アイアムアヒーロー RE-2416

作品紹介

公開年月  2016/04/23
ジャンル  パニック/アクション
原作  花沢健吾 『アイアムアヒーロー』
監督  佐藤信介
脚本  野木亜紀子
製作  山﨑倫明、城戸史朗
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

35歳の漫画家アシスタントである鈴木英雄は連載が取れず恋人と破局寸前。
平凡な日々を過ごす英雄は徹夜仕事を終え、恋人の元に帰ると彼女は異形な姿で襲いかかる。
一瞬にして現実の世界が崩壊し、理解できないまま逃げる英雄は道中で女子高生の比呂美とともに安全な富士山へ向かうのだった。

登場人物&出演者

鈴木英雄(演:大泉洋)
主人公。35歳の漫画家アシスタント。妄想の中では立派な英雄だが現実ではダメ人間。
大泉洋は近年の出演作に『東京喰種トーキョーグール』、『金メダル男』などがあります。
恋人の黒川徹子がZQNになって噛まれるも、歯が抜け落ちていたおかげで感染せず。
将来も金もない英雄唯一の趣味であるクレー射撃の散弾銃が彼の命を救う事になる。
妄想の中ではヒーローだが、現実では何もできず「すみません」を繰り返すだけ。
しかし、助けを求める藪の声に奮い立ち、得意のクレー射撃で修羅場を抜け出す事に。

早狩比呂美(演:有村架純)
ヒロイン。ZQNで都内がパニックになった時、偶然英雄と出会い富士山を目指す事に。
有村架純は近年の出演作に『ナラタージュ』、『関ヶ原』などがあります。
実は隣家の赤ん坊に噛まれており、数日経って発症するも、英雄を襲う事なく逆に助ける。
会話する能力を失う代わり、驚異的な身体能力を発揮する反感染状態となる。
英雄が命がけで自分たちを助ける姿を見て、彼を「ヒーロー」だと呟く。

藪/小田つぐみ(演:長澤まさみ)
アウトレットモールで籠城する一人。英雄がZQNに襲われているところを助ける。
長澤まさみは近年の出演作に『銀魂』、『追憶』などがあります。
主に手斧を武器にする。見ず知らずの他人を助ける英雄を「カッコいい」と発言する。
実は看護士で誰も助けずに逃げてきた事を後悔して、英雄たちを助ける事になる。

伊浦(演:吉沢悠)
アウトレットモールで籠城する一人。非感染者コミュニティのリーダー的存在。
吉沢悠は代表作に『星に願いを。』、『逃亡くそたわけ』などがあります。
やって来た英雄を「神の思し召し」といい、彼のクレー射撃の散弾銃に注目する。
ポーカーフェイスでコミュニティで自分が法律だと平然と口にする独裁者気質の男。
サンゴにリーダーの座を乗っ取られるが、食糧確保作戦時に抜け出して全滅を強行する。

サンゴ(演:岡田義徳)
アウトレットモールで籠城する一人。武闘派でコミュニティにおいてナンバー2。
岡田義徳は近年の出演作に『復讐したい』、『ガキ☆ロック』などがあります。
当初は比呂美を狙っていたが、ZQNという事で伊浦に始末されて逆上し反乱を企てる。
英雄の散弾銃を手に入れ、伊浦をリーダーから引きずり下ろし食糧確保の作戦に出る。
実はニートで世界がひっくり返った事で活き活きとなって、平等となった状況を楽しむ。

アベサン(演:徳井優)
アウトレットモールで籠城する一人。主に物資の管理や英雄に現状を伝えていた。
徳井優はテレビCM『引越しのサカイ』が特に有名で、映画では『Shall we ダンス?』などがあります。
モールにいる妻はZQNと化し、買い物にやたらと時間を費やしていたと愚痴をこぼす。

三谷(演:塚地武雅)
英雄と同じ漫画家アシスタント。英雄よりも年上で彼を小バカにしている。
塚地武雅は近年の出演作に『高台家の人々』、『の・ようなもの/のようなもの』があります。
ZQNとなったアシスタントをする漫画家を倒すも、感染していてカッターで自害する。

黒川徹子/てっこ(演:片瀬那奈)
英雄の恋人。34歳。夢を語る将来性のない英雄に対してヒステリックになる。
片瀬那奈は近年の出演作に『海月姫』、『HK・変態仮面』シリーズがあります。
ZQNになって英雄を襲うも、歯が全部抜け落ちたおかげで噛んでも感染しなかった。

感想

個人的な評価

花沢健吾の同名漫画を実写映画化した本作。
近年はハリウッドのアメコミ原作映画と同じく、日本でも漫画原作の実写映画が多く製作されています。
ハリウッドではほとんどの作品は完成度が高いけど、邦画の場合はビジネス先行で残念な結果に終わる事が多い。
ただ、その中でもきちんと原作に敬意を表した漫画原作映画が存在します。
運良く原作を読んでいるが、それと比較して実写映画でも上手く表現していると思います。
まず主人公である鈴木英雄を大泉洋が演じている点でポイントが高い。
大泉洋はそこら辺の俳優よりも演技力が高く、どんな役でも演じきるだけの上手さがある。
特にヘタレの役はピッタリであり、本作の鈴木英雄はハマリ役と言っても過言じゃない。
最初はうだつの上がらないダメ人間だったが、最後の方では誰も認めるヒーローに変わる。
それまでの過程に説得力があって、クライマックスの見せ場は素晴らしいの一言です。
そんな主人公とともに行動するヒロインだが、最後まで英雄を信じる比呂美、英雄の良さに気づいた藪も説得力がありました。
更に英雄たちが逃げ込むアウトレットモールにいる伊浦やサンゴなども強烈なインパクトを見せつけてくれます。
原作の方はまだ連載中という事もあって、本作もまだ続くような終わり方になってしまう。
しかし、それ以上に魅せてくれる展開であって、2時間の作品だが、それをまったく感じさせないだけのテンポの良さがある。
結果的に東京から富士山に逃げて、アウトレットモールに立てこもり、最後は脱出する。
ストーリーとしてはかなり単純でドラマ性を意図的に排除しているけど、それは逆に映画としての見せ場を分かりやすくしています。
邦画のゾンビ映画なら、ダラダラと退屈な会話劇を繰り広げそうだが、本作はそれらをなくしている事で海外の名作ゾンビ映画に劣らない出来となっている。
それに本作のゾンビであるZQNの造形が素晴らしく、オリジナリティがちゃんとあります。
今後はシリーズ化されるだろうけど、これは逆に原作の方が読みたくなる展開である。