パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド MY-64

作品紹介

公開年月  2007/05/25
ジャンル  アドベンチャー/アクション
原作  ディズニーパーク 『カリブの海賊』
監督  ゴア・ヴァービンスキー
脚本  テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
製作  ジェリー・ブラッカイマー
製作国  アメリカ
鑑賞方法  購入DVD

あらすじ

デイヴィ・ジョーンズの心臓を手中した東インド貿易会社のベケット卿は、世界制覇を目論み次々と海賊たちを撃破して彼らの時代の終焉を迎えようとしていた。
そこで海賊たちは最後の望みである“伝説の海賊”の9人を招集し、世界中の海賊たちによる全面対決に挑もうとする。
しかし、その9人のうちの一人が生死不明となっていたジャック・スパロウと判明する。
ウィルやエリザベスたちは溺死した船乗りが囚われるという“デイヴィ・ジョーンズのロッカー”にいるジャックを救出する為に世界の果てへ向かうのであった。

登場人物&出演者

ジャック・スパロウ(演:ジョニー・デップ)
主人公。エリザベスによってブラックパール号に繋がれ、クラーケンと呑み込まれてしまう。
ジョニー・デップは近年の出演作に『パブリック・エネミーズ』、『スウィーニー・トッド/フリード街の悪魔の理髪師』などがあります。
デイヴィ・ジョーンズの墓場に送られてしまい、ブラックパール号とともに砂漠でさまよう。
無数の自分に話しかけるなど、現実逃避でついに正気を失ってしまうような状態になる。
何度も仲間を裏切るも自身も何度も裏切られているが、それでも面白いと思う事は実行する。
最終的に心臓を刺されたウィルの手に剣を持たせデイヴィ・ジョーンズの心臓を突き刺す。

ウィル・ターナー(演:オーランド・ブルーム)
ポート・ロイヤルで鍛冶屋をやっていたが、今では立派な海賊として海へ出ている。
オーランド・ブルームは近年の出演作に『ニューヨーク、アイラブユー』、『アルメニア大虐殺』などがあります。
フライング・ダッチマン号に囚われている父のビルを助ける為にベケット卿の手先となる。
そのせいでジャックやエリザベスから不信感を買うも、すべては父親を助ける強い意志。
最終的にデイヴィ・ジョーンズの心臓を突き刺し、フライング・ダッチマン号の船長となる。

エリザベス・スワン(演:キーラ・ナイトレイ)
ヒロイン。総督の娘。もはや、お嬢さんという言葉が似合わなくなるほど一人前の海賊に。
キーラ・ナイトレイは近年の出演作に『ある公爵夫人の生涯』、『ザ・エッジ・オブ・ウォー/戦火の愛』などがあります。
バルボッサとともに世界の果てへ行く海図を手に入れる為にサオ・フェンの拠点を訪れる。
なるべく穏便に交渉役をしようとしたバルボッサと違って、最後まで強きな態度を示す。
そのせいでサオ・フェンからカリプソと間違われ、結果として彼の遺志を引き継ぐ事になる。
最後は海賊王に任命され、ベケット卿の艦隊を相手に戦いを挑むと高らかに宣言した。

ヘクター・バルボッサ(演:ジェフリー・ラッシュ)
ブラックパール号の元船長。ティア・ダルマの魔術によってあの世から蘇った。
ジェフリー・ラッシュは近年の出演作に『エリザベス/ゴールデン・エイジ』、『キャンディ』などがあります。
伝説の海賊の一人であるジャックをデイヴィ・ジョーンズの墓場から助け出す為に同行する。
実は生き返らせたティア・ダルマの正体を知っており、彼女との交換条件で手伝っていた。
評議会を招集した張本人で、制海権を手に入れつつあるベケット卿を倒す為に秘策を提案。
それこそティア・ダルマとの交換条件であるカリプソの解放で彼女の力を借りようとした。

【伝説の海賊】
サオ・フェン(演:チョウ・ユンファ)
シンガポールを拠点にする南シナ海の王。デイヴィ・ジョーンズの墓場の地図を持つ。
チョウ・ユンファは近年の出演作に『DRAGONBALL EVOLUTION』、『チルドレン・オブ・ホァンシー/遙かなる希望の道』などがあります。
当初は強大な力を有するベケット卿の脅威に対抗できないとして味方をしていた。
しかし、可能性を示唆したバルボッサの言葉を受け止め、勝てるかもしれないと協力する。
エリザベスこそがカリプソと信じ、ダッチマン号の襲撃で命を落とすも彼女に船長を任せた。

