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永遠の0 RE-2214

永遠の0 RE-2214

作品情報

公開年月  2013/12/21
ジャンル  戦争/ドラマ
原作  百田尚樹 『永遠の0』
監督  山崎貴
脚本  山崎貴、林民夫
製作  市川南、畠中達郎
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

司法試験に落ちて進路に迷う青年、佐伯健太郎。
ある日、今の祖父とは血の繋がりはなく、血縁上の祖父が別にいる事を知る。
その実の祖父の名は宮部久蔵。太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、終戦直前に特攻出撃により戦死していた。
そこで宮部について調べ始めると、かつて戦友のみんなは口を揃えて彼を臆病者と非難した。
天才的な操縦技術を持ちながら生きて還る事に執着した腰抜けだというのだった。
それなのになぜ宮部は特攻に志願したのか。やがて、宮部の最期を知る人物にたどり着くのだった。

登場人物&出演者

宮部久蔵(演:岡田准一)
主人公。零戦搭乗員で抜群の飛行技術を持つが、誰よりも「生きたい」気持ちを持つ。
日本軍の中にいて士気を下げるような発言をするが、その真意は彼を知る人しか分からない。
岡田准一はアイドルグループ“V6”のメンバーで俳優として多くの作品に出演しています。
代表作には『木更津キャッツアイ』、『陰日向に咲く』、『図書館戦争』があります。
ジャニーズの中でも高い評価を受ける演技は本作でも充分に発揮しています。
「生きたい」という気持ち、その後に見せる抜け殻の姿はかなり上手いと思います。
何より感情を爆発させるシーンでのギャップは宮部という男の気持ちが伝わる。

佐伯健太郎(演:三浦春馬)
もう一人の主人公。司法試験に何度も落ちて自信とやる気を喪失していた。
そこにフリーライターの姉・慶子とともに実の祖父・宮部久蔵を調べる事になる。
三浦春馬はテレビドラマ、映画、舞台、CMと幅広く活躍する若手俳優。
代表作には『恋空』、『君に届け』、『進撃の巨人』があります。
宮部について調べ始めた当初は「臆病者」と知って乗り気じゃなくなっていた。
しかし、調べるうちに真実を知ると、宮部という人が残したメッセージを受け取る。
物語を進める狂言回しに徹する役だが、三浦春馬はきちんと役目を果たしていました。

大石松乃(演:井上真央)
ヒロイン。宮部の妻で清子を生んで彼の帰りをずっと待っていた。
宮部の残した約束の言葉を信じ、最後にはその意味をようやく理解する。
井上真央は子役として長らく活躍し、映画、テレビドラマ、舞台、声優として幅広く活躍。
近年の出演作には『白ゆき姫殺人事件』、『謝罪の王様』があります。
回想のみで登場して出演時間が非常に短いけど、最後まで宮部の約束を信じた人物。
還ってくるか分からない夫をずっと待ち続ける妻として好演していました。

大石賢一郎(演:夏八木勲)/青年期(演:染谷将太)
健太郎や慶子の祖父。実の祖父ではなく、宮部が命を救った元特攻隊員。
夏八木勲はベテラン俳優として活躍していたが、2013年に亡くなっています。
最後を飾るのに相応しい立ち回りを見せ、過去について思い出すシーンも雰囲気がある。
染谷将太は子役から活躍し、これまで多くの作品に安定した演技を披露しています。
宮部との関係よりも、松乃との関係での演技が特に印象的でした。

佐伯慶子(演:吹石一恵)
健太郎の姉でフリーライター。実の祖父・宮部久蔵について調べる。
吹石一恵はテレビドラマ、映画、舞台で幅広く活躍し、夫はミュージシャンの福山雅治。
宮部久蔵を調べるきっかけを作る重要な人物で、宮部の思いを知って涙する場面が印象的。

佐伯清子(演:風吹ジュン)
宮部久蔵と大石松乃の娘で健太郎や慶子の母。
風吹ジュンは数多くのテレビドラマや映画に出演するベテラン女優です。
特に印象的なのは最後に実の父・宮部久蔵が残した写真を見た時の演技であろう。

井崎(演:橋爪功)/青年期(演:濱田岳)
ラバウル航空隊の予備仕官で宮部とは同部隊の部下。現在では余命幾ばくもなく入院中。
最初に宮部久蔵を「臆病者」じゃなく、素晴らしい人間だったと評価する人物。
橋爪功の老練な演技もいいが、濱田岳の若々しさと勢いも良かった。

武田(演:山田学)/青年期(演:三浦貴大)
筑波海軍航空隊予備仕官で宮部を尊敬する人物。現在は大企業の会長。
辛辣な態度だった宮部を知る人物たちと違い、物腰が柔らかく安心して話しが聞けた人物。
山田学の安心する演技と、若き日を演じた三浦貴大とは上手くリンクしていました。

景浦(演:田中泯)/青年期(演:新井浩文)
ラバウル航空隊搭乗員。宮部の考え方に反対するも最終的に彼の考えに賛同する。
空中戦が好きで彼の戦場と考えるも、特攻に対しては懐疑的な考えを持つ。
宮部のライバル的な存在だが、彼の考え方に触発されて後に彼の遺志を引き継ぐ行動を取る。

感想

個人的な評価
映画は大ヒットし、原作もベストセラーになっています。
しかし、本作ほど賛否両論が別れた作品は非常に珍しいでしょう。
一方で素晴らしい映画と褒め称え、一方では近年希にみるクソ映画とこき下ろす。
これについては鑑賞した人が持つ独自の見解の違いによる結果だろう。
本作を素直に楽しむ人、逆に不自然な部分が気になる人、戦争映画を穿って観る人など。
様々な反応があるという事は本作が多くの人に認知されているという証拠です。
結論から言えば、自分は素直に楽しんだ部類なので、批判は特にありません。
確かに主人公の設定や急な心境の変化など多々の矛盾を抱えているけど、ドラマとしては上手くまとめていると思います。
特に主人公の宮部久蔵を演じた岡田准一の演技が素晴らしく、宮部久蔵という男の考える事が分かった演技でした。
脇を固める出演者も作品をしっかりと外側から支えており、邦画としても珍しく完成度の高い作品となっています。
いつもやり玉に挙げられるCGもかなり頑張っていた方で、日本でもやればできる事を証明してみせたと思います。
ただ、本作は批判が多い原因として「戦争賛美」や「特攻賛美」などが挙げられる。
これに関して、自分はそのような印象を受けておらず、これは「戦争」や「特攻」というテーマに過剰な反応した人たちの批判だと感じました。
そういう色眼鏡で見てしまえば、確かにそう感じられるところがあるけど、そうじゃなければ分からないのです。
特に辛口コメントという芸風を持つ某監督は批判しているが、あれは一種のビジネスだから真に受けちゃいけないでしょう。
個人的には「戦争」は否定してもどこかで起きている事で、その中でどう立ち向かっていくかに主眼を置いている。
本作では直接的に「反戦」をアピールしていないが、主人公の言う言葉にメッセージが込められると思います。
一方の「特攻」は忌むべきクソみたいな戦術であって、それを指示する軍上層部に対しては憤りを感じる。
ですが、その「特攻」に殉じた若者の精神は明日の日本を信じて散っていった真意を敬うべきでしょう。
映画で尺が限られているので原作を読んだ人には物足りないだろうが、本作から入って原作に手を出す作品として上手くまとめていると感じました。


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