怪怪怪怪物! RE-3011

作品紹介

公開年月  2018/10/26
ジャンル  ホラー
原作  なし
監督  ギデンズ・コー
脚本  ギデンズ・コー
製作  アンジー・チャイ
製作国  台湾
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

いじめられっ子のリン・シューウェイは、いじめっ子三人とともに教師から独居老人の手伝いをする奉仕活動を命じられた。
すると、四人は2匹のモンスターに遭遇してしまい、小さい方を捕まえて独自の「調査」と「実験」を始めていく。
やがてモンスターは四人の手に負えなくなっていき、そこから真の恐怖が始まるのだった。

登場人物&出演者

リン・シューウェイ(演:トン・ユィカイ)
主人公。優等生。クラス費を盗んだとして無実の罪を着せられる。善人になろうと頑張る。
トン・ユィカイは代表作に『共犯』などがあります。
結局は一緒に彼らと老人たちの面倒を見るボランティア活動をするも怪物を発見する事に。
怪物(妹)を捕まえた縁でドアンたちと一緒に行動するが、彼らの行動に引け目を感じる。
ウーが殺された事でドアンの敵討ち作戦に強制参加させられ、危険な囮役にされてしまう。
最後は自分の罪を認め、クラス全員に怪物の血を飲ませ、陽を浴びて一緒に発火して死んだ。

ドアン・レンハオ(演:ケント・ツァイ)
いじめっ子三人組のボス。優等生で気に入らないリンをクラス費を盗んだと罪を着させた。
ケント・ツァイは代表作に『通霊少女』、『How to Train Our Dragon』などがあります。
実は父親が薬物と強盗の罪で服役し、母親からマトモな教育を受けておらずクズになった。
怪物(妹)を拷問してストレス解消し、小バカにした担任に彼女の血を飲ませて殺した。
ウーが殺されてしまうと、敵討ちの為に作戦を立案してリンを囮役にして決行させた。
最後はリンが土壇場で裏切って逃げられず、怪物(姉)に為す術もなく惨殺されてしまう。

リアオ・クオフェン(演:ジェームズ・ライ)
いじめっ子三人組の一人。イェと同じく金魚の糞であり、痩せている方というイメージ。
ジェームズ・ライは本作が長編映画デビュー作となります。
あくまでドアンが中心であって、そのオマケであるが、一緒にリンをいじめていた。
怪物(妹)を捕まえると、何者か実験するべく聖書と十字架を翳して試していた。
ウーの敵討ちとしてドアンの作戦に従って、怪物(姉)を追い込む罠の仕掛けをしていた。
最後は作戦が台無しになり、逃げられたと悟って斧で戦おうとするもあっさり惨殺された。

イェ・ウェイシュ(演:メン・タオ)
いじめっ子三人組の一人。リアオと同じく金魚の糞で、太っている方というイメージ。
メン・タオは本作が長編映画デビュー作となります。
太っているせいかコミカルな立ち回りをしているけど、ドアンの命令には逆らえない。
怪物(妹)を捕まえると、正体を暴こうと道教などの術を試してみる一切の効果が見られず。
ウーの敵討ちとしてドアンの作戦に従って、怪物(姉)役としてシミュレートした。
最後は偵察していた安全地帯がバレてしまい、袋小路で怪物(姉)に呆気なく惨殺された。

ウー(演:ボニー・リャン)
ドアンの彼女。リンをいじめていた時、一緒に面白がってクラスで盛り上がっていた。
ボニー・リャンは本作が長編映画デビュー作となります。
アジトとなっているプールの廃屋で好き勝手やって、ドアンは唯一頭が上がらない存在に。
怪物(妹)を捕まえると、一応「誘拐」だと常識的な事を言うも、すぐに拷問を楽しむ。
リンと一緒に怪物を科学的な見地で調べるも分からず、餓死させない為に血を与える事に。
最後はバスで帰宅中に妹を探していた怪物(姉)に遭遇し、写真を撮って殺された。

リー先生(演:キャロライン・チェン)
リンたちの担任。仏を信じていて、何があっても物怖じしない。学級崩壊を起こしている。
キャロライン・チェンは代表作に『小時代』、『血観音』などがあります。
ドアンが中心となった学級崩壊を起こしても気にせず、マトモなリンを逆に責めていた。
明らかにクラス費をドアンが盗んでも疑わず、罪を着せられたリンが犯人だと決めつける。
リンにドアンたちとのボランティア活動をさせ、結果的に怪物(妹)が捕まる遠因を作った。
最後はドアンの復讐で怪物(妹)の血が混ざった飲み物を飲み、陽に当たって発火して死亡。

感想

個人的な評価

本作は『プチョン国際ファンタスティック映画際2017』にて観客賞を受賞しています。
更に『第30回東京国際映画祭』や『シッチェス・カタロニア国際映画祭』にも上映された作品となっています。
本作はふざけたタイトルと違って、様々な映画賞で高い評価を受けている作品である。
そもそも、このバカバカしいタイトルに釣られてレンタルしたが、単純なバカ映画だと思って期待を寄せていました。
しかし、実際は物語のほとんどが台湾社会における多くの問題を取り入れた作品でした。
まず、主人公のクラスは学級崩壊を起こしていて、担任は見て見ぬフリをして生徒の中心的な存在で問題児を野放ししている。
当然のように主人公はいじめられる対象にされていくが、そのやり方はあまりにも不快です。
タイトルが示すように怪物が人を殺しまくるワケだが、そこには更なる怪物たちの存在が原因になってしまう。
怪物姉妹はひっそりと暮らしていたが、それを見つけたクズな高校生たちに妹が捕まり、姉が助けようとした段階で人を殺している。
人間だって動物を殺して食料にしているように、怪物姉妹たちにとって人間もまた食料の一つでしかないのです。
ただ、怪物姉妹はナワバリに迷い込んだホームレスを食っているだけで、自ら人間社会に出て惨殺しているワケじゃない。
そこで高校生たちが彼女たちを引きずり出すけど、怪物(妹)が受ける拷問は主人公が受けたイジメ以上に不快感がありました。
クライマックスでは関わった人間が全員抹殺されるが、決してスッキリするワケじゃないし、何より怪物姉妹に襲いかかった不運が悲しすぎました。
怪物の姉は妹がいなくなって涙を流し、拷問を受ける妹も痛みで涙を流すが、それを行った人間はほとんど笑っているだけ。
監督は「本当の怪物は人間だ」とゾンビ映画などで使い古されたネタを本作に不快感な演出で表現していました。
本作はテーマ性の強い作品であるが、娯楽性とは真逆の位置にあって、個人的にはあまり好きなタイプではありません。
ですが、これを堂々と作って社会問題を訴える監督のこだわりが伝わったのも事実でした。