キャプテン・シュヴァル(演:マーセル・ユーレス)
フランスの貿易都市マルセイユ出身で地中海の王。貴族的な振る舞いで海賊から嫌われる。
マーセル・ユーレスは代表作に『ピースメーカー』、『ジャスティス』などがあります。
バルボッサの提案に対して否定的で、賛同したエドゥアルドの顔面にパンチを見舞う。

マダム・チン(演:タカヨ・フィッシャー)
太平洋の王。夫の死後、中国の海賊を束ねる。盲目で唯一の女性。何百隻の艦隊を指揮する。
タカヨ・フィッシャーは代表作に『幸せのちから』などがあります。
ベケット卿とフライング・ダッチマン号の襲撃を知るも、難破船入江が難攻不落だと主張。

アモンド・ザ・コルセア(演:ガッサン・マスード)
トルコ人で黒海の王。北アフリカ沿岸を中心に活動し、キリスト教の貿易船を狙う。
ガッサン・マスードは代表作に『キングダム・オブ・ヘブン』などがあります。
宣戦布告の為に海賊王を決める投票で最初に自分へ一票を入れている。

ジェントルマン・ジョカルト(演:ハキーム・ケイ=カジム)
大西洋の王。ニューオリンズの奴隷出身。奴隷から逃げた後に元主人の名前から取っている。
ハキーム・ケイ=カジムは代表作に『メン・イン・ブラック』などがあります。
難破船入江の場所がバレた事に対して、裏切り者が誰か問い詰めようとした。

エドゥアルド・ビジャヌエバ(演:セルジオ・カルデロン)
アドリア海の王。スペイン人で七つの海を旅している。海賊引退後はヨーロッパ貴族になる。
セルジオ・カルデロンは代表作に『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』などがあります。
バルボッサの提案に対して、賛成してカリプソの解放を強く指示していた。

スンバジ・アングリア(演:マーシャル・マネシュ)
インド洋の王。ヒンドゥー教の僧。自身は甲高い地声を隠す為に会話は手下が代弁している。
マーシャル・マネシュは代表作に『トゥルーライズ』などがあります。
宣戦布告での掟について手下が代弁したところで海賊王ティーグが銃弾で黙らせた。

【東インド貿易会社】
ジェームズ・ノリントン(演:ジャック・ダヴェンポート)
ハリケーンで部下と身分を失うも、デイヴィ・ジョーンズの心臓で地位と名誉を取り戻した。
ジャック・ダヴェンポートは近年の出演作に『パイレーツ・ロック』などがあります。
ベケット卿の手足としてフライング・ダッチマン号に乗って海賊たちを撃破する任務に就く。
エリザベスと再会するも総督の死も知らず、その事実を告げられて動揺してしまう。
最終的に囚われていたエリザベスたちを解放するも船の一部となったビルに刺し殺される。

マーサー(演:デヴィッド・スコフィールド)
東インド貿易会社の社員。殺し屋でもあってベケット卿の個人秘書として忠実に働く。
デヴィッド・スコフィールドは代表作に『グラディエーター』、『アウト・オブ・タイム』などがあります。
エリザベスたちを逃がしたノリントンが殺され、その代役としてダッチマン号を指揮する。
ブラックパール号との決戦で揉みくちゃとなったところでタコの触手で首絞めで殺される。

ベケット卿(演:トム・ホランダー)
東インド貿易会社の権力者。デイヴィ・ジョーンズの心臓を使い、思うままに操ろうとする。
トム・ホランダーは近年の出演作に『路上のソリスト』、『グレイシー・フィールズ物語』などがあります。
圧倒的な戦力で海賊たちを殲滅していき、最後に残った伝説の海賊たちを倒そうとする。
ウィルやジャックと取引をして、海賊たちを完全に海から消し去ろうと企んでいた。
フライング・ダッチマン号が落ちても圧倒的な戦力は変わらず余裕綽々で待ち構えていた。
しかし、フライング・ダッチマン号の船長となったウィルによって船とともに沈んだ。

