起き始める。
アンソニーの体は徐々に鉄に蝕まれ、それはかつて父・ライドが進めていた『鉄男プロジェクト』による作用だと判明するのだった。
登場人物&出演者
・アンソニー(演:エリック・ボシック)
主人公。外資系のサラリーマン。定期的に行っている父親の元で独自の診察を受けている。
エリック・ボシックは代表作に『ダンナ様はFBI/愛のミッション』、『かたりべさん』などがあります。
母親は20年前にガンで亡くしており、過剰に自分たちの心配する父親を不審に思っている。
目の前で息子が何緒かに轢き殺されると、ショックを受けて何かの発作が次第に強くなる。
体が鉄に変わって処分しに来た者たちを倒し、真実を知って密告者に対し復讐心を募らせる。
最後はゆり子を助ける為にヤツを殺しかけるが、彼女の言葉を聞いて止めて元に戻った。
・ゆり子(演:桃生亜希子)
ヒロイン。アンソニーの妻。息子が真っ黒になって死んでしまう悪夢を見て警告した。
桃生亜希子は代表作に『ロスト・イン・トランスレーション』、『ヤッターマン』がある。
息子が何者かに轢き殺されると、呆然と朝食を食べていたアンソニーにヒステリーを起こす。
何もしないアンソニーに嫌気が差し、一人で犯人探しをしようとするも止められてしまう。
息子を殺した男にも同じ目に遭わせようと危ない提案を持ちかけ、アンソニーを煽っていく。
アンソニーが変異しても傍を離れず、ヤツを殺そうとする彼を思い留まらせる事になる。
・美津枝(演:中村優子)
アンソニーの母。20年前にガンで亡くなっている。
中村優子は代表作に『火垂』、『ストロベリーショートケイクス』などがあります。
アンソニーが父親に彼女の話を持ち出すと、持っていたコップを割るほど過敏に反応する。
実は『鉄男プロジェクト』のメンバーであるが、人造人間兵器を造る事を拒んでいた。
ガンで余命幾ばくもないところでライドに解剖させて、自分のアンドロイドを造らせた。
アンドロイドとライドによってアンソニーが誕生し、鉄にならない事を信じていた。
・ライド(演:ステファン・サラザン)
アンソニーの父。妻をガンで亡くして以来、息子と孫の健康を調べるべく独自に診察する。
ステファン・サラザンは本作が長編映画デビュー作となります。
実は『鉄男プロジェクト』のメンバーであり、人造人間兵器の研究に携わっていた。
同じく研究していた美津枝と結婚するも、彼女がガンで余命幾ばくもないと知って落胆する。
美津枝が自らの体を提供して解剖させ、彼女そっくりのアンドロイドを造る事になる。
最後は家に監禁されていたが、密告者に解放されるも撃たれていて真実を話して死亡した。
・ヤツ/密告者(演:塚本晋也)
『鉄男プロジェクト』の産物であるアンソニーと息子の存在を密告したすべてを知る男。
塚本晋也は近年の出演作に『沈黙/サイレンス』、『SCOOP!』などがあります。
父親の診察を終えて家へ帰るアンソニーを追うと、息子を車で轢き殺して力を覚醒させる。
ライドとアンソニーの居場所を教えるが、処分に失敗した部隊を自らの手で処刑する。
アンソニーの力を解放させるべくゆり子を人質に自らの命と引き換えに覚醒させようとする。
ゆり子を助ける為に自分を殺させようとするも失敗し、アンソニーに取り込まれてしまう。
感想
個人的な評価
本作は2009年ヴェネチア国際映画祭においてコンペティション部門に正式出品されています。
塚本晋也監督にとって本作が初の全編英語の作品となっています。
一作目の『鉄男』から三作目となりましたが、すべての作品は繋がりがない別物である。
設定として男の体が鉄に変わっていく点では共通しているが、ストーリーは基本的にまったく違う方向性である。
一作目では塚本晋也監督の世界観が爆発した作品で、カルト映画という立ち位置にあります。
二作目は外部から出資を受けて製作したが、全体的にマイルドになってしまいました。
そして、本作はなぜか全編英語という挑戦的な作品だったが、「不条理さ」が魅力である『鉄男』とは正反対の「愛」を使っています。
これにより、それまでの作品では主人公が鉄男となって世界を破滅に追い込むが、本作は「愛」で元に戻ってしまいます。
ハッキリ言って、本作の方向性は一作目や二作目を否定して、なんだか他者の目に媚びたような作品となってしまった。
やはり、一作目の『鉄男』があった「不条理さ」で観る人を選ぶ作品だったから一目置かれたのだろうと思います。
二作目は失敗だったと思うが、本作はもう一作目の面影もないような普通の作品となった。
本作はなんだかアメコミみたいな展開になったが、そこは塚本晋也監督だけに彼の映像表現がちゃんと使われていました。
鉄の軋む男や擦れる音を爆音で鳴らしていき、激しいカット割りによって耳と目に強烈なインパクトを与えていく。
これは一作目の『鉄男』にもあった演出をちゃんと使っているのはシリーズの魅力だろう。
個人的にはどうせアメコミ風の展開にしているならば、主人公をヒーローかダークヒーローにしてもいいんじゃないかと思う。
なぜなら塚本晋也監督は観客にすり寄ってしまっているので、もう一作目のような尖った作品にはできないからだと感じました。
だったらももっと大衆向けに作り替えてもいいのではないかと思ったが、そうなるとますます一作目の面影がなくなるが。