X-MEN:ダーク・フェニックス MY-285

作品紹介

公開年月  2019/06/07
ジャンル  SF/アクション
原作  クリス・クレアモント(原作)、エイヴ・コックラムとジョン・バーン(作画)

『ダーク・フェニックス・サーガ』

監督  サイモン・キンバーグ
脚本  サイモン・キンバーグ
製作  サイモン・キンバーグ、ハッチ・パーカー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  購入ブルーレイ

あらすじ

人類との共存を願って平和を守る為に戦い続けるX-MENたちはある日、最強メンバーのジーン・グレイが宇宙のミッションによる事故でダークサイドの力を増幅させてしまう。
もう一つの人格である“ダーク・フェニックス”を覚醒させたジーンは、自身でも制御できず暴走をさせる。
プロフェッサーXや恋人のサイクロップスに助けを求めるも悲劇を引き起こし、ジーンの力を利用しようとする謎の女が近づいていくのだった。

登場人物&出演者

チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX(演:ジェームズ・マカヴォイ)
世界最強のテレパス。車椅子生活を送る。「恵まれし子らの学園」を設立している。
ジェームズ・マカヴォイは近年の出演作に『ミスター・ガラス』、『デッドプール2』などがあります。
力を制御できないミュータントたちを集める中で、ジーン・グレイの特別な力を知っている。
レイヴンと考え方に相違が生じてしまい、ジーンの暴走で決定的に信用を失ってしまう。
ジーンの殺害を考えるエリックとハンクを止めるが、ヴークにより人間たちに捕まる。
最後は暴走するジーンを説得してヴークを倒させ、引退してフランスで隠居生活を送る。

エリック・レーンシャー/マグニートー(演:マイケル・ファスベンダー)
どんな金属でも意のままに操る事ができる。現在は政府から提供された島で暮らしている。
マイケル・ファスベンダーは近年の出演作に『エイリアン:コヴェナント』、『スノーマン/雪闇の殺人鬼』などがあります。
普通の人間と隔絶した島でリーダーとして暮らし、あくまでミュータントが優先だと考える。
レイヴンを殺したジーンがやって来て救いを求めるが、暴走する彼女を追い出してしまう。
ハンクから真実を知ってジーンを殺そうとするが、チャールズの言葉を聞いて考えを改める。
最後はヴークと爆発四散したジーンを見送り、隠居生活するチャールズの元を訪れた。

レイヴン・ダークホルム/ミスティーク(演:ジェニファー・ローレンス)
青い肌と赤い髪に黄色い瞳を持ち、どんな人間にも姿を変えられる。X-MENのリーダー。
ジェニファー・ローレンスは近年の出演作に『レッド・スパロー』、『マザー!』があります。
チャールズとは違って現場で指揮をするリーダーとして判断し、みんなの信頼を得ている。
現在の暮らしに対して不満を持っていて、そのせいでチャールズと考え方が食い違っている。
危険を冒したミッションで一度出て行こうとするが、ハンクの説得で留まる事になる。
最後は暴走するジーンを止めようとしたが、拒否した彼女によって意図的に殺されてしまう。

ハンク・マッコイ/ビースト(演:ニコラス・ホルト)
自由に人間から青い野獣に変身して超人的な身体能力を発揮する。様々な発明をしている。
ニコラス・ホルトは近年の出演作に『トールキン/旅のはじまり』、『女王陛下のお気に入り』などがあります。
常にチャールズの味方となっていて、無茶な任務に対しても彼を信頼してこなしていた。
ジーンの暴走でレイヴンを失ってしまうと、チャールズのやって来た事を否定して出て行く。
エリックと結託してレイヴンを殺したジーンの殺害を目論むが、チャールズに止められる。
最後は反省してチャールズたちと和解し、新たな学園の校長として就任する事になる。

・ジーン・グレイ/ダーク・フェニックス(演:ソフィー・ターナー)
テレパシーとテレキネシスを操る。小さい頃に能力が暴走して両親が事故死してしまう。
ソフィー・ターナーは近年の出演作に『ジョナス・ブラザーズ/復活への旅』、『ベアリー・リーサル』などがあります。
自身が持っている潜在能力に怯えていて、スペースシャトル救出の際には心配していた。
宇宙のミッションでフェニックス・フォースを吸収し、暴走してレイヴンを殺してしまう。
仲間に見捨てられたと思い、近寄ってきたヴークの言葉を鵜呑みにして暴走をしていく。
最後は仲間たちの思いを知って、ヴークとフェニックス・フォースを使って爆発四散した。

スコット・サマーズ/サイクロップス(演:タイ・シェリダン)
両眼から破壊光線オプティック・ブラストを放射する。ジーン・グレイと恋仲となっている。
タイ・シェリダンは近年の出演作に『デッドプール2』、『レディ・プレイヤー1』がある。
宇宙の危険な任務に不満を持っていたジーンを説得して、なんとか彼女を勇気づけていた。
ジーンが暴走すると説得して戻らせようとするも失敗して、エリックたちと戦闘になる。
あくまでジーンを連れ帰ろうとしていて、ヴークたちから彼女を守ろうと必死に戦っていた。
最後はジーンが消滅してしまい、彼女との別れを惜しみながらも教師として生きていく。

