ケルベロス/紅の狼 RE-3199

作品紹介

公開年月  2018/11/01
ジャンル  アクション/犯罪
原作  なし
監督  グスタヴォ・ボナフェ、ファビオ・メンドンサ
脚本  ミルナ・ノゲイラ、ホドリゴ・ラゲス、ほか
製作  サンディ・アダミウ、マルシオ・マルコンデス、ほか
製作国  ブラジル
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

横領や賄賂が蔓延するブラジル政界に国民の怒りが頂点に達し、大統領選を目前に国内は大荒れの状態になっていた。
国家特殊武装班に所属するミゲルは、州知事の横領を暴こうとするも証拠を得られず、直後に娘が何者かに狙撃されて病院で命を落とす。
すべてが州知事の仕業だと知ったミゲルは覆面を被り復讐を遂げると、これを足がかりに政界の悪を始末するようになるのだった。

登場人物&出演者

ミゲル/啓発者(演:キコ・ピソラート)
主人公。国家特殊武装班に属する隊員。医療費を横領する州知事を何ヶ月も調査していた。
キコ・ピソラートは代表作に『Os Dez Mandamentos: O Filme』などがあります。
結果的に州知事は刑務所に行かず釈放され、代わりに娘が撃たれ、治療される死亡した。
州知事へのデモに紛れてガスマスクを手に入れると、そのままぶっ殺して制裁を果たした。
更に州知事の関係者を次々とぶっ殺し、正体が相棒や元妻にバレても暴走を止めない。
最後は大統領となったゴメスのビルに乗り込み、ぶっ殺してビルを爆破して一緒に消え去る。

・ニナ・ソウザ(演:タイナ・メディナ)
ヒロイン。コンピュータサイエンスの専門家。ハッキングの容疑で特殊武装班に逮捕される。
タイナ・メディナは代表作に『A Alegria』、『A Casa de Cecília』などがあります。
州知事をぶっ殺して復帰したミゲルに目をつけられ、実は現場で彼を目撃して撮影していた。
母親が無実の罪で服役していると主張し、腐敗した政治のせいだとして抗議活動していた。
ハッキング能力を買われ州知事の関係者を洗い出すが、暴走するミゲルに恐ろしさを感じる。
最後はゴメスの部下に襲われ捕まるが、自力で脱出して、ミゲルの自爆を満足げに見ていた。

エドゥ(演:サミュエル・デ・アシス)
国家特殊武装班に属する隊員。ミゲルの良き相棒。ミゲルとともに州知事の調査をしていた。
サミュエル・デ・アシスは代表作に『Chico Xavier』、『Wherever You Are』があります。
娘を失ったミゲルの悲しみを理解しながらも、職場復帰を強く望んで無茶ぶりをする。
悪徳政治家が次々と殺されていく中、痕跡を一切残さない啓発者は警察官だと推測していた。
娘のiPodとイザベラとの関係性からミゲルが啓発者だと分かり、なんとか止めようとする。
最後はゴメスを殺そうとするミゲルを止めに行くが、間に合わず炎上するビルを眺めていた。

イザベラ(演:ナタリア・ラーゲ)
ミゲルの元妻。娘の親権を持っているが、ミゲルと仲は良く、彼の家に出入りしている。
ナタリア・ラーゲは代表作に『O Homem do Ano』、『Chorar de Rir』などがあります。
娘を中心にミゲルとは友人に近い関係を保ち、スタジアムでのサッカー観戦を許可した。
そのせいで娘が撃たれて死んでしまい、ミゲルのせいじゃないと分かって一緒に悲しんだ。
ミゲルが啓発者だと分かって軽蔑した態度を見せ、娘がガッカリすると言い残して立ち去る。
最後はニュース番組でゴメスのビルが炎上している映像を見て、胸騒ぎを感じた表情になる。

