ブラッド・ワーク TV-62

作品紹介

公開年月  2002/08/09
ジャンル  サスペンス/犯罪
原作  マイクル・コナリー 『わが心臓の痛み』
監督  クリント・イーストウッド
脚本  ブライアン・ヘルゲランド
製作  クリント・イーストウッド
製作国  アメリカ
鑑賞方法  テレビ(午後のロードショー)

あらすじ

元FBI心理分析官のテリー・マッケイレブは2年前、連続殺人犯“コード・キラー”を追跡中、突然の心臓発作で倒れ犯人を取り逃がしてしまう。
心臓移植を受けて一命を取り留めたテリーは早期退職し、現在はクルーザーでのんびりと隠居生活を送っていた。
そんなテリーの前にグラシエラと名乗る女性が現れ、一度は断るも、移植された心臓が彼女の姉だと知って彼は再び捜査の現場へ戻るのだった。

登場人物&出演者

テリー・マッケイレブ(演:クリント・イーストウッド)
主人公。元FBI捜査官。連続殺人犯を追跡するが心臓発作を起こして倒れてしまう。
クリント・イーストウッドは近年の出演作に『人生の特等席』、『グラン・トリノ』がある。
二年後、心臓移植を受けて助かり、FBIを退職して現在はクルーザーで悠々自適の生活。
現場分析に優れており、グラシエラの頼みと恩を返す為にグロリアの捜査を進める。
ムリをして捜査しているせいで体調を崩し、主治医に怒られても止めなかった。
最後は真犯人が隣人のバディと知って彼を追いつめ、、グラシエラがトドメを刺した。

グラシエラ(演:ワンダ・デ・ジーザス)
テリーが心臓をもらったグロリアの姉。グロリアが殺された事件の調査をテリーに頼む。
ワンダ・デ・ジーザスは代表作に『ロボコップ2』、『ゴースト・オブ・マーズ』がある。
探偵資格のないテリーに捜査を強要し、苛立ちを彼にぶつけるという最悪の行動をする。
ムリをしているせいでテリーの具合が悪くなり、そこでようやく捜査の中止を考える。
身勝手すぎる行動だが、テリーは受けた恩をちゃんと返す良い人に見せる役割を果たす。
最後は廃船に閉じ込められるが、テリーが助け出し、バディにトドメを刺した。

ジェイ・ウィンストン保安官(演:ティナ・リフォード)
テリーが現役時代にある事件を解決した事で、男性優位の社会で出世を果たしている。
ティナ・リフォードは代表作に『パリス・トラウト』、『ホステージ』などがあります。
久しぶりに訪れたテリーを笑顔で出迎え、アランゴ刑事が拒否した捜査協力を引き受ける。
テリーが許可なく容疑者に尋問した事で怒るが、彼がムリしている事を心配している。
血が手がかりだと知ったテリーに協力し、無茶する彼に振り回されながらも助ける。
最後は事件が解決し、安堵感を募らせる表情を浮かべてテリーの今後を尋ねた。

アランゴ刑事(演:ポール・ロドリゲス)
ロス市警のの刑事。テリーの現役時代から関係が悪い。グロリアの捜査が進まず頭を抱える。
ポール・ロドリゲスは代表作に『ALI/アリ』、『バッドアス!』などがあります。
テリーがドーナツを持ってきて捜査協力を頼むが、探偵資格がない彼を煙たがっている。
事件の容疑者が自殺し、事件解決と安心するが、テリーの諦めない姿勢に辟易する。
最後は事件を解決したテリーにわめき散らすけど、あっさりと追い返されていく。

ウォーラー刑事(演:ディラン・ウォルシュ)
アランゴ刑事の相棒。アランゴ刑事がテリーの言葉を録音とするがマイクを塞ぐ。
ディラン・ウォルシュは代表作に『コンゴ』、『イルマーレ』などがあります。
テリーが持ってきたドーナツを遠慮なく頂いて、アランゴ刑事が少しだけ協力させる。
事件の容疑者が自殺し、彼が使用した銃を笑顔で見せるもテリーは諦めない。
最後は事件が解決してテリーの元に怒鳴り込むアランゴ刑事を止めて立ち去った。

フォックス医師(演:アンジェリカ・ヒューストン)
テリーの主治医。心臓移植を受けたテリーの定期診察を行う。彼の心配をいい意味で無視。
アンジェリカ・ヒューストンは代表作に『女と男の名誉』、『アダムス・ファミリー』シリーズなどがあります。
ムリをして捜査をしているテリーに説教し、彼が諦めないと知り主治医を辞めようとする。
捜査の手がかりとなる血液データの参照を頼まれ、そこは主治医として協力をする。

バディ・ヌーン(演:ジェフ・ダニエルズ)
テリーの隣でのんびりと暮らす男。親の仕送りでニートのような生活を送っている。
ジェフ・ダニエルズは代表作に『スピード』、『オデッセイ』などがあります。
ヒマそうにしていたところをテリーの運転手として雇われ、捜査に加わる。
一般人の為にしゃしゃり出ると注意されたり、殺人現場では立ち入りを禁止される。
実は二年前にテリーが追っていた連続殺人犯で、彼の様子をずっと監視していた。
最後は狂気を見せてテリーを追いつめるが、結局はグラシエラの思わぬ活躍で倒れる。

感想

個人的な評価

原作を書いたマイクル・コナリーは他に『リンカーン弁護士』が実写映画化されています。
近年は俳優よりも製作側として映画に関わる事が多くなったクリント・イーストウッドが監督と主演を務めた作品。
脚本には『エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃』や『ポストマン』の脚本で知られるブライアン・ヘルゲランドが務めています。
本作では現役を引退したFBI捜査官を演じるクリント・イーストウッドが好演している。
原作のタイトルでもある心臓移植を意識させる演技をクリント・イーストウッドが心がけているのが印象に残ります。
やはり、クリント・イーストウッドの存在感が凄まじく、いくら周りがダメなヤツらでも彼がいるだけで引きつける魅力があります。
特に派手な事をするワケじゃないが、クリント・イーストウッドの静かなる演技が非常に良かったです。
主人公を突き動かす事になる心臓を提供したグラシエラはなかなかの身勝手である。
その対比で主人公がいい人に見えるのはいいけど、自分の妹の心臓を持つ男に恋をするという展開はあまり好きではないです。
主人公をサポートする保安官の笑顔はいい味を出していたし、主治医の常識的な意見、対抗するロス市警の存在も悪くないと思いました。
その中で現在の主人公が暮らすクルーザーの隣にいるニートのような男が黒幕で、すべての暗号殺人を行っていた狂人的な人間という点も悪くないです。
それを演じたジェフ・ダニエルズのダメな感じから一変、狂ったような思考を持つ連続殺人犯としての顔とのギャップも良かった。
本作は全体的に静かな展開であるけど、そこにクリント・イーストウッドの存在感があるおかげで最後まで目が離せない展開となっている。
最後も地味なラストとなっているが、これも作品の流れを見れば当然と言えるだろう。
ただ、どうしてもテリーとグラシエラが一緒になるという展開が強引すぎると感じました。
確かにグロリアの息子と一緒に暮らすのは分かるが、そこにグラシエラが介入するのは違和感しかなかったです。
あとは最後に怒り心頭で登場したアランゴ刑事のわめき散らす姿が滑稽で、シリアスな本作において貴重な存在だったと思います。
最後に見せたクリント・イーストウッドの冷徹な表情は往年のダークヒーローを思わせるモノで良い演出でした。