吸血怪獣/チュパカブラ RE-2801

作品紹介

公開年月  2011/11/25
ジャンル  パニック/ホラー
原作  なし
監督  ロドリゴ・アラガォン
脚本  ロドリゴ・アラガォン
製作  キカ・オリヴェイラ、マイラ・アラルコン
製作国  ブラジル
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

熱帯雨林に囲まれたブラジル南部ペロカオでは、シルヴァ家とカリバリョ家が長年に渡って権力闘争を続けていた。
ある日、シルヴァ家の家畜たちが惨殺される事件が発生し、首元に牙の跡があり、血を抜かれたような死に方をしていた。
カリバリョ家の仕業だと思い込んだシルヴァ家の男たちは銃を手に取り、血みどろの戦いが始まるのだった。

登場人物&出演者

【シルヴァ家】

ドゥグラス(演:ジョエル・カエターノ)
田舎にある実家に帰ってきた。一緒に来たマリアは妊娠しているが、まだ籍を入れていない。
ジョエル・カエターノは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』などがあります。
母親は気難しい人間だとマリアに言い聞かせ安心させるが、薬を持っていた事で不機嫌に。
町で豚肉を売った店で飲んでいると、その肉を食ったカルヴァーリョ家とケンカになる。
父親がカルヴァーリョ家に殺されたと決めつけた兄たちを止めるべく追いかけた。
カルヴァーリョ家から逃げていると、途中で人食いに捕まるもイヴァンのおかげで脱出。
最後はイヴァンと協力してチュパカブラを倒し、トドメを刺すもなぜかチュパカブラになる。

マリア(演:マイラ・アラルコン)
ドゥグラスの妻。妊娠しているが、まだドゥグラスと籍を入れていない状態。
マイラ・アラルコンは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』、『シー・オブ・ザ・デッド』などがあります。
赤ん坊を生む為に見知らぬ土地へやって来るが、早速とドゥグラスの母親に嫌われる。
食事が受け付けずに場所を離れたが、心配してきたドゥグラスが薬を見つけて町へ出て行く。
父親がカルヴァーリョ家に殺されたとして兄弟たちが行く中、ドゥグラスを見送った。
最後は森の中を迷い込んでいた中、ドゥグラスを見つけるも彼はチュパカブラになっていた。

ジョージ(演:ジョルゲマール・デ・オリヴェイラ)
シルヴァ家の兄弟の一人。実家に帰ってきたドゥグラスが道端で寝ているところを発見。
ジョルゲマール・デ・オリヴェイラは本作が長編映画デビュー作となります。
食事していた時、父親が銃の手入れをしていつか暴発して頭が吹っ飛ぶと冗談を言う。
過去にカルヴァーリョ家との抗争で駆けつけるが、兄弟や父親が殴られて何もできずにいた。
最後は兄弟とともにカルヴァーリョ家を襲撃し、レジナルドを倒すもイヴァンに殺された。

ヒカルド(演:ヒカルド・アルージョ)
シルヴァ家の兄弟の一人。車椅子に乗っていて、アルジールが豚を解体するのを見ていた。
ヒカルド・アルージョは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』、『シー・オブ・ザ・デッド』などがあります。
帰ってきたドゥグラスを出迎えると、「久しぶりに家族が揃った」と口にしていた。
過去にカルヴァーリョ家との抗争で撃たれてしまい、そのせいで下半身不随となっていた。
最後は兄弟とともにカルヴァーリョ家を襲撃し、突撃してきたイヴァンのナイフで死亡。

アルジール(演:アルジール・ヴァイラント)
シルヴァ家の兄弟の一人。体が一番大きいが、その代わり言動が少しばかり鈍い。
アルジール・ヴァイラントは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』などがあります。
過去にカルヴァーリョ家との抗争で酷く痛めつけられ、そのせいで脳に障害を負っている。
最後は兄弟とともにカルヴァーリョ家を襲撃し、イヴァンが首にナイフを刺して死亡。