サントロ・コレア州知事(演:エドゥアルド・モスコビス)
公共の医療費を横領した疑いで国家特殊武装班に捕まり、尋問を受けるも余裕の態度。
エドゥアルド・モスコビスは代表作に『クワトロ・ディアス』、『汚れた心』があります。
連行される日はコーヒーを飲んでいて、やって来たミゲルたちに進めるほどの余裕を持つ。
強気に尋問するミゲルたちに態度を変えず、弁護士がやって来て勝ち誇った表情になる。
結局は決定的な証拠がなく釈放され、記者会見では正式に次期大統領に立候補を発表した。
最後はデモに紛れて侵入したミゲルに見つかり、死ぬまで顔面に何度もパンチを食らう。

アンテロ・ゴメス・ジュニア(演:グスタヴォ・ヴァズ)
ゴメスのバカ息子。他の政治家と違って実績はまったくないが、代わりに犯罪も何もない。
グスタヴォ・ヴァズは代表作に『Maria do Caritó』などがあります。
父親に推薦されてインタビューの練習をするが、政治について何も知らずに引き受ける。
小さい頃から父親の期待に応えようと頑張っていたが、大統領の器じゃないと理解している。
最後はゴメスに説得されていた時、父親を狙ったミゲルの銃弾が当たって死亡してしまう。

アンテロ・ゴメス(演:カルロス・ベタオ)
牧場を経営する大富豪。現職の大統領と太いパイプを持ち、次期大統領に息子を推薦した。
カルロス・ベタオは代表作に『Memórias Póstumas de Brás Cubas』、『Aos Ventos que Virão』などがあります。
仲間の悪徳政治家たちの犯罪を知っていて、いつでも暴露できると脅して地位を確保する。
実績も支持層もない息子を次期大統領にして、裏から操って巨万の冨を手に入れようとする。
ミゲルに息子を殺されてしまうと、それを利用して自分が次期大統領に立候補し当選した。
最後はすべてを捨て去る覚悟を持ったミゲルに迫られ、抵抗するも頭を撃ち抜かれて死んだ。

感想

個人的な評価

本作は非常に珍しいブラジル製作のアクション映画となります。
この作品で扱うブラジル政界の横領と賄賂に関して決してフィクションではないです。
ブラジルでは多くの国民が満足な教育を受けられず、大統領選では甘い言葉に騙されて何も知らずに票を入れるのが現状です。
そのおかげで大統領は遠慮なく国民の金を巻き上げて、自分のポケットに入れているのは昔からの伝統となっています。
大統領の任期が終わると、ほとんどが海外で優雅な生活を送っているが、もちろん、それは国民から巻き上げた金なのは言うまでもない。
そんな本作では握り潰される政治的な問題を真っ向から取り上げ、大事な娘を失った主人公が悪徳政治家を次々と血祭りに上げていきます。
これはギャングの抗争で妻子を失ったマーベル・コミックの『パニッシャー』のフランク・キャッスルに通じる部分があります。
というより、完全にブラジル版パニッシャーという感じで、主人公はガスマスクを被って次々と悪徳政治家をぶっ殺していきます。
意外にもスタイリッシュに演出していて、ハリウッドの映画と言われても違和感がないぐらい格好良く仕上がっています。
内容も分かりやすくなっていて、明らかな悪徳政治家たちは問答無用に殺されていきます。
主人公の元妻や相棒が彼を止めようとしますが、こういう場合だと正義と悪の狭間での葛藤が盛り込まれて少し退屈になります。
しかし、本作はそのような葛藤を吹き飛ばし、当初の目的から変わらず主人公が最後まで貫き通して悪役と心中したのは良かったです。
結局、振り切ってしまった主人公を止めるのは元妻や相棒、それに死んだ娘じゃなく、目的を達成して悪役と消え去るのは潔かったと思います。
しかしながら、どうしても『パニッシャー』と比べてしまうと、本作は悪役を倒してもスッキリしない部分がありました。
やはり、ドラマの部分が薄かったせいで主人公が悪役をぶっ殺しても得られるカタルシスが少なく、そこら辺のインパクトも今一つでした。