作品紹介
公開年月 | 2015/12/25 |
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ジャンル | 西部劇/サスペンス |
原作 | なし |
監督 | クエンティン・タランティーノ |
脚本 | クエンティン・タランティーノ |
製作 | リチャード・N・グラッドスタイン、ステイシー・シェア、ほか |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
南北戦争後のワイオミング、雪の中を走る駅馬車に乗るジョン・ルースと賞金首の女デイジー・ドメルグの前に、黒人の賞金稼ぎのマーキス・ウォーレンが助けを求める。
猛吹雪が迫る中、レッドロックの道中にあるミニーの紳士服飾店に向かうが、更に新しい保安官と名乗るクリス・マニックスを乗せる。
ミニーの紳士服飾店に到着すると、見知らぬメキシコ人のボブが店番をし、他に絞首刑執行人のオズワルド・モブレー、カウボーイのジョー・ゲージ、南軍の元将軍サンディ・スミザーズの先客がいた。
一見して無関係の8人だったが、実は彼らにはそれぞれの秘密を抱えているのであった。
登場人物&出演者
・マーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)
賞金稼ぎ。北部の元騎兵隊の少佐。実は自分自身にも懸賞金がかけられている。
サミュエル・L・ジャクソンは近年の出演作には『コング:スカル・アイランド』、『ターザン:REBORN』などがあります。
戦時中、リンカーンと文通をしていて、懐に手紙をずっと大事に持ち歩いているが、実は黒人が上手く生きるには必要なウソでした。
登場する人物の中で唯一の黒人という事で、冷静に状況を見渡せる立ち位置にありました。
ミニーの紳士服飾店で最初に殺人をした人物だが、それも計算された正当防衛となる。
クライマックスではミニーの紳士服飾店で起きた事実を的確に推測する頭の良さも披露する。
・ジョン・ルース(演:カート・ラッセル)
賞金稼ぎ。ハングマン。手配書に「生死不問」とあれば、必ず生きたまま斬首台に届ける。
カート・ラッセルは近年の出演作には『ワイルド・スピード/SKY MISSION』があります。
誰も信用できず、過去に同じ釜の飯を食った人間でも細心の用心を欠かさない。
そのワリにマーキスのリンカーンの手紙を心底信じている純粋な部分もありました。
意外にも根っからの悪人ではなく、死に際でも人を助ける精神があったのは面白いです。
・デイジー・ドメルグ(演:ジェニファー・ジェイソン・リー)
囚人。紅一点。重罪で一万ドルもの破格の懸賞金がかけられているが、詳細は不明。
ジェニファー・ジェイソン・リーは代表作にテレビドラマ『ミセス・パーカー/ジャズエイジの華』があります。
とにかく、下品で言葉が汚く、常にルースに殴られて血を流している残念な人。
ギターも弾けるような人物であるが、絞首刑が控えているのになぜかずっと余裕。
それがクライマックスになってから分かるが、その豹変ぶりはなかなかでした。
・クリス・マニックス(演:ウォルトン・ゴギンズ)
保安官。新任保安官と名乗るも、実は南部で有名なマニックス略奪団。
ウォルトン・ゴギンズは近年の出演作には『エージェント・ウルトラ』、『マチェーテ・キルズ』などがあります。
南部で有名なマニックス略奪団の末息子で、レッドロックの新しい保安官だと名乗る。
当初はマーキスに対して敵意むき出しだったが、最後の方では和解に近い立場に。
いつも狂った役の多いウォルトン・ゴギンズだけど、本作はマトモな役ながらも意外にも良かったです。
・ボブ(演:デミアン・ビチル)
メキシカン。ロッジの女主人ミニーの留守を任されるが、色々と謎の多いメキシコ人。
デミアン・ビチルはメキシコ出身で代表作の『明日を継ぐために』でアカデミー主演男優賞にノミネートされています。
彼が淹れるコーヒーは激マズだが、作ったシチューは見た目ともにうまそうである。
・オズワルド・モブレー(演:ティム・ロス)
小さき男。絞首刑執行人。ロッジで勃発した黒人VS白人の争いを止めた冷静な紳士。
ティム・ロスは近年の出演作には『或る終焉』、『グローリー/明日への行進』があります。
絞首刑執行人としての仕事にプライドを持ち、ある意味、哲学的な言葉を語りかける。
・ジョー・ゲージ(演:マイケル・マドセン)
カウボーイ。母親とクリスマスを過ごす為に帰郷しているが、詳細を語らない秘密主義の男。
マイケル・マドセンは近年の出演作には『ピラナコンダ』、『ルーシーズ』があります。
雇われる側ではなく、事業主としてミニーの紳士服飾店に滞在し、母親に会う予定だった。
・サンディ・スミザーズ(演:ブルース・ダーン)
老将軍。南部の元将軍。バトンルージュの戦いで全黒人から憎まれる蛮行に走った。
ブルース・ダーンは代表作に『栄光の季節』、『ネブラスカ/ふたつの心をつなぐ旅』などがあります。
数年前に息子を失い、レッドロックで墓石に言葉を彫る相談の為にやって来ている。
多くの黒人を殺していて、マーキスとはバトンルージュの戦いで敵同士だった。
O.B.(演:ジェームズ・パークス)
駅馬車の御者。金さえ払えば誰でも乗せる。誰も信用しないジョン・ルースが唯一信用する。
ジェームズ・パークスは代表作に『キル・ビル』、『ハウス・オブ・ザ・デッド2』、『マチェーテ』などがあります。
なんでもやってくる万能な人物であるが、完全に巻き込まれ損となった不運な人物でした。
感想
個人的な評価
鬼才クエンティン・タランティーノにとって本作は8作目となります。
その為、宣伝では「8」を強調していて、タイトルにもそれを意識しています。
前作の『ジャンゴ/繋がれざる者』は高い評価を受け、引き続き本作も西部劇を舞台にする。
クエンティン・タランティーノ監督最大の魅力は長い会話劇だと言えます。
つまり、これまでバイオレンスなアクション映画を撮ってきたが、実は本作のような密室ミステリーが本来向いているかもしれない。
個人的にはあまり好きじゃなかったタランティーノ作品だが、前作はなかなか良かった。
そして、本作は本人が最高傑作と言っているが、それは納得するほどの完成度です。
密室ミステリーというのは登場人物たちの会話劇が重要なポイントになってくる。
そうなれば、これが得意なタランティーノ監督と親和性が高いのは必然的だと言えます。
その結果、本作は魅力的な登場人物によって密室ながらも面白さを引き立たせている。
主要人物となるサミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセルの両者は主役級であり、本作でもきちんと物語を引っ張っていっています。
次点に控えるウォルトン・ゴギンズ、ジェニファー・ジェイソン・リーのキャラクターも冒頭と終盤では違っているのも良い。
他の登場人物も見せ場はあまりなくても、きちんと印象に残るキャラクターである。
欲を言えば、もう少し彼らに活躍の場を与えても良かったというところもありますが。
本作は高度なミステリーを展開しているワケじゃないが、会話劇で魅せる演出はクエンティン・タランティーノ監督の真髄と言えます。
これが現代を舞台にすると微妙だが、西部劇だからこそ面白さがより引き出されています。
現代の西部劇映画と言えば、もはや、クエンティン・タランティーノ監督と言っても過言ではないでしょう。