作品紹介
公開年月 | 1986/08/15 |
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ジャンル | SF/ホラー |
原作 | カート・ニューマン 『ハエ男の恐怖』 |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
脚本 | チャールズ・エドワード・ポーグ、デヴィッド・クローネンバーグ |
製作 | スチュアート・コーンフェルド |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
科学者のセスは記者のベロニカに開発中の物質転送装置を公開する。
生物の転送実験で失敗が続くが、やがてセスは自らの体を転送に成功するが、その後、彼の体には驚異的な活力が備わっていた。
しかし、転送の時に一匹のハエが紛れ込み、セスの体と遺伝子レベルで融合してしまい、彼の肉体は見る見る変化をしていくのだった。
登場人物&出演者
・セス・ブランドル/ブランドルバエ(演:ジェフ・ゴールドプラム)
主人公。科学者。物質転送装置「テレポッド」を開発した。ノーベル賞候補にも挙がる天才。
ジェフ・ゴールドプラムは近年の出演作に『恋とニュースのつくり方』、『囚われのサーカス』などがあります。
展覧会でベロニカを見かけてひと目惚れして、彼女に自分の「テレポッド」を見せる。
ベロニカに発表を待ってもらい、最終的に生物を転送するまでの記録をして欲しいと頼む。
自身を転送させるもハエと融合してしまい、徐々に姿が変異して暴走する事になる。
最後はテレポッドと融合して悲惨な姿になり、ベロニカに頼んで銃殺してもらい死亡した。
・ベロニカ・クエイフ(演:ジーナ・デイヴィス)
ヒロイン。科学雑誌のジャーナリスト。編集長と恋人関係だったおかげで地位を築いていた。
ジーナ・デイヴィスは近年の出演作に『スチュアート・リトル』シリーズ、『カットスロート・アイランド』などがあります。
編集長と別れたせいで特ダネを掴まないといけない事からセスの研究に可能性を感じる。
恋人だった編集長のしつこい誘いから決別するべく、セスに心を寄せて肉体関係を持つ事に。
セスと相思相愛となって一緒に研究を進め、彼が変異する姿を見て涙を流してしまう。
最後はステイシスに助けられ、テレポッドと融合したブランドルバエを泣きながら銃殺した。
・ステイシス・ボランズ(演:ジョン・ゲッツ)
科学雑誌の編集長。ベロニカの上司。ベロニカが学生の頃から世話になって恋人に発展した。
ジョン・ゲッツは代表作に『ブラッド・シンプル』、『カーリー・スー』などがあります。
ベロニカから一方的に別れを切り出されるが、未だに未練を持って彼女を監視している。
合い鍵を持っていて勝手にベロニカの部屋に上がり込み、その行動に反感を持たれてしまう。
セスとの関係に嫉妬するが、彼が変異していく過程で悲しむベロニカの必死に励ましていた。
最後は銃でセスを殺そうとするが、消化液で腕と足を溶かされもベロニカを助け出した。
・トニー(演:ジョイ・ブーシェル)
変異して暴走するセスが訪れたバーにいた女。腕相撲に勝ったセスにお持ち帰りされる。
ジョイ・ブーシェルは代表作に『人類創世』、『ベイビー・トーク』などがあります。
激しいセックスを繰り出すセスに負けないほどの性欲を持ち、朝まで彼と楽しんでいた。
最後はセスにテレポッドでの転送を強制されるが、ベロニカからの忠告を聞いて出て行った。
・産婦人科医(演:デヴィッド・クローネンバーグ)
ベロニカがセスの子供を妊娠して発覚し、ステイシスに連れて来られた産婦人科の医師。
デヴィッド・クローネンバーグは近年の出演作に『危険なメソッド』、『バーニーズ・バージョン/ローマと共に』などがあります。
順調にベロニカの中絶手術を進めるが、最後にイモムシのようなモノを取り出してしまう。
最後は衝撃的な光景に叫んでいたベロニカが目を覚まし、悪夢だったと判明する事に。
感想
個人的な評価
本作は1958年にカート・ニューマンの『ハエ男の恐怖』のリメイクとなります。
この作品は『第59回アカデミー賞』にてメイクアップ賞を受賞し、他に多くの映画祭で受賞をしています。
子供の頃に鑑賞して強烈なインパクトを残した作品であり、主人公が徐々に体がハエに変化する過程に恐怖を覚えました。
今の時代だと人間とハエが融合すれば、あの『スパイダーマン』みたいなスーパーヒーローになってもおかしくない。
しかし、時代は80年代でスーパーヒーローが活躍する映画はほとんどなく、アクションやホラーなどのジャンルが最盛期を迎えた時代でした。
その中で誕生した本作は、監督を務めるデヴィッド・クローネンバーグによる主人公の変異がグロテスクながら悲しみを帯びています。
当初はスーパーパワーを身につけた主人公が無敵のような気持ちになるが、段々と体が怪物に寄っていく事で暴走する展開は凄まじいの一言でしょう。
単純に主人公は怪物になるのではなく、そこにはまだ人間としての心を持っていて、ラストでヒロインに処分を頼むシーンはなんとも言えない悲しみが伝わります。
姿形は完全に怪物と化しているが、そこに見せる表情は人間だった時を彷彿とさせており、そこに主人公の決断を垣間見る事ができる。
本作は一見して主人公が怪物になる物語に見えて、実は純愛を描いていて、悲恋という形で終わるクライマックスはなかなか見応えがあります。
もちろん、デヴィッド・クローネンバーグ監督の容赦ないグロテスクなシーンは遠慮が一切なくて楽しめるのは言うまでもない。