フッテージ VD-91

作品紹介

公開年月  2012/10/12
ジャンル  サスペンス/ホラー
原作  なし
監督  スコット・デリクソン
脚本  スコット・デリクソン、C・ロバート・カーギル
製作  ジェイソン・ブラム、ブライアン・カヴァナー=ジョーンズ
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

ノンフィクション作家のエリソン・オズワルトは、10年前にベストセラーを手がけて以来、ヒット作に恵まれず、今ではローンの返済に追われる日々。
そこで起死回生を図ろうと、かつて一家首吊り事件が起きた一軒家に妻子を連れて引っ越す。
エリソンはこの怪事件をテーマに新作を執筆しようと考えるが、事件について家族には一切話していなかった。
やがて、エリソンは屋根裏部屋に古びた映写機と数本の8ミリフィルムを発見し、そこに残された不気味な映像から事件の真相を追うのだった。

登場人物&出演者

エリソン・オズワルト(演:イーサン・ホーク)
主人公。ノンフィクション作家。『流血のケンタッキー』以来、鳴かず飛ばずのスランプ。
イーサン・ホークは近年の出演作に『マグニフィセント・セブン』、『バレー・オブ・バイオレンス』などがあります。
厳しい言葉で引っ越してきた家から追い出そうとする保安官に一歩も引き下がらない。
屋根裏部屋から映写機とフィルムを見つけ、映像から大ヒットするネタだと確信して没頭。
その結果、引っ越してから数日で酒の量が増え、情緒不安定になってトレヴァーに伝染。
最後はブグールの正体を見破るが、すでに追いつめられていてアシュリーに殺される。

トレイシー・オズワルト(演:ジュリエット・ライランス)
エリソンの妻。夫のスランプ脱出に協力する。事件が起きた家と分かっても事実を聞かない。
ジュリエット・ライランスは代表作に『ブロークン・ポイント』、『僕のワンダフル・ライフ』などがあります。
あくまでエリソンの執筆を第一に考えるが、トレヴァーの発作について心配している。
エリソンが発見していく中で、彼の異変に気づいて心配するも言いくるめられる。
ようやく家が犯罪現場だと知って、烈火の如くエリソンに怒鳴るが不毛だと気づく。
家を出る事で気持ちを新たにするが、アシュリーがブグールになって殺される。

アシュリー・オズワルト(演:クレア・フォーリー)
長女。引っ越して早々、壁に絵を描いている。その時に前の家に戻りたいとエリソンに言う。
クレア・フォーリーは代表作に『WIN WIN/ダメ男とダメ少年の最高の日々』、『サウスポー』などがあります。
一日で壁に多くの絵を描いて、エリソン同じく有名になれるのかと無邪気に尋ねた。
エリソンの調査で家に異変が起き、前の住民だった女の子の幽霊を見てしまう。
一度は逃げ出そうとしたエリソンたちだが、すでにブグールによって支配されていた。
最後は長年続いているブグールの連鎖殺人を行い、エリソンを有名人にして消える。

トレヴァー・オズワルト(演:マイケル・ホール・ダダリオ)
長男。思春期で軽い反抗期。父親の仕事に対して興味はなく、心配する母親を煙たがる。
マイケル・ホール・ダダリオは代表作に『People Like Us』などがあります。
引っ越した事に多少の不満を持ち、食事の際にかなり機嫌を悪くしていた。
以前から睡眠障害を患っていて、引っ越したストレスで発作を起こしてしまう。
発作から解放されるが、ブグールとなったアシュリーによって殺される。

保安官(演:フレッド・ダルトン・トンプソン)
地元の保安官。引っ越してきたエリソンに挨拶するが、引き返すように忠告をする。
フレッド・ダルトン・トンプソンは代表作に『ダイ・ハード2』、『レーシング・ストライプス』などがあります。
なぜなら事件を蒸し返そうとするエリソンの魂胆を読み、余計な詮索を止めようとする。
家から出ようとするエリソンたちを一度引き留めるが、本を書かないと知って見逃す。

