作品紹介
公開年月 | 1974/02/08 |
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ジャンル | カンフー/アクション |
原作 | なし |
監督 | ジミー・ウォング |
脚本 | ジミー・ウォング |
製作 | レイモンド・チョウ |
製作国 | 香港 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
正徳武館でカンフーの修行を積むチェン・ロンは、料理店で対抗する流派である鉄鉤門の門下生に絡まれていた客を助ける為に乱闘となる。
門下生からウソの報告を受けた鉄鉤門師匠のチョウは正徳武館へ殴り込みをかけるが、道場主カンと弟子たちにより返り討ちにされる。
メンツを潰されたチョウはアジア各国から凄腕の格闘家を招き、チェン・ロンは右腕を切り落とされながらも、左手を必殺の拳に変えて復讐を開始するのだった。
登場人物&出演者
・チェン・ロン(演:ジミー・ウォング)
主人公。正徳武館の実力者。料理店で客に絡む鉄鉤門の門下生たちと乱闘騒ぎを起こす。
ジミー・ウォングは代表作に『片腕必殺剣』、『新座頭市・破れ!唐人剣』などがあります。
チョウがアジア諸国から武芸者を集めると、襲撃された染め物工場に向かい助け出した。
道場まで乗り込んだチョウに雇われた沖縄空手の二谷に右腕を切り落とされてしまう。
なんとか逃げ出し、シャオユーの治療と厳しい修行を経て左手による必殺の拳を編み出す。
最後は敵を一人ずつ倒していき、二谷をタイマン勝負して見事に勝って復讐を果たした。
・シャオユー(演:タン・シン)
チョウが武芸者たちに道場が荒らされ、なんとか逃げ出したチェン・ロンを助けた山奥の娘。
タン・シンは代表作に『Fu hu bang』、『Cheng gong ling shang』などがあります。
瀕死状態だったチェン・ロンを治療させるが、復讐を誓う彼の為に必殺の拳について話した。
厳しい修行で左手を酷使するチェン・ロンの苦しみを知り、その状況から目を瞑っていた。
最後は料理店にいてキムに絡まれるが、チェン・ロンが戻って倒し、戦いの狼煙を上げる。
・カン(演:マー・チ)
正徳武館の師匠。町で乱闘騒ぎを起こし、日を改めて決着をつけたチェン・ロンたちを注意。
マー・チは代表作に『香港の白い薔薇』、『Jue zhan Tian Men』などがあります。
あくまで武術家は敵を倒すのではなく、精神を鍛える事こそが目的だとチェン・ロンに話す。
チェン・ロンが懲罰を受ける間にチョウがやって来ると、頑なに彼を出さずにやり過ごす。
再びアジア諸国の武芸者立ちを引き連れたチョウが道場破りに来て、弟子たちを迎撃させる。
最後はチェン・ロンの右腕が切断され、なんとか助けるも道場は壊滅状態になってしまう。
・キム(演:マオ・シャン)
テコンドーの達人。招集した時にはビンを口でかみ砕き、飲むというパフォーマンスをした。
マオ・シャンは代表作に『A Touch of Zen』、『Shen chu gui mei nu sha xing』がある。
正徳武館にやって来ると、先鋒を担って迎え撃つカンの弟子を強力なパンチで倒していく。
次にチェン・ロンが対戦を名乗り出ると、パンチが一切通用せずあっさりと退場させられる。
最後は料理店でシャオユーにちょっかい出したが、チェン・ロンの一撃で呆気なく死亡。
・高橋名人(演:ウー・タンチャオ)
日本から来た柔道の名人。薄い柔道着と赤い帯をする胡散臭い格好をしている。
ウー・タンチャオは代表作に『Ying xiong ben se』、『Mo gui ke xing』などがあります。
一番弟子のテン・パイにレンガ工場まで連れられ、用件を聞きに来た門下生を投げ飛ばす。