カート・ワグナー/ナイトクローラー(演:コディ・スミット=マクフィー)
悪魔のような容姿を持つ。視認できる場所か過去にいた場所なら瞬間移動ができる。
コディ・スミット=マクフィーは近年の出演作に『アルファ/帰還(かえ)りし者たち』、『デッドプール2』などがあります。
宇宙でのミッションでは楽しいと思っていたが、予想よりも状況が悪くて不満を口にした。
瞬間移動でスペースシャトルの乗組員たちを助けるが、取り残されたジーンは助けられず。
ジーンが実家に帰って暴走を始めると、それを止めようとするがあっさりと倒された。
最後はジーンを助けるべく駆けつけ、人間を助けられない悔しさから宇宙人たちを倒した。

オロロ・マンロー/ストーム(演:アレクサンドラ・シップ)
白い髪の毛を持ち、一定空間の天気を自在に操れる。アポカリプス戦以降、X-MENに加わる。
アレクサンドラ・シップは近年の出演作に『シャフト』、『ベラのワンダフル・ホーム』などがあります。
宇宙でのミッションでスペースシャトルの外壁を凍らせて、一時的に状態を保っていた。
ジーンの能力が暴走すると止めようとするが、圧倒的な力の前であっさりと倒された。
宇宙人たちからジーンを守ろうと戦うが、ヴークに稲妻を当てても効かず返されて倒れた。
最後はジーンのおかげでヴークが倒されると、学園の教師として生徒たちに教えていく。

ピーター・マキシモフ/クイックシルバー(演:エヴァン・ピーターズ)
周囲がスローモーションのように見えるほど超高速で動く事ができる。X-MENに加わった。
エヴァン・ピーターズは代表作に『ボーダーライン:ソマリア・ウォー』、『アメリカン・アニマルズ』などがあります。
宇宙でのミッションでは気楽に臨んで、カートの瞬間移動とともに乗組員たちを助け出した。
ジーンの能力が暴走すると、それを止めようとするも先読みされて大ケガを負ってしまう。
最後はジーンのおかげでヴークたちが消え去り、教師として走っていた生徒を注意した。

マーガレット/ヴーク(演:ジェシカ・チャスティン)
フェニックス・フォースによって星を破壊され、残された仲間たちとずっと追っていた。
ジェシカ・チャスティンは近年の出演作に『私はジェーン・ドウ:立ち上がる母と娘』、『モリーズ・ゲーム』などがあります。
宇宙でのミッションでジーンがフェニックス・フォースを吸収したのを目撃して追ってきた。
仲間とともに人間の姿に化けてジーンに近づき、彼女を仲間に引き入れて力を手にした。
更なる力を手に入れようと捕まったジーンを追っていき、邪魔するX-MENたちを排除する。
最後は覚醒したジーンの力に耐えきれず、宇宙空間で肉体を解体されて消滅してしまう。

感想

個人的な評価

本作は『X-MEN』シリーズとして第7作目となり、スピンオフ作品を含めると第12作品目となっています。
2011年から始まった前日譚シリーズとして最終作だけじゃなく、シリーズとしても最終作という事になります。
この作品で監督を務めるサイモン・キンバーグはデビュー作であり、長らく『X-MEN』シリーズの脚本を務めてきました。
今回は原作でも大きな事件となった『ダーク・フェニックス』がモデルで、物語の中心にはジーン・グレイとなっています。
これは以前のシリーズであった『ファイナル・デシジョン』のような展開になっています。
『ファイナル・デシジョン』は完全にジーン・グレイの潜在能力であったが、本作では宇宙の力である「フェニックス・フォース」が盛り込まれています
そのおかげで宇宙からの侵略者がやって来る理由にもなったが、残念ながら彼らは本作でそこまで目立った存在じゃなかった。
あくまでジーン・グレイが物語のカギを握っていて、悪でも善でも立場を変えてしまっているから個々の存在感が薄くなっている。
アメコミ映画というのは圧倒的な力を持つ悪役に主人公たちが力を合わせて戦い、ボロボロになりながらも勝利を収める形が基本となっている。
しかし、この作品は仲間から悪役が生まれて戦う複雑な状況になり、アメコミ映画としてのスッキリした展開とは真逆となります。
『ファイナル・デシジョン』はシリーズの最終作でしたが、残念ながら評価は今一つで失敗作とも言われています。
そんな本作もまったく同じような運命をたどっていて、前作の『アポカリプス』も右肩下がりの状況になっていました。
「X-MEN」のテーマはマイノリティが平和的に暮らす事だが、本作は仲間同士の争いでメインのテーマが完全に崩壊してしまっている。
内輪揉めが世界に影響を及ぼすというシナリオで、全体的に物語が暗くて不安定な状況で希望を見出そうとしていました。
ハッキリ言って、暗い世界観のアメコミ映画というのはしっかりと人間ドラマを作らないと失敗してしまいます。
ですが、本作は多くの登場人物がいるせいで人間ドラマが薄くなってしまい、結局は状況を見せているだけで深みがまったくありません。
そもそも、ジーン・グレイは本シリーズでそこまで目立った存在じゃなく、彼女が物語のキーパーソンになるのには荷が重かったと思います。
最終的に本作を終着点にするならば、最初の段階からジーン・グレイが特別であって、もっと彼女のスポットライトを当てるべきでした。
残念ながら本作ではポッと出な印象が強く、物語を一人で掻き回す為に他を無能にしてしまうのは一番ダメなパターンだと思います。
本作にはメインとなるキャラクターたちに重さがなく、簡単に物語が片付けられた点でも象徴していたと思います。
今後は新たなシリーズが作られるだろうが、せめて最終作はもう少し力を入れてカタルシスが生まれてくるような作品にして欲しいです。