NEXT/ネクスト MY-85

作品紹介

公開年月  2007/02/27
ジャンル  SF/アクション
原作  フィリップ・K・ディック 『ゴールデン・マン』
監督  リー・タマホリ
脚本  ゲイリー・ゴールドマン、ジョナサン・ヘンズリー、ほか
製作  ニコラス・ケイジ、ノーマン・ゴライトリー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  購入DVD

あらすじ

ラスベガスで二流のマジシャンとして生きるクリス・ジョンソンだが、実は自分の周囲だけ2分先の未来を予知できる能力を持つ。
その秘密を悟られず目立たず日々を過ごしていたが、そんなある時、クリスの前に女性FBI捜査官のカリーが核兵器を持つテロリストを能力で捜査協力を求められる。
面倒な他人事に巻き込まれたくないクリスが拒否して逃げ出し、一方で時折彼の頭によぎる女性リズとの出会いを果たすのだった。

登場人物&出演者

クリス・ジョンソン/フランク・キャデラック(演:ニコラス・ケイジ)
主人公。ラスベガスで冴えない二流のマジシャン。2分先の未来を予知する能力を持つ。
ニコラス・ケイジは近年の出演作に『ノウイング』、『バンコック・デンジャラス』がある。
運命の女性であるリズとの出会いを諦めず、ようやく実現するが同時に爆弾探しを頼まれる。
自分では探せないし、散々モルモットにされた経験から逃亡するもリズを巻き込む事になる。
FBIに協力して爆弾を巻かれたリズを助け出すが、肝心の核兵器が爆発して失敗してしまう。
最後は実は予知していた未来で、それを変える為に最初からFBIは協力する結論に至った。

リズ・クーパー(演:ジェシカ・ビール)
ヒロイン。クリスがいつも予知で出会う謎の女性。先住民の慰留地で教師をしている。
ジェシカ・ビールは近年の出演作に『チャックとラリー/おかしな偽装結婚!?』、『幻影師アイゼンハイム』などがあります。
クリスがFBIから逃げた日に予知通りに出会うと、元カレに助けてもらった礼に車で送る。
大雨で行き止まりとなってモーテルに泊まるが、積極的なクリスに流されて肉体関係を持つ。
FBIからクリスが危険人物だと言われるが、どうしても信じられず彼に協力して脱出した。
スミスたちに捕まってしまい、クリスを誘き出す為のエサとして体に爆弾を巻かれる事に。
クリスがFBIと協力してスミスの手から助けられるが、核兵器が爆発して結局死んでしまう。
最後は肉体関係を持った翌日まで戻り、助ける為にクリスからしばしの別れを告げられる。

カリー・フェリス(演:ジュリアン・ムーア)
FBI捜査官。テロリストに核兵器を奪われ、所在が分からずクリスの予知能力に目をつける。
ジュリアン・ムーアは近年の出演作に『クロエ』、『シェルター』などがあります。
リズに接触して協力を求めるが、当然のように裏切られるが、体を張って彼を捕まえる。
リズの爆死を阻止したいクリスと利害が一致して協力し、スミスたちを見つけて追撃する。
クリスの先導でスミスを追い詰めてリズを助けるが、結果的に核兵器が爆発して死亡する。
最後はリズを巻き込まず核兵器を爆発させないクリスが協力を申し出て、すぐに迎えへ行く。

アーヴ(演:ピーター・フォーク)
クリスとは友人で彼の持っている超能力を知る。車の整備工でクリスの盗難車を解体する。
ピーター・フォークは晩年の出演作に『天使が街にやって来た!』、『新・刑事コロンボ/殺意のナイトクラブ』などがあります。
カリーたちに追われて仕方なく車を盗んできたクリスを出迎え、時間潰しに付き合った。
最後は追ってきたカリーの話しがややこしいと予知し、逃げるクリスを見送っていた。

キャバノー(演:トリー・キトルズ)
FBI捜査官。カリー捜査官の相棒。クリスに固執するカリーに従いながら捜索していた。
トリー・キトルズは代表作に『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』、『セントアンナの奇跡』などがあります。
カジノから逃げ出したクリスを突き止め、警備主任から話を聞くべく連れ出していた。
ダイナーでも捜査をしていたが、警備主任が何者かに殺された情報をカリーに伝えた。
協力するクリスに従ってスミスたちを追い詰めるが、油断して銃弾を頭に食らって死亡。
最後は予知ですべて知ったクリスから連絡を受け、単独で向かったカリーを見送っていた。

スミス(演:トーマス・クレッチマン)
テロリストのリーダー。核兵器を盗み出し、カリフォルニアのどこかで爆発させようとする。
トーマス・クレッチマンは近年の出演作に『ヴィクトリア女王/世紀の愛』、『ワルキューレ』などがあります。
FBIが執拗に追うクリスの情報をどこからか手に入れ、予知能力があると知ってしまう。
唯一の邪魔になるクリスを消そうとするが、難なくかわされ、代わりにリズを人質にする。
FBIと協力するクリスによって計画がバレてしまい、アジトの中で銃撃戦を繰り広げる。
最後はクリスに発砲するも全部避けられ、間違った選択をしてカリーに射殺された。
最後は予知で全部見たクリスがFBIと協力する中、何も知らないまま彼を狙っていた。

感想

個人的な評価

本作はフィリップ・K・ディックの短編小説『ゴールデン・マン』が原作となります。
監督を務めるのは『007/ダイ・アナザー・デイ』で知られるリー・タマホリとなります。
当時は翌年に超能力を扱った『ジャンパー』が公開され、いよいよアメコミが原作じゃないスーパーパワーの一般人が活躍すると期待を抱きました。
しかし、本作と『ジャンパー』は見事にコケて夢は夢のまま終わりました。
『ジャンパー』に関しては映像が良く、アクションも派手だったので可能性があったけど、主人公に魅力がなさすぎてダメでした。
それに対して、本作は「2分間先の未来が見える」という設定を引っ提げてきました。
ハッキリ言って、その制限は完全なる失敗だったと思います。
確かに制限を設けた方が緊張感が増して、観る方としてもどうやって解決していくのか気になるでしょう。
ただ、残念ながら脚本を書いた方々はそこまでの能力がなくて物語が始まった瞬間に破綻させてくれています。
本来なら2分先だけの限定が、ヒロインとの出会いだけは別格の扱いにしてしまった。
これで主人公の超能力がヒロインとの出会いで進化したという最低限の説明があれば、何人かは納得するかもしれません。
ですが、残念ながら本作にはそのような説明はなく、逆に破綻してしまった設定を守ろうとしてワケの分からない状況に陥ります。
納得できない展開で引っかかったままドンドン進んでいくし、ラストが夢オチという最悪の選択をしてしまったせいでキレる人がいても仕方ないと思います。
どうせなら、2分間という設定を取っ払うか、特殊な条件だからもつと先が見えたという言い訳に変えれば良かったです。
そうすれば、本作はもっと納得ができて面白くなっていたと思います。
個人的には設定の破綻は自分の中で補完して納得し、主人公の超能力を映像でしっかり表現した点は評価したいです。
あとはまだニコラス・ケイジが痩せていてちゃんと演技しているし、ヒロインのジェシカ・ビールに惚れるのは仕方ないです。
それとジュリアン・ムーアもなかなか良かったので、一流の脚本家が脚本を書き直せば良作になる可能性は秘めていました。
多分、アメコミ原作の映画やドラマが溢れる現代ではリメイクされないでしょうが、個人的にはまだまだ期待しています。