柔道家なのに打撃技を普通に使い、地面に叩きつける柔道技じゃなく空中に放り投げる。
正徳武館の道場にやって来ると、相変わらず相手を投げ飛ばすだけなのに強力な攻撃となる。
最後は道場に来たチェン・ロンを迎え撃つが、投げ飛ばす技が通じず正拳を食らって死亡。
・ナイ(演:ハン・クァン)
タイ式ボクシング兄弟の兄。タイの伝統衣装(黒とピンク)を着て弟とともに参加する。
ハン・クァンは代表作に『Tian wang jian』、『Tiao zhan』などがあります。
高橋名人と一緒にレンガ工場に来ると、華麗なる足技で翻弄して次々と倒していった。
正徳武館の道場にやって来ると、弟とともに戦う前の儀式をしてからカンの弟子を倒した。
最後は弟と二人がかりでチェン・ロンに挑むが、足を破壊されてあっさりと殺された。
・ミー(演:ブラッキー・コー)
タイ式ボクシング兄弟の弟。タイの伝統衣装(濃い緑)を着て兄とともに参加する。
ブラッキー・コーは代表作に『超アブない激辛刑事/カリー&ペッパー』、『新ポリス/ストーリー』などがあります。
高橋名人と一緒に染め物工場にやって来ると、容赦なく門下生たちを打ちのめしていく。
正徳武館の道場にやって来ると、兄と儀式をしてからカンの弟子を肘と膝で倒していった。
最後は兄と二人がかりでチェン・ロンに挑むが、強力な左腕の攻撃にあっさり殺された。
・ミスター・ムラシン(演:チュン・リンパン)
インドヨガの達人。顔だけが黒くて、それ以外は色を塗り忘れた胡散臭いインド人。
チュン・リンパンは本作が長編映画デビュー作となります。
紹介された時に剣を自分の胸に刺して貫通させるが、抜くと何事もなかったような状態に。
正徳武館の道場にやって来ると、いきなりダメージを受けるも妙な武術で相手を翻弄する。
最後はチェン・ロンが待ち構える場所で対決するが、同じ逆立ちによる攻撃で倒された。
・コーフー(演:チャン・イークェイ)
遠くチベットからやって来たラマ僧の一人。常に数珠を片手にして戦っている。
チャン・イークェイは代表作に『侠女』、『八国聯軍』などがあります。
遅れてやって来ると、長谷川たちにイチャモンをつけられると当然のように手を出した。
二谷太郎が割り込んでチョウランと一緒に戦うが、チョウのメンツを立てて休戦した。
正徳武館の道場にやって来ると、武器を持つ相手を苦にせずツボを押して倒した。
最後はチェン・ロンが待ち構える場所でツボを突く指を繰り出すも潰されて倒されてしまう。
・チョウラン(演:スー・ジェンピン)
コーフーとともにチベットから来たラマ僧。立派で長い眉毛と口ひげを蓄えている。
スー・ジェンピンは代表作に『Shaolin Invincible Sticks』、『Kung Fu on Sale』がある。
遅れてやって来たが、長谷川にイチャモンをつけられると黙っておらずに手を出した。
二谷太郎が戦いに割り込んでくるが、なぜかほぼ互角の実力でチョウに止められて休戦した。
正徳武館の道場にやって来ると、体を膨らませる術を使って武器を破壊していった。
最後はチェン・ロンが待ち構える場所で体を硬化させるが、ツボを突かれて倒された。
・坂田(演:ワン・ユンシェン)
沖縄空手の使い手。二谷太郎の二番弟子。デモンストレーションでレンガを割っていた。
ワン・ユンシェンは代表作に『Nu jiao long』、『Shao Lin san shi liu zhu』があります。
何かと説明役を引き受ける長谷川の隣にいるが、一切言葉を発さないがお辞儀だけはする。
レンガ工場にやって来ると、先手を取った長谷川に続けて正徳武館の門下生を倒していく。
正徳武館の道場にやって来ると、チェン・ロンに挑むも簡単に倒されて雑魚を相手にした。
最後は逃げ出したチェン・ロンを追いかけるが、熱水の穴に落とされて呆気なく死亡。
