バクマン。 RE-2268

作品情報

公開年月  2015/10/03
ジャンル  ドラマ/青春
原作  大場つぐみ、小畑健 『バクマン。』
監督  大根仁
脚本  大根仁
製作  市川南
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

かつて週刊誌ジャンプに連載してきた今は亡き叔父で漫画家の川口たろうを尊敬し、一時漫画家を目指していた高校生の真城最高。
ある日、最高の画力に目をつけたクラスメイトの秀才・高木秋人に「俺と組んで漫画家になろう」と誘われる。
最初は渋っていた最高だったが、声優を目指すクラスメイトの亜豆美保と夢が叶ったら結婚するという約束を交わし、漫画家の道へ進む事を決意する。
秋人が原作、最高が作画を担当して漫画家コンビとしてデビューを目指すのだった。

登場人物&出演者

真城最高(演:佐藤健)
主人公。高いデッサン力とプライドを持っていて、同じ高校生の新妻エイジを意識している。
佐藤健は様々なテレビドラマや映画に出演し、近年では『何者』、『世界から猫が消えたなら』があります。
原作と同じく挫折を味わっても諦めず、ライバル視している新妻エイジを最も意識する。
その一方でクラスメイトの亜豆美保とは両思いで、ある意味、不純な動機で漫画家を目指す。
高校生の役となった佐藤健だが、さすがにちょっとばかりムリがあったような気がする。

高木秋人(演:神木隆之介)
主人公。文章を書く能力に秀でているが、絶望的な画力でもネームやトーン貼りもこなす。
神木隆之介は子役から活躍し、近年の出演作には『33月のライオン』、『太陽』などがあります。
最高とは違って反抗的な態度を出さず、編集部に言う事をきちんと聞いて消化する。
冷静な一面を持っていて、暴走する最高を抑える役として機能しています。
佐藤健ではちょっと厳しかった高校生役だが、神木隆之介はちゃんとハマっていました。

亜豆美保(演:小松菜奈)
ヒロイン。学校では注目される美少女であり、声優としての才能が認められている。
小松菜奈はファッションモデルとしてデビューし、その後はテレビドラマや映画などで活躍しています。
まさに美少女という言葉が似合うほど小松菜案は非常に魅力的なヒロインとなっている。
何より高校生として見えるのが最大のポイントで、説得力を生み出しています。

新妻エイジ(演:染谷将太)
ライバル。高校生にして10年に一人の天才と呼ばれ、すでに連載を持っている。
染谷将太は子役から活躍し、近年の出演作には『海賊と呼ばれた男』、『聖の青春』などがあります。
天才気質のため、言動の一つ一つは独特で、しゃべり方もかなりクセのある人物です。
とても高校生には見えないのは染谷将太では少しばかり年を取りすぎているからだろう。
しかし、原作のキャラクターを忠実に再現しているのは高い演技力だからでしょう。

服部(演:山田孝之)
ジャンプ少年誌編集者。最高と秋人の担当編集で無精ヒゲとボソボソとしゃべる人物。
山田孝之は数多くテレビドラマや映画で活躍し、同じ漫画原作の『テラフォーマーズ』の実写映画に出演しています。
漫画の編集者というイメージを見事に体現した小汚さや雰囲気を自然に表現しています。

佐々木(演:リリー・フランキー)
週刊ジャンプの編集長。過去に川口たろうの担当編集者だった。
リリー・フランキーはイラストレーターや俳優の他に様々な肩書きを持つマルチな人物。
本作では漫画家の想いに配慮しつつ、編集長という立場として売れる漫画を精査する。

川口たろう(演:宮藤官九郎)
最高の叔父。過去に『バックマン』の漫画で連載していたが、病気で亡くなっている。
宮藤官九郎は脚本家の他に俳優、ミュージシャンなど様々な顔を持っているマルチな人物。
本作での役は出演者の中で一番ハマっていると思えるほど自然体すぎました。

感想

個人的な評価
本作は大ヒットした漫画の実写映画化となっているが、途中まで原作を読んでいました。
漫画の方では細かくストーリー展開していたけど、尺が限られる映画ではかなり割愛しているのが気になった。
あまりにも淡々と進んでいて、漫画を書き始めてから漫画賞を獲得するまで数分しかない。
実際に漫画賞を獲るには相当の努力と緻密な計算が必要であり、本作ではそこの部分が省かれてしまっている。
それでは誰でも漫画賞がとれるようなイメージを持ってしまうと感じた。
秋人が漫画を書く前に漫画家となる為には狭い門だと語っているが、言葉だけでは伝わってこないと思います。
しかし、物語を進めないといけないので、そこがムダな描写になっているのは残念です。
配役については佐藤健が高校生には見えず、神木隆之介はギリギリ、染谷将太は演技でなんとかフォローしている感じでした。
逆に小松菜奈は素晴らしい配役で説得力があって、意外なところで宮藤官九郎はハマリ役だと言えるほど良かったです。
ただ、途中で挿入される漫画を書いていく時の演出は非常に良く、本作だからこそ面白いところをちゃんと魅せている思います。
本作では漫画家を目指すコンビの一方、あくまで純愛を貫き通すロマンスも描かれます。
漫画を書いている時の展開は非常に面白くテンポがいいけど、ロマンスになった途端にストップしてしまいます。
やはり、連載するにはかなりの苦労が必要であり、同時に孤独な戦いでもあります。
その点では、本作は仲間意識の芽生えたライバルの漫画家が協力するのは個人的に微妙。
ジャンプ漫画がテーマにする「友情、努力、勝利」を体現する意味での演出だったと思う。
映画としては盛り上がる部分であるけど、実際にこれは現実からファンタジーになってしまった描写だと言えます。
どうしても個人的にみんなが協力して1本の漫画を作り上げたところに疑問を持った。
基本的に“尺が足りない”ので凝縮しているけど、あまり上手いとは感じなかった。
淡々と主人公たちが簡単に連載できた時点で原作のダイジェスト版だと思った。
もっと現実の厳しさが欲しかったので、原作以上に勘違いしそうな人が出そうで残念です。