ミュージアム RE-2538

作品紹介

公開年月  2016/11/12
ジャンル  サスペンス/犯罪
原作  巴亮介 『ミュージアム』
監督  大友啓史
脚本  高橋泉、藤井清美、ほか
製作  下田敦行、下枝奨
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

雨の日だけに発生する猟奇殺人事件で、死体を見せつける事にこだわる犯人・カエル男は、自らをアーティストと呼び、犯行現場に必ず謎のメモを残す。
連続する事件の関連性に気づいた刑事・沢村と部下の西野が捜査を進めると、驚愕のターゲットが浮かび上がる。
カエル男の罠にハマった沢村は逆に追いつめられる中で、私刑執行アーティストと自称する犯人の真相に迫っていくのだった。

登場人物&出演者

沢村久志(演:小栗旬)
主人公。刑事として優秀。だが、家庭を顧みない仕事人間で妻が息子を連れて出て行る事に。
小栗旬は近年の出演作に『君の膵臓をたべたい』、『銀魂』などがあります。
犯人を追っている過程で凄惨な殺人現場を目の当たりにしても平然と飯が食えるほど。
真犯人が過去に妻が裁判員を務めた裁判で冤罪だと推測して本部よりも先にたどり着く。
カエル男に捕まった後は抵抗するも、彼のゲームに参加したせいで精神がボロボロになる。
最後は究極の選択を迫られるが運良く妻子が助かり、結局は以前の生活を取り戻した。

沢村遥(演:尾野真千子)
沢村の妻。刑事として優秀な夫だが、父親として家庭を顧みない事で別れを決意する。
尾野真千子は近年の出演作に『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『いつまた、君と何日君再来』などがあります。
毎日忙しい夫に振り回され、流産した事すら言えない状況に耐えられなかった。
カエル男に捕まって息子の命を助ける代わりに犠牲となる事を迷わずに選択した。
最後はボロボロとなった夫を見て許し、再び家族として再出発を果たした。

西野純一(演:野村周平)
沢村の部下。カエル男による最初の殺人、ドッグフードの刑を見て吐いていた。
野村周平は代表作に『クジラのいた夏』、『日々ロック』などがあります。
その後も捜査を続けるが、あまりにも凄惨な事件で飯も喉を通らない状況になる。
婚約者がいて沢村に紹介する約束をするが、カエル男に捕まってビルから突き落とされ死亡。

菅原剛(演:丸山智己)
沢村の同僚。妻子が狙われる事になって捜査から外され、苛立つ沢村を注意した。
丸山智己は代表作に『カイジ/人生逆転ゲーム』、『黒執事』などがあります。
沢村の妻がいる友人の自宅へ迎えに行くもカエル男の話術に騙されてしまう。
最後は沢村一家とカエル男がいる屋敷に踏み込み、取り囲んで逮捕する。

セキ/関端浩三(演:松重豊)
沢村の上司。刑事たる者、ルールや法を守る事は絶対だという考えを持っている。
松重豊は近年の出演作に『続・深夜食堂』、『グッドモーニングショー』などがあります。
ルールや法を重んじる一方で、妻子を守る為に単独で動いた沢村の気持ちを理解する。
最後は警察官とともに沢村一家とカエル男がいる屋敷に踏み込み、逮捕に成功する。

カエル男/霧島早苗(演:妻夫木聡)
一連の猟奇殺人における犯人。雨の日に犯行を行ってカエルの面を被っている。
妻夫木聡は近年の出演作に『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』などがあります。
心的ストレスにより光線過敏症を患い、日光を浴びるとアレルギーを起こしていた。
過去に起きた両親の凄惨な殺人事件が引き金となって狂気の渦に取り込まれている。
最後は作品を完成させるべく沢村を追いつめるも失敗し、そのまま逮捕されてしまう。
養子に出された双子の姉によって、点滴に空気を入れられて発作を起こして死ぬ。

感想

個人的な評価

本作は漫画の実写映画化となっているが、残念ながら原作の方は初めて知りました。
近年はハリウッドによるアメコミの実写化と同じように、邦画でも漫画の原作とした実写映画化が盛んに行われています。
アメコミ原作映画は巨大なプロジェクトとして世界規模であるが、邦画の漫画原作映画はあくまで国内の規模という違いがあります。
その為、ハリウッドと違って多額の予算がかけられないので、どうしても選ばれる作品は派手さにかけるモノばかりです。
そんな本作は邦画らしく、猟奇的な殺人事件を追う刑事が逆に追いつめられる物語です。
本作からは既視感を持ったが、その理由は『SAW』シリーズに酷似した殺人内容にあります。
犯人のカエル男は己の殺人を芸術と表し、自らをアーティストや表現者として語る。
身代金や復讐というモノではなく、殺しそのものを美化させている生粋の危険なヤツです。
その殺し方はどうにも『SAW』シリーズを彷彿とさせており、多分だが、原作者は少なくても映画に触発されていると思います。
率直に言えば、本作については『SAW』シリーズの二番煎じで、漫画的な表現が目立った。
ただ、『SAW』シリーズと違って、主人公の沢村を演じた小栗旬はなかなかの熱演であった。
加えて、カエル男を妻夫木聡が演じている事を途中で気づくほど、最初は分からない特殊メイクと演技がインパクトがありました。
メインとなる主人公と悪役がしっかりしているので、緊張感は独特の雰囲気がありました。
ですが、どうにも『SAW』シリーズと比べてしまうとパワーダウンした印象を受けました。
どうしてもリアリティが一段劣るので、そこをどうやってカバーしていくのかが最大の見せ場だと思いました。
終盤で主人公がカエル男に囚われ、精神を破壊される流れは良かったけど、妻と息子が生きていたというのが正直言ってガッカリでした。
ここは『セブン』のような強烈な一撃を与えるべきであり、遠慮しちゃいけなかった。
やはり、そこで本当に殺して主人公が食うという衝撃すぎる状況は、『SAW』シリーズや『セブン』を超える為には必要な条件でした。
残念ながら本作はその一歩手前で止めてしまったせいで、一気に冷めてしまったのです。
本作で妻と子供を主人公が食っていたならば、問題作になっても、それをやった製作側に拍手を送ろうと思っていました。
しかし、周りの目を気にして予定調和に収めてしまったのは残念でならなかったです。
何より主人公があれだけ精神的に追いつめられたのに、3ヶ月後には普通に暮らしている時点でご都合主義すぎて更に萎えてしまった。
どうせやるならば、徹底的にやるべきであり、それが批判を食らっても貫き通すだけの気概を感じられなかったのは残念であった。