作品紹介
公開年月 | 2016/05/06 |
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ジャンル | SF/アクション |
原作 | ジョー・サイモン(原作)、ジャック・カービー(作画)
『シビル・ウォー』 |
監督 | アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ |
脚本 | クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー |
製作 | ケヴィン・ファイギ |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | 購入ブルーレイ |
あらすじ
力を一つに合わせ、世界の危機を何度も救ってきた“アベンジャーズ”。
しかし、その強大な力を危険視する声が高まり、彼らを国連の監視下に置く事が議論される。
これに対し、アイアンマンはアベンジャーズを守る為には受け入れる考えをします。
その一方でキャプテン・アメリカは己の信念を貫いて強く反対する。
そんな中、ウィーンで新たなテロ事件が発生し、その首謀者をキャプテン・アメリカの旧友であるバッキーが指名手配となる。
アイアンマンとの対立が深まる中、キャプテン・アメリカは重い決断が迫れるのだった。
登場人物&出演者
【チーム/キャプテン・アメリカ】
・スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ(演:クリス・エヴァンス)
アベンジャーズのリーダー。ソコヴィア協定に対して反対の立場を取っている。
クリス・エヴァンスは近年の出演作には『Plaing It Cool』、『Before We Go』があります。
いつも大義名分の下で行動するキャプだが、本作では完全に個人的な動機で動きます。
友を最後まで信じる行動は正しいが、それでも間違っているのは否めず、それは最後で決定的になったと思います。
・ジェームズ・“バッキー”・バーンズ/ウィンター・ソルジャー(演:セバスチャン・スタン)
スティーブとは子供の頃からの親友。ウィーン爆破テロの容疑者として追われる。
セバスチャン・スタンは代表作に『ブラック・スワン』、『オデッセイ』などがあります。
前作ではシリーズを盛り上げたキーパーソンであり、本作でもキーパーソンとして活躍する。
非常に複雑な立場でクライマックスでキャプと昔のように会話する場面は良かった。
・サム・ウィルソン/ファルコン(演:アンソニー・マッキー)
キャプテンの相棒。誰よりもキャプテンを信じる。装備も充実して偵察での支援もする。
アンソニー・マッキーは代表作に『ハート・ロッカー』、『アジャストメント』があります。
ソコヴィア協定ではキャプテン側であり、元軍人ながらローディとは意見が対立していた。
やはり、キャプテンの相棒として見せ場が多く、アイアンマンやウォーマシンに負けない空中戦を見せてくれています。
・クリント・バートン/ホークアイ(演:ジェレミー・レナー)
かつてS.H.I.E.L.D.のエージェント。引退状態であったが、キャプテンの呼びかけに応える。
ジェレミー・レナーは近年の出演作には『メッセージ』、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』などがあります。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では一番人間臭い演出がありました。
本作では再びワンダの指導者的な立場になって、巻き込まれるが覚悟の上はクールです。
・ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)
前作でヒドラの人体実験で改造される。倒れた弟の分まで人々の為に戦っている。
エリザベス・オルセンは近年の出演作には『アイ・ソー・ザ・ライト』、『GODZILLA/ゴジラ』などがあります。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で凄まじいパワーを見せつけた魅力的なスーパーヒロインでした。
本作では己のパワーに恐怖しているが、これがコミック版にある『ハウス・オブ・M』に繋がる伏線だと思われる。
・スコット・ラング/アントマン/ジャイアントマン(演:ポール・ラッド)
ファルコンからのスカウトでキャプテン側に参加する。相変わらず軽い調子である。
ポール・ラッドは代表作に『俺たちニュースキャスター』、『40歳の童貞男』があります。
単独映画で晴れてスーパーヒーローの仲間となり、本作で本格的にシリーズへ参加する。
今回はただ小さくなるだけではなく、巨大化した時の迫力は本作でも一位、二位を争うインパクトだった。
【チーム/アイアンマン】
・トニー・スターク/アイアンマン(演:ロバート・ダウニー・Jr)
ソコヴィアでの出来事から戦線離脱していたが、協定に賛成の立場から現場に復帰する。
ロバート・ダウニー・Jrは近年の出演作には『ジャッジ/裁かれる判事』、『シェフ/三ッ星フードトラック始めました』などがあります。
完璧なトニー・スタークの弱い部分が強調されて、主人公に対抗する悪役的なポジション。
傲慢な言動は目立つけど、その意見には正当性があるし、何よりクライマックスで用意された結果は衝撃的であった。
・ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ(演:スカーレット・ヨハンソン)
過去にKGBに属していたスパイ。アベンジャーズ存続の為にソコヴィア協定に同意する。
スカーレット・ヨハンソンは近年の出演作には『攻殻機動隊』、『ジャングル・ブック』などがあります。
