マーズ・コンタクト RE-3081

作品紹介

公開年月  2018/11/08
ジャンル  SF/アドベンチャー
原作  なし
監督  アレクサンデル・クリコフ
脚本  アレクサンデル・クリコフ、ミハイル・ラスコドニコフ、ほか
製作  アレクサンデル・クリコフ
製作国  ロシア
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

火星への有人探査に参加した宇宙飛行士チャパエフは、大気圏に突入時に大砂嵐に見舞われて宇宙船は激しく損傷する。
その際に他の乗組員を脱出させ、一人だけ実験モジュールとともに火星に不時着し、生き残ったチャパエフは辛うじて無事だった設備で地球との交信とわずかな食糧を確保した。
地球ではチャパエフの番組が人気が出る一方、彼は不時着した日から未知なる生命体の存在に勘づいて探索ロボットで必死に事実を確かめようとするのだった。

登場人物&出演者

アレグザンダー・チャパエフ(演:アレクサンデル・クリコフ)
主人公。初の火星有人探査の宇宙飛行士で司令官。乗組員たちを助けて自分は火星に降りる。
アレクサンデル・クリコフは本作が長編映画デビュー作となります。
当初は死んだと見なされていたが、なんとか地球と交信する事で生存を世界中に知らせた。
大臣からの資金打ち切りを知り、テレビ番組のショーに出演して資金集めに奔走する。
火星の生命体に遭遇するも誰にも信じてもらえず、通信を絶って孤独に事実を確認する。
最後は幻だとコヴァレフに言われるが、モジュールを爆破して証明し、生命体と接触した。

アンナ(演:アンナ・バンシチコーヴァ)
ロシアの火星有人探査計画において地球から乗組員たちの精神を分析する担当している。
アンナ・バンシチコーヴァは代表作に『You Are My Only Love』、『About Love. Adults Only』などがあります。
通信を担当するピーターと同棲しているが、孤独なチャパエフに生活のほとんどを捧げる。
あくまで精神分析医としてチャパエフと接するが、ピーターを蔑ろにしている事に気付かず。
ランドルフが番組を茶番にしてしまい、コヴァレフの言葉でチャパエフは幻だと勘違いする。
最後は実験モジュールの爆発でチャパエフが生きていると知り、ただ呆然と画面を見ていた。

ピーター・ノヴィコフ(演:マキシム・ヴィートルガン)
ロシアの火星有人探査計画において通信を担当している。アンナと同棲している恋人。
マキシム・ヴィートルガンは代表作に『メビウス』、『Bite the Dust/バイツァ・ダスト』などがあります。
アンナが火星で生き残ったチャパエフに入り浸っている事で、もの凄い嫉妬心を出していく。
そのせいで仕事も疎かになってしまい、チャパエフが捕らえた生命体の存在に気付かず。
チャパエフを嫌っていて、大臣やテレビ番組の意向で作られたキャラクターの存在を知る。
最後はチャパエフが生きていた事を知るが、ただ画面を呆然と見ていただけで終わる。

アレグザンダー・コヴァレフ(演:アンドレイ・スモリャコフ)
ロシアの火星有人探査計画の責任者。計画の司令官であるチャパエフとは親友の間柄。
アンドレイ・スモリャコフは代表作に『スターリングラード』、『ヴァイキング』がある。
砂嵐によって宇宙船が破損してしまい、チャパエフが犠牲になってしまった事に後悔する。
チャパエフが生きていると知り、救助を大臣に申し出るも多額の資金で断念を言い渡される。
ランドルフの言葉に従ってテレビ番組を承諾し、救助の資金を集めようとしていた。
最後はチャパエフがすでに死んでいたと勘違いするが、彼のサインを知って哲学を口にする。

大臣(演:ユーリー・ツリーロ)
ロシアの火星有人探査計画で資金を捻出した大臣。乗組員の命より計画を優先している。
ユーリー・ツリーロは代表作に『神々のたそがれ』、『あの日の声を探して』があります。
チャパエフが火星で生き残ってしまった事に焦りを持ち、救助できないとコヴァレフに言う。
テレビ番組でチャパエフに人気が出ると、コヴァレフを責任者から降ろして乗っ取る。
チャパエフをモーションキャプチャーで虚構のキャラクターを作成し、大統領候補になる。
最後はランドルフの裏切りで番組が茶番になり、結果的にウソだとバレて逮捕された。

