トンビルオ!密林覇王伝説 RE-3082

作品紹介

公開年月  2019/03/29
ジャンル  アクション/アドベンチャー
原作  ラムリー・アワン・ムルシド 『TOMBIRUO/PENUNGGU RIMPA』
監督  セス・ラーニー
脚本  ヤズミン・ヤーコブ、チレン・チョン
製作  アスラム・ユソフ
製作国  マレーシア
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

マレーシアの山奥で世にも恐しく醜い顔という呪いと、木々や大地を意のままに操る力を併せ持つ青年がいた。
育ての父の下、素顔を仮面で覆い能力を隠しながらひっそりと暮らすも、土地開発を巡る抗争で育ての父が殺されてしまう。
怒りと自然を守る使命に燃える彼は、密林の守護者トンビルオとなり、悪党たちを倒すヒーローとなっていくのだった。

登場人物&出演者

トンビルオ/エジム(演:ゾル・アリフィン)
主人公。乱暴された娘から生まれた悪魔と呼ばれる。顔が醜く自然を暴走させる力を持つ。
ゾル・アリフィンは代表作に『Bikers Kental』、『Misteri Dilaila』などがあります。
本来は死ぬ運命だったが、自然の力で許されず、ポンドロウに拾われて正しく育てられる。
森を守る勇者として破壊する者を倒すが、その見た目からアミルに勘違いされてしまう。
父親を戦いの中で亡くして悲しむが、アミルが双子の兄弟だと知って新たな希望を持った。
最後は黒幕であるウォンとジュスランを倒し、アミルの誘いを断って森に残る事を選ぶ。

アミル(演:ファリッド・カミル)
森林警備員。オマー会長の娘サリーナの夫。ダム開発中止の会見に向かう妻たちに興味なし。
ファリッド・カミルは代表作に『ドリフト・エボリューション』、『ハントゥ・ギャングスター』などがあります。
あくまで自分の仕事を優先させていて、森林の村で暴漢が現れると相棒とともに現場へ行く。
道中で妻サリーナがトンビルオに殺されたと勘違いし、ずっと彼に対して恨みを持つ。
呪医モンスロイの言葉と腕の印からトンビルオが生き別れた双子の兄弟だと知って和解する。
最後は妻のカタキであるジュスランと対決し、最終的にトンビルオに助けてもらった。

ワン・スラヤ(演:ナビラ・フダ)
テレビ番組の記者。ダム開発中止をしようとするオマー会長たちを追って取材にやって来る。
ナビラ・フダは代表作に『Rock』、『Makrifat Cinta』などがあります。
オマー会長と娘サリーナが事故死し、その現場を目撃するもカメラで映すのを止めた。
トンビルオの存在を知って製材所が次々と襲撃されていると知り、ウォンが怪しいと睨む。
ウォンがジュスランと結託している事を知り、彼らに追われるもトンビルオに助けられる。
最後はジュスランたちの悪事を暴き、トンビルオの活躍を報道しないと約束して去った。

モンスロイ(演:ファーラー・アフマッド)
森林の奥にある小屋に住む呪医。若かった頃にトンビルオの母親を何ヶ月も匿っていた。
ファーラー・アフマッドは代表作に『Chermin』、『Suatu Ketika』などがあります。
トンビルオを取り上げた際に彼を殺そうとした男に顔を傷つけられるが、反撃して殺した。
そのままトンビルオを川に流すが、死なない運命だと悟ってずっと見守っていた。
妻を殺したと勘違いするアミルが森の小屋に来ると、トンビルオは殺人をしないと語った。
最後は対決するアミルとトンビルオに祈りを捧げ、彼らに事実を伝えて和解をさせた。