キカ(演:キカ・オリヴェイラ)
シルヴァ家に嫁いだドゥグラスの義姉。初めてやって来たマリアを優しく出迎える。
キカ・オリヴェイラは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』、『シー・オブ・ザ・デッド』などがあります。
調子が悪いマリアのところに来て、義母に嫌われている事を聞いて慰めていた。
誰も詳しく話さなかったカルヴァーリョ家との因縁について丁寧に説明してくれた。
最後はチュパカブラが家を襲撃し、なんとかマリアを逃がすも自身は殺されてしまう。

クララ(演:マーゴット・バナッティ)
シルヴァ家の母親。久しぶりに実家へ帰ってきたドゥグラスを優しく出迎えた。
マーゴット・バナッティは本作が長編映画デビュー作となっています。
一緒にやって来た妻のマリアと初対面だったが、分かりやすいぐらいの皮肉を口にする。
家族揃っての食事ではワザとマリアに豚の鼻をあげるなど、明らかに部外者を嫌っていた。
最後は死んだ夫の傍で悲しんでいたが、やって来たチュパカブラによって殺された。

ペドロ(演:マルクス・コンカ)
シルヴァ家の大黒柱。愛犬や家畜が謎の病気に倒れてしまい、それで頭を抱えている。
マルクス・コンカは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』、『シー・オブ・ザ・デッド』などがあります。
その犯人はチュパカブラじゃないか考えていて、ほとんど眠らずに警戒していた。
最後は警戒していたところでチュパカブラに襲われ、数時間後に兄弟が遺体を発見した。

【カルヴァーリョ家】

イヴァン(演:ペッテル・バイテストルフ)
カルヴァーリョ家の兄弟の一人。町の店に行くと、先にいたシルヴァ家を挑発していた。
ペッテル・バイテストルフは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』などがあります。
過去にシルヴァ家との抗争では、アルジールの投げた石が右目を直撃して失明している。
店で肉を食べて吐いてしまうと、それがシルヴァ家の持ってきたモノだと知ってケンカする。
ペドロが殺されてシルヴァ家の襲撃を受けると、母親が殺されて怒りで迎え撃つ事に。
最後は誰よりも人を殺していき、チュパカブラに善戦するも失血多量で死亡した。

アギナルド(演:フォカ・マガハネス)
カルヴァーリョ家の兄弟の一人。比較的体格がふくよかな兄弟の中では長身で細身。
フォカ・マガハネスは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』などがあります。
店にやって来るとシルヴァ家を挑発するイヴァンを止めて、休戦協定を強調していた。
過去にシルヴァ家との抗争では、父親を殺したと思い込んで無抵抗の彼をボコボコにした。
ペドロが殺されてシルヴァ家の襲撃を受けると、銃を手にしてなんとか反撃していた。
最後はドゥグラスが姉を自殺に追い込んだとして怒るも、チュパカブラに殺された。

レジナルド(演:レジナルド・セクンド)
カルヴァーリョ家の兄弟の一人。アントニオに次いで体格が大きく、同じくヒゲを蓄える。
レジナルド・セクンドは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』などがあります。
店にやって来るとシルヴァ家を目の敵にするイヴァンと同調するように笑っていた。
過去にシルヴァ家との抗争では、無抵抗なペドロを容赦なくボコボコにしていた。
ペドロが殺されてシルヴァ家の襲撃を受けると、首に銃弾を食らいながらも反撃した。
最後はドゥグラスを捕まえようとしたが、物陰から出てきたチュパカブラに殺されてしまう。

ラウル(演:ラウル・ローザ)
カルヴァーリョ家の兄弟の一人。兄弟の中で一番の年下で酒を飲もうとしたら止められた。
ラウル・ローザは本作が長編映画デビュー作となります。
店では酒を止められるが、出された肉はアントニオに負けないぐらいがっついていた。
その結果、一番最初に腐っていた肉の影響を受けて、派手に緑のゲロを吐いていた。
ペドロが殺されてシルヴァ家の襲撃を受けると、銃を欲しがったレジナルドに手渡した。
最後は逃げ出したドゥグラスを追いかけるが、森にいた人食いに殺されてしまう。

