ダウンサイズ RE-2868

作品紹介

公開年月  2017/12/22
ジャンル  コメディ/SF/ドラマ
原作  なし
監督  アレクサンダー・ペイン
脚本  アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
製作  マーク・ジョンソン、アレクサンダー・ペイン、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

人口が増え続け住みづらくなった地球では、科学の進歩によって人間を1/14に縮小する技術が発見された。
ネブラスカ州オマハに住む平凡な夫婦、ポールと妻オードリーは大金持ちで大豪邸に住めるダウンサイズされた世界に希望を抱き、13㎝になる事を決意する。
しかし、ミニチュア化したポールの身に待ち受けるのは予想外の人生だった。

登場人物&出演者

ポール・サフラネック(演:マット・デイモン)
主人公。作業療法士。昔は外科医を目指していたが、母親の看病で大学を中退している。
マット・デイモンは近年の出演作に『アンセイン/狂気の真実』、『サバービコン/仮面を被った街』などがあります。
同窓会でダウンサイズした旧友の話を聞き、すべてを売ってレジャーランドへ移り住む事に。
結局、オードリーは怖じ気づいて一人で縮小化し、寂しいレジャーランド生活を送っていた。
そこにドゥシャンの部屋を掃除していたノク・ランと出会い、迷っていた人生に光を得る。
最後はヨルゲン博士が地下の生活を提案するが、最終的にノク・ランを選んで楽しく過ごす。

ノク・ラン・トラン(演:ホン・チャウ)
縮小してベトナムから密航した唯一の生き残り。感染症により足の一部を切断している。
ホン・チャウは代表作に『インヒアレント・ヴァイス』、『24時間ずっとLOVE』がある。
反政府運動と環境活動で逮捕され、ベトナムで本人の意思に反して縮小化されている。
感染症を治すべくレジャーランドに来て、義足をつけながら生活の為に部屋の掃除をする。
義足姿を見たポールが治そうと仲良くなり、過去の辛かった出来事を背負いながら生活する。
最後は地下へ行こうとしたポールを見送るが、彼が戻って元の生活で楽しく暮らす事に。

オードリー・サフラネック(演:クリステン・ウィグ)
ポールの妻。毎日のように働きづめでストレスが溜まり、新しい家を欲しがっている。
クリステン・ウィグは近年の出演作に『マザー!』、『ゴーストバスターズ/2016年版』などがあります。
ローン審査に落ち続ける日々を送り、旧友のダウンサイズを知って移り住む事を決断する。
レジャーランドで縮小化の処置に怖じ気づき、ポールと離婚を覚悟で逃げ出してしまう。
最後は縮小化したポールに別れを告げる電話をして、自分本位な言葉で彼を見捨てる事に。

ドゥシャン・ミルコヴィッチ(演:クリストフ・ヴァルツ)
レジャーランドでポールの上の階に住む隣人。友達が多く毎夜パーティをやっている。
クリストフ・ヴァルツは近年の出演作に『アリータ:バトル・エンジェル』、『チューリップ・フィーバー/肖像画に秘めた愛』などがあります。
当初は騒音でポールから注意を受けるが、結局彼がやって来て一緒にパーティを楽しんだ。
通常サイズのままである弟と組み、金持ちの嗜みをレジャーランドへ密かに持ち込んでいた。
ヨルゲン博士とは知り合いで、彼から多額の報酬を得る代わりに物資をノルウェーまで運ぶ。
最後は地上と地下生活との選択を迫ったポールを待ち、帰ってきた彼を快く出迎えた。

ヨリス・コンラッド(演:ウド・キア)
ドゥシャンに誘われてレジャーランドに来た男。一族は代々船長として生きていた。
ウド・キアは近年の出演作に『デンジャラス・プリズン/牢獄の処刑人』、『ニンフォマニアックVol.2』などがあります。
資産家の妻に離婚を言い渡され、その処理に生活が苦しくなってレジャーランドに来た。
ヨルゲン博士からの依頼で物資を自前の船で密かに運び、ドゥシャンと多額の報酬を得る。
最後は地上と地下生活との選択を迫ったポールを待ち、みんなと彼が戻るのを待っていた。

デイヴ・ジョンソン(演:ジェイソン・サダイキス)
ポールの高校時代の友人。レジャーランドでの生活を選んで妻とともに縮小化している。
ジェイソン・サダイキスは近年の出演作に『さようなら、コダクローム』、『結婚まで1%』などがあります。
高校の同窓会で縮小化した状態でやって来て、一気に全員の注目を集める事になる。
ポールに縮小化は素晴らしいと笑顔で話していて、ゼイタクな生活が可能だと説いていた。
最後はレジャーランドに来て離婚したポールを励まし、ここでの生活を楽しむよう助言した。