前作では政府を敵に回しているが、本作では最も驚くような選択をしています。
『キャプテン・アメリカ』シリーズのヒロインから一歩下がったのは個人的に良かった。
・ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシン(ドン・チードル)
スタークの理解者で親友。軍人らしく各国がソコヴィア協定に賛同する事から賛成の立場に。
ドン・チードルは代表作に『オーシャンズ』シリーズ、『ホテル・ルワンダ』があります。
ソコヴィア協定については軍人らしい意見を述べていて、意外にも活躍が多かった。
トニー・スタークとは友人関係が進展しているのも微笑ましいところでした。
・ティ・チャラ/ブラックパンサー(演:チャドウィック・ボーズマン)
ワカンダ王国の王子。政治嫌いであり、ソコヴィア協定に賛成だが、逆の立場も理解する。
チャドウィック・ボーズマンは代表作に『42/世界を変えた男』、『キング・オブ・エジプト』などがあります。
本作でようやく登場した新キャラであるが、かなり重要なポジションを担っている。
第三の勢力として登場して、今後のマーベル・シネマティック・ユニバースに大きな影響を与えるだろう。
・ヴィジョン(演:ポール・ベタニー)
アベンジャーズの戦いを独自に分析し、ソコヴィア協定は妥当だと判断して賛成の立場。
ポール・ベタニーは近年の出演作には『レジェンド/狂気の美学』、『チャーリー・モルデカイ/華麗なる名画の秘密』があります。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では出番が少なくキャラクターが今一つ掴めなかった。
本作では特にワンダの面倒をみているが、段々と人間らしい部分をみせてくれています。
・ピーター・パーカー/スパイダーマン(演:トム・ホランド)
ニューヨークで独自のヒーロー活動をしている。スタークにスカウトされて参加する。
トム・ホランドは代表作に『インポッシブル』、『白鯨との闘い』などがあります。
すっかりと落ち着いたシリーズの中で新風を巻き起こすフレッシュさをもたらす。
歴代のピーター・パーカーとはまた違ったイメージで、今後の活躍に期待ができます。
【その他】
・シャロン・カーター/エージェント13(演:エミリー・ヴァンキャンプ)
前作でキャプテンを警護した元S.H.I.E.L.D.のエージェント。キャプテンを影から支える。
エミリー・ヴァンキャンプは代表作に『ザ・リング2』、『フェーズ6』などがあります。
ヒロイン的な立場でキャプを尊敬し、同時に愛を与える数少ない理解者の一人。
出番は少ないけど、キャプを支えた女性として、きちんと印象を残していた。
・ブロック・ラムロウ/クロスボーンズ(演:フランク・グリロ)
S.H.I.E.L.D.の戦闘員だったが実はヒドラの手先だった。全身の大火傷を負うも復活する。
フランク・グリロは代表作に『ウォーリアー』、『バトルフロント』などがあります。
序盤で物語をかき乱す役目として機能し、後に大きな波紋を巻き起こす主因となる。
意気揚々と役を引き受けたフランク・グリロは、本作でノビノビと演じていたと思います。
・ヘルムート・ジモ大佐(演:ダニエル・ブリュール)
暗躍する真の黒幕。数カ国語を操れる。長年の計画でアベンジャーズの崩壊を招く。
ダニエル・ブリュールは代表作に『イングロリアス・バスターズ』、『ラッシュ/プライドと友情』などがあります。
実はソコヴィアでの出来事で家族を失い、力ではなく、策略でアベンジャーズを揺さぶる。
強大なパワーを持つスーパーヒーロー映画の中で単なる人間だが、ダニエル・ブリュールはクライマックスでみせた真意は説得力があった。
感想
個人的な評価
アメコミを読んでいる身として、原作の『シビル・ウォー』が実写映画化されるのはずっと待っていました。
当時では一大クロスオーバーとなって、その後に大きな爪痕を残したシリーズです。
原作の方では今でも後遺症を引きずっている事から、相当の大きな影響があったのです。
これを単独の『キャプテン・アメリカ』でやるのは勇気のいる事だと思います。
なぜなら、原作と比べて、圧倒的にキャラクターの数が足りないのです。
本来なら100人以上のキャラクターが入り乱れるが、本作では総勢13人が登場します。
少ないように感じるが、一本の映画にまとめるなら、ギリギリの数だと言えるだろう。
これを実現させたルッソ兄弟は前作の成功はマグレじゃないと見せつけています。
多くのキャラクターが登場するので、それぞれの描写する時間はどうしても限られます。
本作では原作の通り、キャプテン・アメリカとアイアンマンの派閥に分かれてしまう。
その為には当然ながら理由が必要だが、それを本作ではちゃんと丁寧に描いている。
どのキャラクターがどっちに付くか、彼らの行動原理がきちんと説明されているのです。
これがマーベル・シネマティック・ユニバースの素晴らしいところだと思います。
同じくDCエクステンデッド・ユニバースでは物語のトーンは暗いが、ちょっと分かりにくい部分があります。
それと比べて、マーベル・シネマティック・ユニバースは暗くても説明がハッキリしているから共感できるのです。
映画の作り方が分かっている優秀なスタッフ、更に出演者たちの力量が説得力を生み出す。
本作は単なるスーパーヒーロー映画から大きく枠を出て、更にその先にある問題点を遠慮なしに描いています。
かなり挑戦的な作品となったが、これは前作のヒットが大きいと製作側は言っている。
一作目は少し地味で、二作目で一気に派手となって、本作で複雑かつ大きな影響を与える作品として今後期待できると思います。
原作通りの流れとなれば、次回作ではキャプテン・アメリカは凶弾に倒れる事になる。
これをどうやってルッソ兄弟は演出していくのか、非常に楽しみを抱かせる作品でした。