リグレッション RE-2977

作品紹介

公開年月  2015/10/02
ジャンル  サスペンス/ホラー
原作  なし
監督  アレハンドロ・アメナーバル
脚本  アレハンドロ・アメナーバル
製作  アレハンドロ・アメナーバル、クリスティーナ・ピオヴェサン、ほか
製作国  アメリカ、カナダ、スペイン
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1990年、ミネソタ州では17歳の娘アンジェラを暴行した疑いで父親のジョン・グレイを取り調べるブルース・ケナー刑事。
すると、ジョンはあっさりと容疑を認めるが、実際のところ彼の記憶は曖昧で不可解な事件だとブルースは考える。
そこで著名な心理学者ケネスの協力を得て、記憶を遡る退行療法によってブルースは事件当時の状況を探ろうとするのだった。

登場人物&出演者

ブルース・ケナー刑事(演:イーサン・ホーク)
主人公。小さな町で起きた少女暴行事件の担当となる。完璧主義な性格で妻とは別居中。
イーサン・ホークは近年の出演作に『魂のゆくえ』、『リミット・オブ・アサシン』がある。
ジョンとも知り合いだが、娘のアンジェラに性的虐待をしたとして追い詰めていく。
レインズ教授による退行催眠で事件に踏み込むが、悪魔崇拝の儀式を知って恐怖を覚える。
冷静さを欠いていくが、悪夢で見た架空の女性の広告を見て、ジョージの話しで真実を知る。
最後はアンジェラのウソを見抜き、ジョンを助けようとするも拒否されて事件が解決した。

アンジェラ・グレイ(演:エマ・ワトソン)
ヒロイン。一年前に父親のジョンに性的虐待されたとして教会に保護を求めていた。
エマ・ワトソンは近年の出演作に『ザ・サークル』、『美女と野獣/2017年版』があります。
事件のせいでほとんど語らなかったが、事件を新に担当するブルース刑事に証言する。
ブルース刑事がレインズ教授による退行催眠でジョージの容疑者を挙げ、彼が犯人だと証言。
実は劣悪な家庭環境や駆け落ちをするはずのジョージの裏切りでウソをでっち上げていた。
最後はウソに気付いたブルース刑事に迫られるが、上手くかわして悲劇のヒロインを演じる。

ケネス・レインズ教授(演:デヴィッド・シューリス)
心理学者。退行催眠を研究しており、アンジェラの事件を解き明かすべく呼び出される。
デヴィッド・シューリスは代表作に『ハリー・ポッター』シリーズ、『セブン・イヤーズ・イン・チベット』などがあります。
ジョンに対して退行睡眠を敢行して、アンジェラに性的虐待をした第三者の存在を聞き出す。
一緒に捜査しているブルース刑事に対しても分析をして、冷静に彼の調子を見抜いた。
ロイの元にブルース刑事と一緒に行って、そこで彼に対しても退行催眠を敢行した。
最後は追い詰められるブルース刑事に警告するが、取り乱す彼に拒否されてしまった。

マーレイ牧師(演:ロテール・ブリュトー)
“救済の喜び教会”の牧師。ジョンから性的虐待を受けたアンジェラを保護していた。
ロテール・ブリュトーは代表作に『オルダンド』、『ベント/堕ちた饗宴』などがあります。
アンジェラの事件を捜査していたブルース刑事にも話しを通して、彼女と引き合わせた。
強く悪魔崇拝をするカルト集団の存在を主張し、人間社会に潜んでいる危険性を語る。
次第に疲弊していくブルース刑事を心配し、悪魔が近くにいるとして警告をした。
最後はアンジェラのウソを見破ったブルース刑事を信じず、教会から彼を追い出した。

・ロイ・グレイ(演:デヴォン・ボスティック)
アンジェラの兄。酒浸りだったジョンから逃れる為、家を出て廃墟のような場所で暮らす。
デヴォン・ボスティックは代表作に『ランド・オブ・ザ・デッド』、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』などがあります。
ずっと所在が分からずたまにしか実家に連絡せず、ブルース刑事たちは居場所を探す。
ついに見つけて直接訪れると、ブルース刑事とレインズ教授による退行催眠を受けていた。
そのせいで悪魔崇拝の儀式を植え付けられてしまい、二人を家から追い払ってしまう。
最後は重傷を負った祖母の病室を訪れ、悪魔崇拝の儀式を植え付けられて恐怖を覚えていた。

