ブラック・スキャンダル RE-2252

作品情報

公開年月  2015/09/04
ジャンル  ドラマ/犯罪/伝記
原作  ディック・レイア&ジェラード・オニール 『ブラック・スキャンダル』
監督  スコット・クーパー
脚本  ジェズ・バターワース、マーク・マルーク
製作  スコット・クーパー、ジョン・レッシャー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1975年、サウスボストン。アイルランド系ギャングのボス、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーは、イタリア系マフィアと激しい抗争を繰り広げていた。
一方、弟のビリーは州の有力政治家として活躍し、そこにバルジャーの幼馴染みだったジョン・コノリーがFBI捜査官として戻ってくる。
FBIはイタリア系マフィアの一掃を目標に掲げており、野心に燃えるコノリーはバルジャーにある提案を持ちかける。
それは、バルジャーがFBIの情報屋となって、イタリア系マフィアの情報を流す代わりに彼の犯罪行為を見逃すという密約だった。

登場人物&出演者

ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー(演:ジョニー・デップ)
主人公的な立場。南ボストンを中心に活動するウィンターヒル・ギャングのリーダー。
ジョニー・デップはアカデミー主演男優賞を三度もノミネートする実力派だが、近年は色物のキャラクターが多いです。
本作はジョニー・デップの存在があって成立しているぐらい、彼の存在感が圧倒的です。
ハゲ上がった頭、金の差し歯、病的に痩せた表情、怪しい目つきは犯罪者そのものでした。
その場にいる全員を食ってしまうような勢いを見せるけど、なんだか中途半端になったのは残念で仕方ありません。

ジョン・コノリー(演:ジョエル・エドガートン)
中心人物。ボストン南部で育ったFBI捜査官でバルジャーとは幼馴染みである。
ジョエル・エドガートンはオーストラリア出身で、代表作には『エクソダス:神と王』、『華麗なるギャッツビー』などがあります。
地元であるボストンへFBIとして帰ってきて、イタリア系マフィアの撲滅を命じられる。
幼馴染みのバルジャーと手を組み、イタリア系マフィアを一掃するも、どう見ても金魚の糞にしか見えなかったです。
ジョエル・エドガートンは見た目が正義の味方ではないので、ハマリ役だと感じた。

ビリー・バルジャー(演:ベネディクト・カンバーバッチ)
ジェームズの弟で政治家。州の上院議員を務めていて、兄の犯罪行為には一切関与しない。
ベネディクト・カンバーバッチは今後期待される俳優の一人で、『ドクター・ストレンジ』の公開が控えています。
物語では必然的な人物ではなく、弟という点意外では特に目立ったところはなかったです。
映画的に考えれば、犯罪王、FBI、政治家の組み合わせで面白くなる可能性を秘めているだけに活かされないのは残念だった。

スティーヴン・フレミ(演:ロリー・コクレーン)
バルジャーの右腕。20人を殺害してきたバルジャーの頼れる仲間で常に一緒に行動する。
ロリー・コクレーンはテレビドラマ『CSI:マイアミ』で知られています。
バルジャーの命令なら躊躇いもなく殺すが、義理の娘を目の前で殺された時はさすがに黙る。
目立っているバルジャー以下、その他大勢に成り下がったのは残念でならなかったです。

マグワイア(演:ケヴィン・ベーコン)
コノリーの上司。バルジャーとの協力に懐疑的でコノリーのやり方に不信感を持っていた。
ケヴィン・ベーコンは俳優だけじゃなく、映画監督しても活躍しています。
犯罪者と手を組むのは反対だったが、マフィアを潰すなら仕方なく承認しています。
悪人ばかりが出ている本作では貴重な正義の味方だが、彼すら本当に正義か疑われる。

フレッド・ワイシャック(演:コリー・ストール)
連邦検察官。熱血漢タイプで犯罪を許さず、野放しにされるバルジャーに疑問を持つ。
コリー・ストールは近年多くの作品に出演し、『アントマン』での悪役で世界的に知られるようになりました。
悪人ばかりが登場する本作で正真正銘の正義を体現し、賄賂には一切見向きもしない。
彼の登場でバルジャーやコノリー、ビリーまでも追い込まれるという頼れる人物でした。

モリス(演:デヴィッド・ハーパー)
FBI捜査官。コノリーと組んでいたが、バルジャーの賄賂で抱き込まれる。
デヴィッド・ハーパーは近年、サスペンス映画によく登場し、『イコライザー』でもFBI捜査官を演じていました。
コノリー以上の金魚の糞となって、おこぼれをもらうが、裏切った事で罪を逃れるダメ人間。

感想

個人的な評価
実際に起きた事件を基に作られた実写映画。
犯罪者の半生を描いた映画は数多く存在する中で本作もその一つとなります。
ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーは残念ながら初めて聞いた名前です。
ただ、このバルジャーという男はチンピラから、やがてボストンを牛耳る大物の犯罪王になる過程を本作で描いています。
とにかく、そのバルジャーを演じているジョニー・デップが凄まじい役作りです。
ハゲ上がった頭、差し歯、そして病的に痩せて危険な目つき、完全にバルジャーという人物になっていました。
何をするか分からないような危険さを放っていて、いつも軽い調子で演じているジョニー・デップだと思えないほどシリアスでした。
やはり、元々は実力派であったジョニー・デップだからこそできた芸当でしょう。
そんなバルジャーに金魚の糞みたいに付いて行くFBIであるジョン・コノリーを演じたジョエル・エドガートンも良かった。
以前から顔が正義の味方じゃないと思っていたが、汚職事件の中心人物としてハマリ役です。
『ドクター・ストレンジ』の公開が控えるベネディクト・カンバーバッチも少ない出番ながら役目を果たしています。
しかしながら、何度も書いてきたように実際の物事を扱った実写映画というのは退屈な場合が非常に多いです。
淡々と物語をあっさりと流しているので、印象的な場面というのはどうしても残らない。
時系列に出来事を追っていくストーリー展開だから、余計な演出をしている余裕がないと伝ってきます。
本作も例外に漏れず、確かにバルジャーは危険な人物だと分かるけど、同じ調子で物事が展開するので今一つ記憶に残らない。
大物俳優がかなり出演しているが、時間が足りないせいで見せ場がほとんどありません。
個人的には歴史を知るにはちょうどいいけど、映画としての面白さはあまり感じなかった。