鉄男 VD-134

作品紹介

公開年月  1989/07/01
ジャンル  SF/ホラー
原作  なし
監督  塚本晋也
脚本  塚本晋也
製作  塚本晋也
製作国  日本
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

ある日、目覚めると平凡なサラリーマンの頬に金属のトゲのようなニキビができていた。
その日から男は体の中で肉体と金属の壮絶な戦いが始まり、ペニスまで金属ドリルと化して恋人を抉り殺してしまう。
次第に体中が金属と化していくと、ついに男の前に“やつ”が姿を現すのだった。

登場人物&出演者

(演:田口トモロヲ)
主人公。平凡なサラリーマン。ある朝起きてヒゲを剃っていたら金属のトゲが頬から出る。
田口トモロヲは代表作に『うなぎ』、『GANTZ』シリーズなどがあります。
通勤電車を待っていたら隣に座っていた眼鏡の女が突然機械の左手になって追いかけられる。
眼鏡の女を倒して家に帰ると悪夢から目を覚ますと、隣には恋人の女が寝ていた。
お互いに抱き合っていたが、ペニスがドリルになってから全身が金属化して恋人を殺す。
最後は“やつ”に追いつめられるが、同化して共感すると巨大な金属の塊となってしまう。

(演:藤原京)
男の恋人。悪夢を見ていた男が起きた時に隣で寝ていた。
藤原京は代表作に『普通サイズの怪人』、『華魂』などがあります。
悪夢を振り払おうとした男と激しく抱き合うが、次第に彼が変化していく様子に気づく。
ついにペニスがドリルとなった男は隠れるが、それでも受け入れようとして近寄る。
体が金属化していく男に殺されそうなっても逃げず、まだ彼を受け入れようとしていた。
最後は気絶した男に跨るが、止まっていた金属ドリルのペニスに抉り殺されてしまう。

眼鏡の女(演:叶岡伸)
ホームで電車を待っていた男の隣に座っていた女。地面の機械を触ると左手に寄生される。
叶岡伸は代表作に『電柱小僧の冒険』、『TOKYO FIST』などがあります。
豹変した顔で男をにらみ付けると、逃げ出してしまったた彼を追いかけていた。
男を追いつめて殺されそうになるが、形振り構わない状態になって殴り殺されてしまう。

医者(演:六平直政)
頭に金属棒が刺さったままの“やつ”を診察していた。そんな状態を不思議に思っている。
六平直政は近年の出演作に『全員死刑』、『TAP THE LAST SHOW』などがあります。
その一方で金属棒の刺さり方が芸術的と見て、引き抜いたら死ぬと笑みを浮かべて口にする。

謎の浮浪者(演:石橋蓮司)
逃げ回っていた男を見つけると「坊や」と言って、金属の棒で激しく頭を殴っていた。
石橋蓮司は近年の出演作に『一茶』、『トマトのしずく』などがあります。
それによって“やつ”にもダメージが伝導し、道端に倒れて金属の泡とともに消え去る。

やつ(演:塚本晋也)
走る為に肉体改造するも失敗する。そのせいで体に蛆が湧き、驚いて外に出て車に轢かれる。
塚本晋也は代表作に『殺し屋1』、『シン・ゴジラ』などがあります。
頭に金属の棒が刺さってしまったせいで、人間と金属を同化させる能力を得てしまう。
実は男に轢かれていたが、瀕死状態になっても目の前で恋人とセックスした彼に怨みを持つ。
逃げていた男を追いかけるが、謎の浮浪者によって一度は撃退されるが、またも復活する。
最後は男と対峙して勝利を確信するが、思わぬ反撃で同化して巨大な金属の塊となった。

感想

個人的な評価

本作は製作費1000万円、四畳半のアパートで少数のスタッフで製作された作品。
いわゆる自主製作映画であるが、『ローマ国際ファンタスティック映画祭』でグランプリを受賞しています。
全編に渡って白黒映像となっているけど、これは逆に効果的な演出を生んでいます。
低予算だからこそ製作側の創意工夫が見られ、小道具に限らず、カメラアングルもかなりこだわった作品となっています。
登場人物には固有の名前はなく、主人公は男でサラリーマンというだけの設定である。
そんな主人公を演じた田口トモロヲは本作をきっかけに俳優として活動するようになった。
本作は冒頭からワケの分からない世界に突入しますが、これこそが最大の魅力と言える。
細かい説明などよりも、とにかく感覚に訴えるスピード感と狂ったような展開が持ち味です。
完全に監督の趣味嗜好を反映させた作品なので、塚本晋也の世界観を受け入れれば本作は最後まで興味深く鑑賞ができるでしょう。
逆に合わないと思った瞬間から鑑賞を止めるべきであり、その先には単なる拷問しか待ち受けていないと思います。
とにかく、本作はワケの分からない状況からスタートしていくが、それを考えさせないだけのスピーディーな展開を繰り広げます。
今の時代なら金をかけたCGで驚異的な映像を作るだろうが、本作はあくまでカメラだけでできる特殊効果を使っています。
誰でも撮れそうな特殊効果ですが、それをちゃんと形にしている点では素晴らしいと思う。
最後までワケの分からない展開を貫いていて、もう半分以上鑑賞した時点で本作にハマっているという事になります。
金属を操る能力を得た“やつ”は、自分が瀕死状態で死にかけている時に病院へ連れて行かず、のんきにセックスしていた男を金属化させた。
それで男の体が金属と同化した事で満足感を得ると、今度は“やつ”も同化して、巨大な金属の塊となって世界を巻き込もうとする。
こういう内容だが、細かい部分など最初から切り捨ていて、あくまで勢いと独特な世界観で最後まで押し通しました。
本作は自主製作映画という事で大雑把な作品だが、ちゃんと予算をかければ面白くなる可能性を秘めていると感じさせる作品でした。