ローズ・グレイ(演:デイル・ディッキー)
アンジェラの祖母。息子のジョンが酒浸りのせいで家が貧乏で多くの猫を飼っている。
デイル・ディッキーは代表作に『ゾンビパーク』、『アイアンマン3』などがあります。
ジョンがアンジェラに告発された事で、記憶にない虐待がウソだとして感情的に反論した。
捜査を続けていたブルース刑事にも責められるが、記憶にないとしてずっと否定する。
ブルース刑事の影響や不安定な精神ストレスで幻覚を見て、窓から飛び出し重傷を負う。
最後は病室を訪れたロイにアンジェラのウソを信じてしまい、激しく後悔を口にしていた。

ジョン・グレイ(演:デヴィッド・デンシック)
アンジェラの父親。自動車修理業者。長年に渡って酒浸りで、そのせいで妻を亡くした。
デヴィッド・デンシックは代表作に『裏切りのサーカス』、『ドラゴン・タトゥーの女』などがあります。
娘のアンジェラに告発された事で逮捕され、事件への記憶がなくても罪を認めていた。
レインズ教授による退行催眠によって悲惨な儀式を思い出し、大きな後悔を抱えてしまう。
ブルース刑事から何度も尋問を受けるが、娘が証言した通りに罪を繰り返し認めるだけ。
最後はアンジェラによる作り話だとブルースから聞いても、自分の罪を償うべく否定せず。

ジョージ・ネスビット(演:アーロン・アシュモア)
地元の警察官。ジョンから性的虐待を受けていたアンジェラたちとは古くからの知り合い。
アーロン・アシュモアは代表作に『ラブレター/永遠の愛』、『デフロスト』があります。
古くからローズたちとの付き合いがあって、アンジェラの部屋の位置も知っていた。
ジョンの退行催眠で名前が出て、アンジェラも性的虐待の現場にいたとして証言された。
実はアンジェラと付き合っていて、彼女から駆け落ちを提案されも拒否していた。
最後はキャリアを台無しにしたブルース刑事を襲うも失敗し、アンジェラの真実を話した。

感想

個人的な評価

本作は『アザーズ』や『アレクサンドリア』などで知られるアレハンドロ・アメナーバルが監督と共同脚本、製作を務めた作品。
1980年から90年代初頭のアメリカで悪魔崇拝者による儀式が告発された社会問題をモチーフにした作品となっています。
悪魔崇拝をテーマにした作品は非常に多く、古くは『ウィッカーマン』や近年では『ジャッカルズ』なんかが製作されています。
このように悪魔崇拝を扱った作品は決して珍しくなく、未だにカルト集団として少なくても存在していると思います。
そんな本作では悪魔崇拝を前提に物語が進んでいき、主人公で事件を捜査する刑事の視点から解明していきます。
被害者であるヒロインの証言から裏で蠢く悪魔崇拝を調査していくけど、ラストでは予想を裏切る結末を迎えていきます。
悪魔崇拝よりも恐ろしいのは町を巻き込んで騙した被害者と称したヒロインというオチ。
これですぐに連想したのは映画『モンスター』で、こちらは友人で恋人でもあるパートナーに裏切られて本当の「モンスター」が見えた時です。
本作でもずっと被害者だと思っていたヒロインだが、ようやく彼女に振り回されていた事を気付いた主人公の言葉で本性を現した時がピークでした。
そのヒロインを演じたエマ・ワトソンは美しさの中に弱さを見せ、ラストでは悪魔のような表情を浮かべるところも良かった。
主人公の刑事を演じたイーサン・ホークは相変わらず頼りなさそうな雰囲気で、ラストの直前まで病んでいく姿は印象的でした。
やはり、フワッとしたオチとなる映画を作るアレハンドロ・アメナーバル監督の作品らしい結末を迎えました。
本作はずっと地味な展開で構成されていて、ミスリードを誘っているけど、途中からヒロインが黒幕だと気付く人は多いだろう。
それでも、悲惨で劣悪な環境から抜け出そうとした少女がでっち上げた悪魔崇拝にみんなが信じる点は逆に恐ろしいと感じさせます。
特に派手な部分がない本作だが、カルト集団の怖さと同時に人間は先入観を持ってしまうと行動に冷静さを欠く点もしっかりと伝えていると思います。
ただし、本作はイーサン・ホークやエマ・ワトソンが出ているだけで、純粋に作品としては退屈な印象を持ちました。