ポンドロウ(演:ファイザル・フセイン)
森林の奥に住んでいた男。川に流された赤ん坊のトンビルオを見つけて育てる事になる。
ファイザル・フセインは代表作に『Bunohan』、『ミセスK/裏切りの一撃』などがあります。
元々は兵士で武術を使うが、不思議な力を持つトンビルオの高ぶった感情を抑えようとする。
力を森の為に使うべきだとトンビルオに教えて、殺人じゃなく守る為の戦いを叩き込まれる。
ダム開発中止に反対する暴漢たちに村が襲われると、トンビルオとともに助けようとする。
最後は油断したところでウォンに撃たれ、治療できずにトンビルオの腕の中で死亡した。

ウォン(演:マイケル・チェン)
ダム開発計画の警備主任。トンビルオによって製材所を何度も襲撃されても余裕を示す。
マイケル・チェンは代表作に『Take Me to Dinner』などがあります。
実は森林の村を襲った暴漢の張本人であり、裏でジュスランと結託して行っていた。
会社を引き継いだバイズーラに警備状況を笑顔で伝え、トンビルオの出現場所を教えた。
ワンに悪事がバレてしまうと、ジュスランの命令によって一緒にいたアミルも殺そうとする。
最後は傷ついたトンビルオに善戦するが、結局は主人公パワーの前に倒れてしまう。

ジュスラン(演:ハスヌル・ラーマット)
オマー会長の弟。森林伐採で事業を拡大してきた兄のダム開発中止に同調していた。
ハスヌル・ラーマットは代表作に『Paloh』、『Songlap』などがあります。
森林の村を暴漢が襲った際、彼らが逃げる時に巻き込まれてなぜか一人だけ軽傷で済む。
実は以前から兄のダム開発中止を危惧し、ずっと彼とその娘を殺害しようと計画をしていた。
バイズーラに会社を取られてしまい、ウォンと結託して殺害計画を練るも邪魔される。
最後はアルミと直接対決して善戦するが、結局はトンビルオの自然パワーの前に倒された。

感想

個人的な評価

本作は『未体験ゾーンの映画たち2019』にて上映された作品となります。
この作品は珍しいマレーシア産であり、監督のセス・ラーニーは『スーパーマン/リターンズ』や『ウルヴァリン:X-MEN/ZERO』でVFXとスタッフして参加しています。
ラムリー・アワン・ムルシドの小説を基に作られ、いわゆるマレーシア版『ターザン』とも言える作品となっています。
主人公であるトンビルオは呪われた子供で、顔が非常に醜いが、感情の高ぶりとともに自然を操って暴走させる事ができる。
ここら辺は『ターザン』と違っている設定ですが、基本的に肉弾戦だけで挑む事が多いです。
本来は殺される運命だったトンビルオは森に住む男に育てられ、あくまで自然を守る為に戦うようになっていきます。
育ての親が自然を破壊しようとする者たちに殺され、結局は復讐の為に立ち回るようになるけど、そこに女性記者との出会いで変わる。
トンビルオは誰にも理解されない者だったが、彼を取り上げた呪医の言葉で双子の兄弟がいる事が判明していく。
物語の中心にはダム建設を中止させる企業の一家が暴漢たちの襲撃で会長や幹部である娘が倒れ、その裏にある陰謀が明らかになります。
その中でトンビルオは暴漢に父親が殺され、復讐に駆られていく展開になるが、あくまで彼は殺人をしないルールを守っていくのです。
トンビルオは基本的にほとんどしゃべらないし、顔には木を削った仮面をしているので、一見すると悪役のように見えてしまう。
これについては『ターザン』と大きく違い、双子の兄弟だと後に判明するまで悪者だと勘違いされても仕方ない。
結局、本作では正しい事をしようとして大きな犠牲を強いられ、逆に悪事をしようとする方が利益を得ようとする。
そこにはねじ曲がった黒幕の保身と、真の絆が分かっている対比を描こうとしていました。
マレーシア産の珍しい映画ですが、随所に見られる武術「シラット」は見映えが良く、新たなアクション映画として可能性を見せてくれました。
トンビルオの設定はオリジナリティを出そうとして多少強引にして、それがご都合主義の為に使われたのは残念だと感じた。