作品紹介
公開年月 | 2015/06/02 |
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ジャンル | アクション/コメディ |
原作 | なし |
監督 | グエン・クアン・ユン |
脚本 | グエン・クアン・ユン |
製作 | |
製作国 | ベトナム |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
ギャンブル狂いの母親を世話しながら、いつか自分のブティックを持とうと夢見る仕立て見習い人のスン。
ゴキブリも怖がるスンだが、ある出来事でスーパーパワーを手に入れ、親友のサポートを受けて正義のヒーロー“超人X.”となり大活躍。
人気者になったスンに美人でワガママなキキから猛烈なラブコールを受けるが、彼には女性を受け入れない理由があった。
そんな中、超人Xの強敵となる強盗団が現れ、スンの家族や友人が戦いに巻き込まれていく。
登場人物&出演者
・スン(演:ゴ・キエン・フイ)
仕立ての見習い。ギャンブル漬けの母親の面倒をみており、ブティックを持つのが将来の夢。
ゴ・キエン・フイは代表作に『ベトナムの怪しい彼女』、『Dandelion』などがあります。
実はゲイで女性に興味がなく、迫ってくるキキも素顔の仕立て人として嫌っている。
ゴキブリが大の苦手で見ただけですぐに逃げ出し、マ行の発音がハ行になってしまう。
自分がゲイで女性を好きになれない女々しい素顔とは真逆のスーパーヒーローに嫌気が差す。
正体が暴かれても、母親やフィーを必死に助ける事で強引にハッピーエンドを迎える。
・キキ(演:タン・ハン)
スーパーダイヤモンドのオーナーの養女。ワガママで自分が常に正しく虚栄心を持つ。
タン・ハンは代表作に『レディ・アサシン/美人計』などがあります。
ハリウッドスターと知り合い、スタイルが実際より良いなど、色々と誇張している。
超人Xと一方的に恋人となるが、彼がゲイだと知って世間に公表という暴走をする。
その結果、本当に捕まってしまうが、スンの活躍で助かり、なぜか超人化する。
・フィー(演:フイ・カン)
スーパーヒーローとなったスンをサポートする。金銭面や広告などのマネジメントもやる。
フイ・カンは代表作に『Battle of the Brides』、『In the Name of Love』などがあります。
スンがスーパーヒーローとして活躍するが、実際の彼の姿には少しばかり呆れている。
男らしい方が何かと都合が良く、女々しいスンの態度に何度も注意している。
最後は超人薬を投与され、スーツを着て、男らしい超人Xを演じてテレビの前から去る。
・トゥアン・ナム(演:ラム・ヴィン・ハイ)
元ダンサーの新人歌手だが、スポンサーだったキキのワガママで契約が切られる。
ラム・ヴィン・ハイはダンサーで、本作が映画デビュー作となっています。
何か悲しい事があるとビルの屋上で踊って気を紛らわせている。
恋人がいて理想的なカップルとしてスクープされるが、実はスンが大ファンである。
ティエン博士の策略で人質になるも、スンに助けられ、彼がゲイでも偏見を持たない。
・トゥイ・ティエン(演:ジエップ・ラム・アイン)
強盗団のメンバー。当初はキキが所有するスーパーダイヤモンドを狙っていた。
ジエップ・ラム・アインは本作が映画デビュー作となっています。
捕まった恋人のファムを助ける為、ティエン博士の超人薬を投与される。
ファムを脱獄させ、超人Xをハメる罠にキキを利用して銀行強盗するも阻止される。
・ファム(演:ファム・アン・コア)
強盗団のメンバー。キキが所有するスーパーダイヤモンドを盗むも超人Xに阻止される。
ファム・アン・コアは代表作に『レディ・アサシン/美人計』などがあります。
超人Xの介入が原因で逮捕されるが、身を挺して恋人のトゥイをなんとか逃した。
トゥイによって脱獄し、ティエン博士の元で仲間とともに超人薬を投与する。
・バ・スエン(演:フォン・タン)
スンの母親。どうしようもないギャンブル狂いで常にお金に困っている。
フォン・タンは代表作に『Lost in Paradice』、『Kiss of the Death』などがあります。
帰ってくる息子から金をせびり、ギャンブルで負ける度にフィーが助けている。
ティエン博士の策略で捕らわれるが、スンに助けられ、最後は超人と化す。
・ティエン(演:スット・ヴィエット・アイン))
独自に超人の研究をしていて、清掃係だったスンを実験体にするも失敗して殺した勘違い。
スット・ヴィエット・アインは様々な映画や舞台などで活躍しているベテラン俳優です。
実は超人Xとなったスンが失敗だと思っていた実験が成功した事に興奮する。
トゥイたちに超人薬を投与し、スンを追いつめるが、奮闘した彼の前にあっさり捕まる。
その結果、母親、キキ、フィーと恋人がみんな超人薬を投与する事になる。
感想
個人的な評価
ベトナム製作のスーパーヒーローを題材にした映画となっています。
そもそも、ベトナム映画というのは珍しく、このような作品があるのは驚きです。
ベタベタすぎるスーパーヒーロー映画であるが、本作から伝わるのは製作側の熱意です。
本作ではCGはもちろん、ワイヤー、パルクールと言ったアクションが取り入れている。
どうしてもベトナムという国のイメージは社会主義で娯楽が制限されている。
映画はほとんどないと思っていたが、本作によって大きくイメージを覆している。
ベトナム映画というと、過去に鑑賞した『夏至』のような田舎のイメージがありました。
しかし、本作では大都会を舞台にしており、スーパーヒーロー映画らしい背景となる。
当たり前のようにスマートフォンや高層ビルが登場しているのも驚きです。
しかも、単なるスーパーヒーロー映画ではなく、まさか主人公がゲイという設定です。
基本的にスーパーヒーロー映画の主人公は男らしさが第一となっています。
その中で本作の主人公がゲイという設定が珍しく、ベトナムらしいと言えるだろう。
その為、本作にはヒーローとしての葛藤よりも、ゲイである事が悩みとなります。
アメコミにもゲイのキャラクターがいるけど、実写映画にはまだ登場していません。
ですから、本作の主人公がゲイというキャラクターはスーパーヒーロー映画として初です。
そして、本作にはアメコミ原作の実写映画にに敬意を表したシーンがいくつもあります。
アメコミ原作映画を知っているならば、オマージュを捧げた演出がすぐに分かります。
特にアクションシーンでのオマージュが強烈なインパクトを残しています。
ベトナムの映画として珍しさも手伝って、新鮮な感じであり、映画としても成立している。
王道のスーパーヒーロー映画とは少し違っているが、コミカルな要素も悪くないと思う。
ただ、クライマックスでみんなが超人と化すのはさすがにやり過ぎだと感じました。
それでは主人公の特別性が損なわれ、簡単に誰でも超人になれる流れは失敗だったと思う。
ここら辺の詰めの甘さが慣れていない印象を受けてしまう少しもったいない作品でした。