愛しき人生のつくりかた RE-2279

作品情報

公開年月  2015/03/26
ジャンル  ドラマ
原作  ダヴィド・フェンキノス 『ナタリー』
監督  ジャン=ポール・ルーヴ
脚本  ジャン=ポール・ルーヴ、ダヴィド・フェンキノス
製作  マキシム・ドゥロネー、ロマン・ルソー
製作国  フランス
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

パリで静かに生活していたマドレーヌはクリスマスを目前に夫がこの世を去ってしまう。
三人の息子に恵まれ、幸せな人生を送ってきたマドレーヌだったが、一人になってこれまでの人生を振り返っていた。
親友のように仲の良かった孫のロマンは夢見がちな学生で、小さなホテルで夜勤のバイトしながら小説家を目指していた。
そんなある日、突然マドレーヌは姿を消してしまい、ロマンは彼女を探す旅に出るのだった。

登場人物&出演者

ロマン(演:マシュー・スピノジ)
マドレーヌの孫。大学生で小さなホテルで夜勤バイトをしながら小説家を目指している。
マシュー・スピノジは10作ほどに出演し、テレビドラマやテレビ映画で活躍しています。
マドレーヌとは孫よりも親友のような関係で、誰よりも彼女について近い存在である。
仲の良い祖母も大事だが、ずっと運命の人を探しているうちに旅の中で見つける。
やはり、動かないと何も成し得ないというアドバイス、祖母の失踪が彼の運命を変えた。

マドレーヌ(演:アニー・コルディ)
夫を亡くして一人で暮らしているが、息子たちは心配で老人ホームへ入れようとする。
アニー・コルディはフランスにおいて国民的歌手であり、映画では『雨の訪問者』、『風のそよぐ草』などがあります。
老人ホームに入るけど、人に指示されたくない頑固者だが、それこそが彼女の魅力なのです。
彼女は最後にやり残した事をやり遂げ、それは最期の事であってもきっと満足だったはず。

ミシェル(演:ミシェル・ブラン)
マドレーヌの息子。長男で郵便局を定年退職したばかりで、母親に気を遣って頼りない。
ミシェル・ブランは数多くの作品に出演し、代表作には『仕立て屋の恋』があります。
退職して落ち込んでいて、妻とは上手くいっていないと勘違いしている。
しかし、そんな情けないミシェルは妻の為に行動し、昔の情熱を思い出すのは良い。

ナタリー(演:シャンタル・ロビー)
ミシェルの妻。夫しての威厳を保とうとするミシェルだが、結局は彼女が主導権を握る。
シャンタル・ロビーは40作以上に出演し、代表作には『最高の花婿』があります。
父親を亡くし、母親が失踪、退職までして気が滅入る状態の夫を励まそうとする。
ただ、そのやり方はかなり過激であるが、昔の情熱を取り戻した夫に付き添う姿は印象的。

フィリップ(演:ジャン=ポール・ルーヴ)
ロマンが働くホテルの主人。ロマンの夢に対して応援していて、彼を気に入っている。
ジャン=ポール・ルーヴは本作が映画監督デビュー作で、俳優としては『エディット・ピアフ/愛の賛歌』で知られています。
仕事中に酒を飲むのんびり屋であり、ロマンを息子のように思っているところがある。

カリム(演:ウィリアム・レブギル)
ロマンの同居人。なんとかして女の子を引っかけようとあらゆる手段を使う。
ウィリアム・レブギルは15作ほどに出演し、近年は短編映画で活躍しています。
ロマンが祖母と一緒で運命の人と出会う事を知って、マネするもどうなったか分からない。

ルイーズ(演:フロール・ボナヴェントゥーラ)
ヒロイン。マドレーヌが通っていた小学校で教師をしており、ロマンが一目惚れする。
フロール・ボナヴェントゥーラは19作に出演し、テレビドラマやテレビ映画で活躍する。
当初はロマンを変質者と思っていたが、彼の人柄に徐々に惹かれていきます。

感想

個人的な評価
アルバトロスフィルムから真面目な作品がやって来ました。
基本的にアルバトロスフィルムはクソ映画専門の映画配給会社であるが、たまに本作のようなアート系の作品を手がける事があります。
過去に『アメリ』が大ヒットし、他に『善き人のためのソナタ』などがありました。
本作も例に漏れず、まさしくアート系に属すフランス映画となっています。
しかも、雰囲気を保つ為に敢えて吹き替えをしないのはアルバトロスフィルムの粋な計らい。
本作はスケールが非常に小さいけど、まさにフランス映画らしい情緒ある作品である。
夢見る若者、やり残した事を遂げる老人、人生の岐路に立つ中年、それぞれの世代で突き当たる問題を上手く表現しています。
主人公となるロマンは夢を追うけど上手くいかないが、祖母の行動で彼の運命が開かれる。
一方で父を亡くし、母が失踪し、職を失って不安が募るミシェルが、何をすればいいか導かれるところも面白い。
そして、本作ですべてを突き動かす原動力となったマドレーヌのパワフルな行動力がスゴイ。
自分の死期を悟っていたのだろうという行動だが、彼女にとっては満足だったはずです。
思い出の場所に帰ったマドレーヌの表情は非常に明るく、老人ホームとは大違いであった。
そこに他の登場人物がコミカルに絡んでいく展開も悪くないと思います。
マドレーヌの死は決して悲しいモノではなく、みんなを前進させる大きな出来事だった。
だからこそ、悲しみよりも笑顔を与えるマドレーヌの存在感は素晴らしいモノでした。