【その他】
ウェザビー・スワン(演:ジョナサン・ブライス)
ポート・ロイヤルの総督。ベケット卿に総督としての権力を与える代わりに命を保証される。
ジョナサン・ブライスは近年の出演作に『G.I.ジョー』、『エネミーオブUSA』があります。
ベケット卿が持つデッドマンズ・チェストを嗅ぎ回ったせいで敢えなく殺されてしまう。

ギブス(演:ケヴィン・マクナリー)
ブラックパール号の一等航海士。ジャック・スパロウを助ける為に世界の果てへ行く。
ケヴィン・マクナリーは近年の出演作に『タロットカード殺人事件』などがあります。
デイヴィ・ジョーンズの墓場でジャックと再会し、少しおかしくなった彼に現実を教える。

エドワード・ティーグ(演:キース・リチャーズ)
ジャック・スパロウの父。大海賊のモーガンとバーソロミューが書き記した海賊の掟の万人。
キース・リチャーズはロックバンド『ローリング・ストーンズ』のギタリストとして有名。
伝説の海賊たちも黙らせるほどの実力者で、妻のミイラ化した干し首を常に携帯している。
あくまで掟がすべてであり、それに対して口を挟む者には一切の情けをかけず殺す。

ティア・ダルマ(演:ナオミ・ハリス)
ブードゥー教の呪術師。その正体はかつて海賊長たちに封じ込められた海の女神。
ナオミ・ハリスは近年の出演作に『ニンジャ・アサシン』などがあります。
バルボッサを生き返らせ、人間の肉体から解放される為に交換条件を突き出す。
デイヴィ・ジョーンズと過去に恋人関係にあったが、素直ではなく彼を裏切った。
その結果、デイヴィ・ジョーンズが彼女を人間に封印する事を知って激昂した。

感想

個人的な評価

本作は二作目である『デッドマンズ・チェスト』と同時進行で撮影をしていた後編。
二作目は橋渡し的な作品であったが、この三作目に繋げる役目を充分に果たしたと思います。
まだまだ謎の多いデイヴィ・ジョーンズの過去が明らかになり、彼がなぜあのような姿になったのか本作で分かるのです。
本作は後編と言っても、上映時間が170分という長丁場となっているが、これはシリーズを締めくくる作品として相応しいでしょう。
あらゆるモノを一気に詰め込んだ意味合いとして、本作にはディズニーが持つエンターテイメント性が満載となっています。
一作目では軽いノリで物語が楽しく展開していたが、二作目ではシリアスとなって、主要人物たちの関係性も大きく掘り下げている。
特にシリーズの主人公であるジャック・スパロウを中心に、ヒロインのエリザベスと婚約者のウィルとの三角関係がクローズアップされている。
ジャックのいつも通りの裏切りと、クラーケンに狙われている事を知ったエリザベスによって罠にハメれてしまう。
更にウィルとも微妙な関係になっていくが、同時に総督の娘から一人前の海賊となります。
とにかく、エリザベスの変貌ぶりは一作目では想像できないほど、屈強な海賊を目の前にしても引き下がらない強さを持っています。
一方でウィルは父親を助ける為に何度も仲間を裏切るが、それは約束を守ろうとする純粋な気持ちから引き起こしている行動。
そして、ジャックは何よりも楽しさと自分を優先し、仲間は裏切る為にいるという海賊を地でいくようなスタイルを貫き通している。
この三人が本作で更に複雑な関係になっていくが、収束する時には和解し、巨悪に打ち勝つ王道のハッピーエンドを迎える。
本作では多くの海賊が登場し、多分、一作目では考えていなかった“伝説の海賊”たちの評議会も個性的なメンバーがいても面白い。
何より評議会を招集したバルボッサという存在は、ジャックと張り合うだけのキャラクターでちゃんと盛り上げてくれます。
最後に悪役となったデイヴィ・ジョーンズも単なる悪党ではなく、その心はボロボロで傷だらけという悲しさを背負っていました。
それを解放するのは死しかないと本人は分かっていながらも、どうする事もできず、上辺だけを取り繕っていたのだろうと思う。
その証拠に死を迎えた時に呟いた「カリプソ」という言葉から彼の悲しさが伝わりました。
最後はジャック・スパロウがウィルとエリザベスに譲って、これで二人の物語が完結します。
それでもまだまだジャック・スパロウの冒険は始まったばかりという終わり方も良かった。
本作はまさしく超大作に相応しい内容であり、ディズニーの本気を感じさせる作品であった。