帝都大戦 VD-404

作品紹介

公開年月  1989/09/15
ジャンル  ホラー/ファンタジー
原作  荒俣宏 『帝都物語11/戦争編』
監督  ラン・ナイチョイ、一瀬隆重
脚本  植岡喜晴、李美儀
製作  一瀬隆重
製作国  日本
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

昭和20年、戦争による被害が広がる中、内閣は霊能力者・辰宮雪子の能力により連合軍の幹部たちを呪い殺す計画を進めていた。
しかし、人々の怨みを受けて復活を果たしたのは魔人・加藤保憲であり、再び帝都を破滅に導く為に活動を開始していた。
加藤の野望を止めるべく霊能力を持つ青年の中村雄昂と、復活させてしまった辰宮雪子が立ち向かうのだった。

登場人物&出演者

辰宮雪子(演:南果歩)
主人公。平将門の末裔で強力な霊能力者。普段は霊能力を隠し、看護師として働いている。
南果歩は代表作に『伽椰子のために』、『さよなら、こんにちわ』などがあります。
空襲で忙しく立ち回っていて、美緒が目の見えない状態だと分かって休憩室に連れて行く。
仕事の帰りに中村と偶然遭遇すると、鉄塔のテッペンに立つ加藤保憲の存在を感じ取った。
同僚が死に中村が満身創痍で加藤と戦おうとして協力を申し出るも美緒の為に疎開へ向かう。
最後は戦いの場にテレポートして平将門にお願いして、加藤を鎮め、美緒の疎開先に行った。

中村雄昂(演:加藤雅也)
ヒロイン。観阿弥光凰の側近で霊能力者。加藤保憲の復活を肌で感じるも正体まで分からず。
加藤雅也は代表作に『クレイジーボーイズ』、『アンフェア』シリーズなどがあります。
雪子と偶然遭し、彼女の高い霊力を感じるとともに加藤が鉄塔のテッペンにいると知る。
過去に霊力で遊んで傷を負い、軍によって人体実験され、観阿弥光凰に助けられている。
加藤が帝都を破壊しようとして阻止するが、圧倒的な力の差で重傷を負うもすぐ復活する。
最後は機械の力を借りて対抗し、加藤の肉体を崩壊させ、雪子が鎮めて彼女の前で死んだ。

美緒(演:戸垣惠理子)
小学生の少女。空襲で逃げていた時、犬を探して母親が追いかけて爆死し、失明してしまう。
戸垣惠理子は代表作に『赤いカラスと幽霊船』などがあります。
病院でケガの治療を受けたが、失明していると誰も分からず、雪子に保護されて安心した。
強い霊力を持つ人間が光として見えており、雪子と中村が他の人とは違うと勘づいていた。
東京への空襲が激しくなり、安全な福島へ疎開する事となって迷っていた雪子を誘った。
最後はテレポートして加藤を倒し、福島へ単独で来た雪子を察知してワザワザで迎えに行く。

水木玲子(演:野沢直子)
雪子の同僚の看護師。思い詰める雪子とは正反対に明るく、いつも話しかけてくれる。
野沢直子は代表作に『明日があるさ THE MOVIE』などがあります。
「死にたくない」というのが口癖で、安全な福島への疎開を即断して雪子も誘っていた。
最後はアメリカの戦闘機を見て、病院は安全と言った瞬間に銃撃されて呆気なく死亡した。

観阿弥光凰(演:丹波哲郎)
日本の誇る霊的指導者の高僧。人体実験されていた中村を救って側近して力を利用している。
丹波哲郎は晩年の出演作に『日本沈没』、『T.R.Y.』などがあります。
日本軍の幹部たちから連合軍を倒すべく、敵国の指揮官に呪いをかけて倒す依頼を受ける。
帝都の破壊を目論む加藤に一度邪魔され、中村を差し出すも返り討ちに遭って考えを改める。
重傷からあっさりと復活した中村の帰還を喜ぶと、当初の目的を果たす為に儀式を再開する。
最後はヒトラーを呪い殺し、日本が戦争に負けると宣言し、帝都の無事を優先して倒れた。

加藤保憲(演:嶋田久作)
安倍晴明の末裔。恵子の自己犠牲で倒されるが、戦争と帝都の怨念によって復活を遂げる。
嶋田久作は近年の出演作に『楽園』、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』などがあります。
アメリカ軍の空襲で焼け野原にされる帝都を見渡し、破壊を望みながら邪魔する者を排除。
呪いの儀式をする観阿弥光凰たちの前に現れ、中村に戦いを挑まれるも圧倒的な力で倒す。
雪子の存在を感じ取ると、彼女の夢に入り込んで悪夢を見せて戦いの場から遠ざけていた。
最後は中村の自己犠牲で肉体が崩壊し、平将門にお願いした雪子によって魂を鎮められた。

感想

個人的な評価

本作は原作となる『帝都物語』の「戦争編」を実写映画化しています。
今回は監督に一瀬隆重、総監督にラン・ナイチョイ、アクション監督にフィリップ・コクという国際的なスタッフとなります。
カルト的な人気を博した『帝都物語』の続編となりましたが、前作よりも分かりやすい構造になっています。
前作は豊富な知識があった原作を映画にちゅうとはんはな形で取り入れたせいでエンターテインメント性が損なわれました。
そこで本作はもっと単純なストーリーしてエンターテインメント性を向上させたが、逆に薄っぺらな感じになってしまった。
前作で強烈なインパクトを与えた加藤保憲を演じた嶋田久作の出番も少なく、暗い映像ばっかりでカルト性が減っている。
しかも、本格的なバトルになるまでの前振りが長すぎるし、辰宮家の末裔で主人公的な立場の雪子はほとんど力を使いません。
その代わりとして霊能者である中村を演じる加藤雅也が戦っていきますが、ポッと出のヤツが加藤保憲に勝てるはずもない。
それに加え、明らかに歩く事や腕を動かすのはムリなほどの重傷を負ったのに、バケモノじゃないかと思うほど後遺症なく復活したのは強引すぎると感じました。
二度目の対決では機械の力を使って挑むが、当たり前だ通じるはずもなく、ボコボコにされるも加藤保憲の肉体を崩壊させる力を使って、なぜかテレポートしてきた雪子が平将門にお願いして倒すという納得できない結末はあまりにも消化不良すぎました。
そもそも雪子がまったく力を使おうとしなかったのに、ラストで見せたチート級のお願いはご都合主義すぎて萎えてしまった。
物語も全体的に暗く、前作よりも製作費がなくて苦肉の策でごまかす演出という感じだろうが、鑑賞する気持ちを低下させてくれた。
唯一、本作の良かったところは容赦ないグロテスクな殺し方、悪夢に出てくる虫、気持ち悪いエクトプラズマだけで物語とは直接関係なかったのは残念すぎました。
前作はあまり好きじゃないが、残念ながら本作はもっと好きじゃないです。