アンドレアス・ヤコブセン(演:セーレン・ピルマーク)
ノルウェーにあるイズヴァトセン研究所の医師。ヨルゲンと共同で縮小化の研究をする。
セーレン・ピルマークは代表作に『コン・ティキ』、『ヘビー・ウォーター・ウォー』などがあります。
ついにヨルゲンが実験に成功し、その発表会では先陣を取って記者たちにお披露目した。
縮小化したヨルゲンを紹介すると、あとは彼に任せて会場の隅で発表会を見守っていた。

アン=ヘレン・アスビョルンセン(演:イングヤルド・エッジバーグ)
ヨルゲン博士の妻。ヨルゲン博士が縮小化の実験に成功し、その被験者の一人となった。
イングヤルド・エッジバーグは代表作に『Detecter』、『Kick It!』などがあります。
最初のコロニーへやって来たポールたちを出迎え、ヨルゲン博士の代わりに状況を説明する。
南極から漏れ出したメタンガスは人類の絶命させると考え、地下での生活を口にした。
最後はヨルゲン博士たちと夕日を見て、それを合図に地下生活を始めるべく地上を去った。

ヨルゲン・アスビョルンセン(演:ロルフ・ラスゴード)
ノルウェーにあるイズヴァトセン研究所の研究員。長年に渡って縮小化を研究していた。
ロルフ・ラスゴードは代表作に『アフター・ウェディング』、『幸せなひとりぼっち』などがあります。
ついに研究が成功し、5年後には自身を含めた36人の被験者を縮小して生活をしていた。
世界へ向けて大々的に発表し、10年後には一大ビジネスとして多くの人が縮小化する事に。
南極からメタンガスが放出され、人類が絶滅すると考え、作っていた地下での生活を計画。
最後は地上でのパーティを終えて、同志たちと社会と隔絶した地下での生活を始める。

感想

個人的な評価

本作は『第74回ヴェネツィア国際映画祭』のオープニング作品となります。
監督、脚本、製作には脚本として知られるアレクサンダー・ペインが務めています。
本作はコメディ映画であるが、ヒューマンドラマの一面が強く、社会問題も取り上げている作品でもあります。
タイトルが示すように主人公はわずか13㎝の体になり、縮小化した人々が暮らすレジャーランドなる専用の世界に住む事となる。
ただ、一緒に縮小化しようとした妻に裏切られ、最初の一年は失意のどん底で笑顔すらないような日々を送る事になります。
せっかくのゼイタクな生活ができる状況であるが、当初は妻と二人で楽しむはずが一人になってしまう辛さを主人公が味わいます。
そこでなんとか立ち直ろうとシングルマザーと付き合うもダメで、不意に出会ったベトナム人女性と心を通わせるようになる。
主人公であるポールは人生で何度も挫折してしまい、自分はなんの為に生きているのか分からないような状態でした。
毎日をなんとなく生きていて、特に目標も夢もないけど、生活に不自由しない退屈な人生ほど面白くないモノはないと表現しています。
そんな時に出会ったまったく違う人生を歩んできたが、今、自分と同じ空間にいる不思議な感情と興奮が素直に伝わりました。
自分には何もないけど、そこにいる人物は大きな事をしている過去を持っていると分かった主人公の表情から彼の求めているモノが分かります。
主人公のポールは誰かに求められる事を望んでいて、それを実際に提供してくれたベトナム人女性との出会いは彼にとって一番の発見だったと思います。
一度は人類の為に地下生活を選択するが、やはり、目の前にいる女性の為や人々の為に生きる事を選んだ彼の決断は素晴らしい。
本作は単なるコメディ映画ではなく、個人の問題はもちろん、世界的な規模の問題を内包したスケールの大きな作品だと感じました。
しかし、終盤で取り上げる問題も切羽詰まるところはなく、結局主人公たちは普通に生活しているのでちょっと大げさに思えた。
本作は主人公が生きる道を探す作品であり、必然として小さくなる意味は後半になると意味がなくなっていた。
なので、もう少し“小さくなった”意味を見出す流れにして欲しかったところです。
それでも、主人公の生き方を変えたベトナム人女性を演じたホン・チャウの演技は本作をしっかりと支えたと思います。