触手 RE-2867

作品紹介

公開年月  2018/02/27
ジャンル  SF/エロティック/ホラー
原作  なし
監督  アマト・エスカランテ
脚本  アマト・エスカランテ、ギブラン・ポルテラ
製作  ハイメ・ロマンディア、フェルナンダ・デ・ラ・ペサ
製作国  メキシコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、スイス
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

二人の幼子を抱えるアレハンドラは、夫との冷め切った関係に悩んでいた。
一方で夫のアンヘルは密かにアレハンドラの弟で看護師のファビアンと禁じられた肉体関係を結んでいた。
ある日、ファビアンの勤務する病院にヴェロニカという不思議な美女が治療に来て、二人は打ち解けて彼女によって秘密の場所へ案内されるのだった。

登場人物&出演者

アレハンドラ(演:ルース・ラモス)
夫のアンヘルとは冷め切っている。二人の子供はアレルギー持ちで精神的に参っている。
ルース・ラモスは本作が長編映画デビュー作となります。
二人の子供を育てるだけで精いっぱいで、夫との会話は必要最低限で満たされない日々に。
ファビアンが何者かに襲われて大ケガを負い、犯人は夫じゃないかと疑って警察へ突き出す。
落ち込んでいたところでヴェロニカに声をかけられ、触手モンスターに満たされる。
最後はアンヘルを連れて行くが助からず、ヴェガとともに夫とヴェロニカの死体を片付けた。

ヴェロニカ(演:シモーネ・ブッチョ)
放浪する女性。人里離れた家に住むヴェガ夫妻が育成と観察する触手モンスターを気に入る。
シモーネ・ブッチョは本作が長編映画デビュー作となります。
いつものように快楽をモンスターに求めたが、ケガを負って病院でファビアンと出会う。
ファビアンが大ケガでショックを受けるアレハンドラに近づき、徐々に彼女と親しくなる。
もう触手モンスターの快楽が得られず、他の男とセックスするも満たされず帰ってくる。
最後は触手モンスターに身を委ねるが、結局は気に入られずに殺されてしまった。

ファビアン(演:エデン・ビリャビセンシオ)
アレハンドラの弟。病院で看護師として働く。ゲイですでにみんなはその事実を知っている。
エデン・ビリャビセンシオは代表作に『Pares y Nones』などがあります。
アレハンドラの夫であるアンヘルとは肉体的な関係を持ち、周囲には隠している。
ヴェロニカに出会って、触手モンスターを紹介されてアンヘルたちの前から姿を消した。
触手モンスターにのめり込んでしまい、そのせいで意識不明となる大ケガを負う。
最後は意識が戻らないと悟ったアレハンドラにより、人工呼吸器を外されて死亡した。

アンヘル(演:ヘスス・メサ)
アレハンドラの夫。いつもイライラしていて、アレハンドラを暴力的な態度で支配する。
ヘスス・メサは本作が長編映画デビュー作となります。
過去に父親が狩りで鹿を倒し、解体する様子を見たせいで、肉が食べられないトラウマに。
ゲイに対して口悪く言っていたが、その裏ではファビアンと肉体関係を持っていた。
アレハンドラに復縁を迫るも失敗し、自殺しようとして誤って自分の足を撃ってしまう。
最後はアレハンドラに連れられ、触手モンスターに会うも気に入られずに殺された。

マルタ・ヴェガ(演:ベルナルダ・トゥルバ)
人里離れた家で科学者の夫と住んでいる。触手モンスターに惹かれるヴェロニカを心配する。
ベルナルダ・トゥルバは本作が長編映画デビュー作となります。
触手モンスターのせいでヴェロニカがケガを負い、もう会わない方がいいと助言した。
ヴェロニカが新たに連れて来たアレハンドラを快く出迎え、夫に代わって説明を始めた。
最後は暴れ出した触手モンスターのせいで肋骨を折り、夫に病院へ連れてもらっていく。

ミスター・ヴェガ(演:オスカー・エスカランテ)
快楽を与える触手モンスターを育成と観察している。被験者のヴェロニカを心配している。
オスカー・エスカランテは本作が長編映画デビュー作となります。
触手モンスターに心を囚われる娘を心配するマルタの言葉に聞いて賛同した。
ヴェロニカが連れて来たファビアンとアレハンドラを触手モンスターに託した。
ファビアンは殺されてしまうが、アレハンドラのおかげで触手モンスターが元気になる。
最後はヴェロニカとアンヘルが触手モンスターに殺され、アレハンドラと遺体を処理した。

感想

個人的な評価

本作は『第73回ヴェネツイア国際映画祭』にて銀獅子賞を受賞した作品です。
更に『未体験ゾーンの映画たち2018』にて上映された作品の一本でもあります。
本作で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のVFXスタッフが参加しています。
ハッキリ言って、邦題はかなりの詐欺に近いような物語となっていました。
明らかにモンスターが登場して登場人物たちを襲うような印象を受けるけど、実際は数分程度しか登場しません。
本作はあくまで主人公であるアレハンドラの身の回りで起きている悲惨な状況を描写しているだけの内容となっています。
そこに異質な触手モンスターがちょっと出てくるだけで、根本的に何も解決していません。
本作での触手モンスターはメタファー的な存在で、それはメキシコ社会が抱えている問題を反映していると思います。
メキシコのイメージだと麻薬が多く出回り、その元締めが麻薬カルテルというマフィア組織が背景にあります。
その為、メキシコでの麻薬は決して珍しい事じゃなく、どこかの家に誰かが持っている事を触手モンスターで表現していると思います。
一度味わったら止められない快楽とは触手モンスターが持つ原始的な姿だが、これも麻薬の快楽に溺れるような事を同じと感じます。
すべての感情は深い快楽に支配され、現実逃避をして満たされる中毒性の高い触手モンスターがもらす快感は普通じゃないと分かります。
その中で主人公は普段からストレスMAXだが、この触手モンスターの出会いで一番の厄介な存在である夫を始末する事になる。
これで主人公は解放されて自由になっているけど、根本的な解決になっておらず、触手モンスターにいつ飽きられるのか分からない。
本作は素直に受け取るのではなく、裏読みをしなければ楽しめない大きな欠点を抱えている。
もっと激しい内容だと思ったら、案外大人しくて動きがあまりなかったのもちょっとばかり物足りない作品でした。