・長谷川(演:ツァイ・ハン)
沖縄空手の使い手。二谷太郎の一番弟子。師匠が手紙を受けて沖縄を出発したと話す。
ツァイ・ハンは代表作に『Chinatown Kid』、『The Brave Archer』などがあります。
常に坂田とともに行動して、必ず先手を取って戦いを挑んで格下なら簡単に倒していく。
レンガ工場にやって来て容赦なく手を出していき、あっという間に正徳武館の門下生を倒す。
正徳武館の道場にやって来ると、片腕をケガしていて参戦せず、雑魚を倒す事にした。
最後は逃げ出したチェン・ロンを追いかけるが、橋の上から突き落とされて呆気なく死亡。
・二谷太郎(演:ロン・フェイ)
沖縄空手の達人。弟子の長谷川と坂田を率いて沖縄から来た。鋭い犬歯とロン毛が特徴的。
ロン・フェイは代表作に『片腕カンフー対空とぶギロチン』、『ドラゴン・カンフー/龍虎八拳』などがあります。
旅の疲れを気遣われても拒否し、到着が遅れていたラマ僧たちを無視しようとする自己中。
失礼な態度にド派手な登場をしたラマ僧たちに弟子たちが挑むも、敵わず代わりに手を出す。
正徳武館の道場にやって来ると、チェン・ロンに戦いを挑んで右腕を手刀で切り落とした。
最後は弟子たちが殺され、自らチェン・ロンに挑むも必殺の拳に為す術もなく倒された。
・チョウ(演:ティエン・イェー)
鉄鉤門の師匠。アヘン売りや売春宿などあらゆる悪に手を染めている。
ティエン・イェーは代表作に『用心棒ドラゴン』、『セブン・ウォリアーズ/戦神灘』がある。
乱闘騒ぎを起こした門下生たちから事情を聞くが、ウソの報告を受けて道場破りを敢行する。
門下生のウソを信じてしまい、カンの道場までやって来るがケガを負って返り討ちに遭う。
アジア諸国の武芸者たちを集めると、正徳武館の道場に来てカンを見事に倒していった。
最後はチェン・ロンに爆弾を投下するが、投げ返されてしまい、爆発に巻き込まれて死亡。
感想
個人的な評価
本作は後世のカンフー映画に多大な影響を与えたジミー・ウォングの監督、脚本、主演を務めた作品となります。
カルト的な人気を博しているカンフー映画であり、ジミー・ウォング自身も片腕の武芸者を多く演じるきっかけにもなりました。
70年代のカンフーアクションはどこか演劇みたいところがあって、フワフワしたイメージを持ってしまうところがあります。
それに勧善懲悪という分かりやすい展開を主にしていて、主人公は善で悪役は救いようのない悪として描かれる事が王道になっています。
タイトルの片腕になるまで思っていたよりも時間がかかって、中盤までは悪役たちの方がかなり目立っていました。
沖縄空手の弟子と師匠、柔道の名人、テコンドーの達人、タイ式ボクシング兄弟、二人のラマ僧、胡散臭いインドヨガの達人と濃いキャラクターが目白押し。
この時代では正義は見た目も爽やかで弱者を助け、悪役は見た目もインパクトがあって必ず問題を起こしてくれます。
現代から見るとコントのような事をやっているけど、演じている本人たちは真剣そのもので当時鑑賞していた人たちもそうだろう。
濃い悪役の中でも沖縄空手の達人である二谷太郎が一度見たら忘れないほどで、長い犬歯は攻撃に一切使わないところは逆に面白い。
ツッコミどころ満載であるが、なんだか見ているうちに楽しくなってしまうような緩い展開は逆に面白いと感じさせます。
左手による必殺の拳も分かりやすいが、なぜか身体能力が底上げするチートな主人公補正もまた時代的に王道だったのだろうと思わせる。
何より仰向けで寝ている状態のまま起き上がる術をいつの間にか会得していて、必殺の拳以外にも色々と身につけていました。
そして、70年代らしいラストとして敵を倒したら終わりというエピローグも何もないエンディングもまたいい味を出していたと思います。