アントニオ(演:フォンゾ・スクイーズ)
カルヴァーリョ家の兄弟の一人。兄弟の中で一番体が大きく大食漢である。
フォンゾ・スクイーズは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』などがあります。
店にやって来ると酒を飲んで、つまみの豚肉を獣のように頬張っていた。
過去にシルヴァ家との抗争では、石を投げたアルジールを銃の柄で殴り倒していた。
ペドロが殺されてシルヴァ家の襲撃を受けると、肩を撃たれながらも斧で応戦しようとした。
最後はジョージに撃たれながらも斧の一撃で殺すが、背後からレジナルドに撃たれて死亡。

【その他】

袋の男(演:クリスティアン・ベラルディ)
森の中に潜んでいる袋の男。森へ迷い込んだ人間を捕まえ、その内臓を食らう人食い。
クリスティアン・ベラルディは代表作に『シー・オブ・ザ・デッド』などがあります。
逃げていたドゥグラスと追いかけていたラウルを捕まえると、二人とも縛り上げていた。
ラウルを殺して内臓を焼いて食い、魔術を唱えて若返るという奇妙な術を使っていた。
ずっとドゥグラスを美しいと口にしていて、その美しさを手に入れようと魔術を唱える。
最後はそこにやって来たイヴァンとアギナルドに見つかると、弟を殺した事で殺された。

チュパカブラ(演:ワルデラマ・ドス・サントス)
森の中に潜んでいるUMA。人知れずシルヴァ家の家畜や愛犬を殺していた。
ワルデラマ・ドス・サントスは代表作に『デス・マングローブ/ゾンビ沼』、『シー・オブ・ザ・デッド』などがあります。
そのせいでシルヴァ家とカルヴァーリョ家は休戦協定を破って再び抗争を勃発させる。
その間、留守になったシルヴァ家に忍び寄って、クララを襲ってキカを追いつめて殺した。
抗争が繰り広げる中で隙を見て次々と男たちを殺し、ドゥグラスとイヴァンを残す。
最後はイヴァンたちが共闘して倒されるが、トドメを刺すドゥグラスをチュパカブラにした。

感想

個人的な評価

本作は『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』を含めた世界中の映画祭で話題沸騰となった作品です。
世界の映画祭でカルト的な人気を誇るブラジル人ホラー映画の監督、ロドリゴ・アラガオの作品となります。
題材となっているチュパカブラは南米で有名なUMAであり、家畜が襲われるとみんなが噂をするほどポピュラーだと言えます。
特に田舎ではチュパカブラの存在を強く信じている人間が多く、本作で取り上げている舞台もその典型だと言えるだろう。
しかしながら、本作は怪物と人間の対決よりも、長年いがみ合っている隣人の抗争がメインとなっています。
そのせいで本題であるはずのチュパカブラが本格的に動き出すのが中盤以降となります。
それまではシルヴァ家とカルヴァーリョ家の抗争がずっと描かれています。
どっちかと言えば、本作は抗争がメインとなっていて、オマケでチュパカブラが登場しているような感じです。
その為、本来はこういう作品は90分程度で収めるべきだが、2時間を超えるという長尺になってしまっています。
中盤まではシルヴァ家とカルヴァーリョ家の抗争で引っ張り、クライマックスではスプラッター顔負けの怪物対決に移行しています。
ハッキリ言って、物語としては両家の抗争を描くだけでも充分ですし、別にチュパカブラを出す必要性がなかったように思えます。
それならば、別々の作品にするべきであるが、そうなると抗争の方が地味になってしまう。
ただ、シルヴァ家よりもカルヴァーリョ家の方がキャラクターが濃かったし、悪役としては申し分なかったのですが。
チュパカブラも明かな着ぐるみで強そうには見えないが、ラストで主人公が感染してチュパカブラに変身していく姿は良かったです。
あとは途中で人食いの人間が出てくるけど、なんの為に出てきたのか一番よく分からない。
本作は全体的に抗争の要素が強すぎたせいでチュパカブラの存在が薄くなってしまい、最後に感染するという秀逸な演出も効果が薄れている。
抗争をもう少し減らしても、もっとチュパカブラを要所で出しておけば、もっと面白くなっただけに少し残念な作品でした。