副保安官(演:ジェームズ・ランソン)
地元の副保安官。エリソンのファンでサインを求めようとするが保安官に注意される。
ジェームズ・ランソンは代表作に『オールド・ボーイ』、『ブロークンシティ』があります。
ケガをしたエリソンに家へやって来て、謝辞の代わりに個人的に捜査の協力を申し出る。
地元で起きた事件を見過ごす事ができず、真相に迫っていくエリソンに更なる協力をする。
徐々にストレスを溜め込んでいるエリソンを気遣い、家にいる危険さを忠告した。
事件の核心を突く情報をもらすが、それはエリソンが連鎖の中に加わった事を示した。

ジョナス教授(演:ヴィンセント・ドノフリオ)
オカルト関係に詳しい大学教授。副保安官から紹介される。すぐに暗号を解いていく。
ヴィンセント・ドノフリオは近年の出演作に『マグニフィセント・セブン』、『疑わしき戦い』などがあります。
エリソンが集めた資料から共通する暗号から“ブグール”という存在を示した。
ブグールが危険な存在だと知らせるが、時すでに遅しだと悟って気の毒な顔を浮かべる。

感想

個人的な評価

本作は『地球が静止する日』、『ドクター・ストレンジ』で知られるスコット・デリクソン監督の作品となります。
スコット・デリクソン監督はあまり印象に残っていなかったですが、『ドクター・ストレンジ』によって世界的に有名となりました。
満を持して登場したMCU最後の大物の単体映画として及第点であり、何よりその映像トリックが凄まじかったです。
本作はスコット・デリクソン監督にとって大きな意味を持っていて、続編では脚本と製作を担当しています。
この作品は現代的な低予算ホラー映画で、主な舞台として主人公が引っ越した家となる。
近年のホラー映画は大胆なスプラッターよりも、本作のようなサスペンス色が強く、密室で展開する作品が多くなっています。
その代表格とも言える本作だが、大抵の場合は主人公たちが知らずのうちに呪われるけど、この作品は自ら泥沼に突っ込んでいきます。
つまり、これは完全なる自業自得でありながら、本を書くネタの為なら家族まで巻き込む無責任な男の物語となる。
そんな夫が段々とおかしくなっていく中、知らんぷりしていた妻が急にブチ切れるなど、あまりにも展開が唐突すぎた。
さすがに『ドクター・ストレンジ』で魅せた映像トリックを上手く使っているのは分かる。
しかしながら、本作は根底的なホラー映画としての出来はあまり良くないです。
序盤の加速はなかなか良かったが、段々と真相が分かってくると、悪霊か悪魔の類だと判明して一気に失速していく。
ただ、その前から中だるみが発生していて、主人公の身勝手さだけが浮き彫りになった。
ハウスホラー映画を盛り上げたジェームズ・ワンの『インシディアス』や『死霊館』と比べると演出がチープすぎました。
本作は古典的なアメリカンな驚かせ方で、いきなり大きな音を出して恐怖を煽る稚拙さ。
このパターンが永遠と繰り返されていく上に、犯人が人間じゃないと分かり、盛り上がるどころか下降線をたどる。
ハッキリ言って、スコット・デリクソン監督はホラー映画の撮り方はあまり上手くない。
主人公がおかしくなりそうでならない点でも、『シャイニング』を彷彿するも、そこまで突き抜けていない。
だからと言って、面と向かって対決するワケでもなく、ただ怯えて逃げるだけである。
しかも、逃げるのは家族の為というよりは、自分がビビったから逃げる悪い印象を与えた。
そもそも子供たちとの関わりが薄く、妻についても表面的な付き合いしかない。
やはり、本作はジェームズ・ワン監督の作品と比べる幼稚すぎる演出と設定だと感じた。
スコット・デリクソン監督は今後、アメコミ原作映画の方で頑張って欲しいです。