グレゴリー(演:グリゴリ・シャヤトヴィンダ)
ランドルフのテレビ局に所属するタレント。火星有人探査計画の失敗を取材にやって来る。
グリゴリ・シャヤトヴィンダは代表作に『Dead Man’s Bluff』、『Paragraph 78』がある。
チャパエフが生きていると判明してガッカリするが、ランドルフの命令で様子を見る。
ランドルフによりチャパエフの番組が作られると、司会者として派手に盛り上げていく。
チャパエフが通信を絶つと、モーションキャプチャーで彼になって人気を博す事に。
最後はランドルフの裏切りでチャパエフのモーションキャプチャーをしていた事がバレる。

ローマン・ランドルフ(演:ボリス・モイセエフ)
テレビ局の社長。火星に生き残った宇宙飛行士のチャパエフを主役にした番組を提案する。
ボリス・モイセエフは代表作に『デイ・ウォッチ』、『The Best Movie』などがあります。
あくまでチャパエフは金儲けの為だけしか考えておらず、ギリギリまで彼を利用する。
チャパエフが通信を絶ってしまうと、本番としてモーションキャプチャーで彼を作り出す。
生まれ変わったチャパエフを使ってブランド化し、様々なグッズを出して金儲けをする。
最後は大臣の欲を見限り、コヴァレフの願いを叶う形ですべてを茶番にして番組を潰した。

感想

個人的な評価

本作は『デイ・ウォッチ』や『ウォンテッド』のVFXスタッフたちが参加した作品です。
近年ではSF映画に多く投資しているロシア産の作品であり、設定としては『オデッセイ』を連想させます。
しかし、実際に鑑賞するとジャケットと邦題を盛大に詐欺している作品の一つでした。
『オデッセイ』では遭難した主人公のサバイバルが描かれているが、本作の主人公はそこまで絶望的な状況じゃないように思える。
電力は13ヶ月もあって、食糧は30ヶ月も耐えられるし、外には地上を探索する機械まで揃っている状況になっている。
そうなってくると、本作の注目するべき点は火星で一人生きる主人公をテレビ番組のショーとして見せている点になります。
テレビは人の生死すらショーにして金を稼ぐという皮肉を本作で見せていて、結果的に誰が一番利益を上げていくのか分かります。
遠い火星に取り残された一人を救う為に多額の資金が必要という現実と、人情として彼を助けようとする動きがあります。
その間に置かれるミッションの責任者が葛藤に苛まれるが、サバイバルをする宇宙飛行士の話はかなり雑になってしまっている。
視点が火星よりも地球に置かれてしまい、本作が『オデッセイ』を何倍も劣化させた内容だとすぐに分かる事でしょう。
主人公が火星の生命体と接触するも、孤独と空腹で幻覚を見ている事にされてしまい、ラストでようやく本当だと分かっても終わりが迎えられる。
結局、火星の生命体について謎のまま放置されるし、生き残った主人公も放置され、地球人が人間性を失ったという哲学に走ってしまう。
そもそも、本作では真面目に火星の物語を描くつもりはなく、人間は愚かで金儲けに走るヤツは最悪で、テレビの関係者は極悪と言いたいだけでした。
似た構造として『トゥルーマン・ショー』があるけど、こちらの方はしっかりと作られているし、何よりジム・キャリーという華のある主役がいたから良かった。
それに対して、主人公の宇宙飛行士は単なるオッサンだし、彼を助けようとする責任者はハゲのオッサン、精神分析医もババアで恋人は嫉妬深い役立たずの通信担当のオッサン。
こんなメンツでは登場人物に魅力はあるはずもなく、ムダに頑張ったCG映像も釣られて安っぽく見えてしまうのです。
見せ場もないし、テンポも悪いし、伏線を張るけど回収する気もないし、単純に政治家とテレビ関係者を批判したいだけの作品でした。