作品紹介
公開年月 | 2020/02/21 |
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ジャンル | ホラー |
原作 | なし |
監督 | タタル・セラミ |
脚本 | タタル・セラミ、ジャワド・ラルー、ほか |
製作 | タタル・セラミ、ラミア・クラビ |
製作国 | フランス、モロッコ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
刑事のアリは過去に弟のサミールが何者かに連れ去られ、家庭を顧みず長年に渡って手がかりを探していた。
アリの妻で学校の教師であるナディアはそんな夫に辟易するが、ひょんな事からサミールが見つかるが、同時にブガタトゥが解き放たれる。
子供時代に仲良し四人組のアリ、ナディア、ステファン、サミールが揃うと、子供たちを狙う危険な悪魔との決着をつけるべく立ち上がるのだった。
登場人物&出演者
・アリ(演:ユネス・ブア)
刑事。ナディアの夫で息子が一人いる。過去に連れ去られた弟を長年に渡って探している。
ユネス・ブアは代表作に『Road to Kabul』、『Le Miracle du Saint Inconnu』があります。
子供時代の仲良し四人組の一人で、ナディアに片想いしていたが、告白できずにいた。
弟のサミールが誘拐犯として逮捕され、捨てたペンダントを持っていた事から再会を喜んだ。
ナディアたちを助けた老人を勘違いで射殺し、彼の所持していた笛を手に入れていた。
最後は笛を使ってブガタトゥを制止させ、自意識を失った息子へ封印の苦渋の選択をした。
・ナディア(演:ソフィア・マヌーシャ)
学校の教師。アリの妻で一人息子がいる。家庭を顧みないアリに辟易して夫婦仲は最悪に。
ソフィア・マヌーシャは代表作に『La Nouvelle Blanche Neige』、『Instinct Animal』などがあります。
子供時代の仲良し四人組の一人で、その頃はアリじゃなく、ステファンに想いを寄せていた。
大人になってアリと結婚するも、過去の出来事をスッカリと忘れて夫の態度に不満を持つ。
ステファンの言葉でブガタトゥを思い出し、目の前で子供が誘拐されてショックを受ける。
最後は息子を助けようとして屋敷に入り、本体となるバシーラと相対し、アリに助けられた。
・ステファン(演:イバン・ゴンサレス)
画家として成功を収めている。ナディアの言葉に従ってブガタトゥの存在を忘れない。
イバン・ゴンサレスは代表作に『ディヴァイド』、『コールド・スキン』などがあります。
子供時代の仲良し四人組の一人で、ナディアからの想いを知っていて一緒に楽しんでいた。
サミールが連れ去られた事を大人になっても忘れず、ブガタトゥの絵を描いていた。
解放されたサミールとの再会に喜び、過去に退治した怪物のブガタトゥが悪魔の類だと話す。
最後はナディアを襲うブガタトゥを羽交い締めにするが、逆に黒い霧に包まれて消え去る。
・サミール(演:オマール・ロトフィ)
アリの弟。子供の頃にブガタトゥを体内に封印され、鉄製の猿ぐつわを常時装着している。
オマール・ロトフィは代表作に『Tu te souviens d’Adil?』、『Des… Espoirs』がある。
子供時代の仲良し四人組の一人で、兄のアリがナディアに片想いしている事を知っていた。
廃墟に子供が来て猿ぐつわを外された事でブガタトゥが解放され、誘拐犯として逮捕された。
兄やナディアとステファンと再会を喜ぶが、ブガタトゥを解き放った責任を感じていた。
最後は再びブガタトゥを体内に封印して飛び降り自殺を図るが、その前に逃げられて犬死に。
・老人(演:ムーサ・マースクリ)
廃墟となった工場跡地に住む老人。鉄製の猿ぐつわをする男と監視して他者を寄せ付けない。
ムーサ・マースクリは代表作に『アデル/ファラオと復活の秘薬』、『バレッツ』があります。
少年だった頃、少女のバシーラと両想いで、アシュラの日に2人で駆け落ちを決めていた。
少女の父親から逃げ出すと、とある屋敷に侵入するも目の前でブガタトゥに奪われてしまう。
ナディアたちにブガタトゥが解き放たれると、笛で動きを止めてサミールに封印した。
最後はナディアと一緒にいた子供を助けようとしたが、アリの勘違いで射殺されてしまった。
感想
個人的な評価
本作は『シッチェス・カタロニア国際映画祭』にて審査員特別賞を受賞した作品です。
他に『未体験ゾーンの映画たち2020』を含めた多数の映画祭に上映されています。
あらゆる映画祭での箔を付けた怪しさ満点と、やりたい邦題にされた悲しい作品となります。
フランスと共作とは言え、モロッコが製作に参加している珍しい作品でもあります。
実際に『ドント・イット』という作品があるけど、残念ながら続編でもなんでもなく、単純に『IT/イット』の続編に合わせて付けられた邦題になります。
それに加え、「ドント」シリーズともまったく関係ないので、あまりにも適当な邦題を付けられた本作はご愁傷様です。
ただ、内容は『IT/イット THE END“それ”が見えたら、終わり。』と酷似しているが、かなり簡略化された展開でした。
序盤に情報量を多く出しているせいで、途中まで何が起きているのか理解するまで多少時間を要する点でも優しさを感じられない。
中盤以降は登場人物の関係性が理解できるので、物語として安定するが、今度はペニーワイズ的な存在のブガタトゥが曖昧すぎて気になりました。
物語の中ではブガタトゥは子供だけを狙って実際に食うが、なぜ笛で動きが止まって、人の中に封印できるのか説明がありません。
更に序盤でブガタトゥの一部となった少女の目的、一緒にいた少年が年老いて子供たちを助けるもあっさり主人公に勘違いされて殺されるなど、その背景に必要な説明がない。
鑑賞した後で整理すれば、伏線が繋がっていくのですが、本当はそれを劇中で実現させるべきだと思います。
ここら辺の構成も観ている側にとって優しくないし、製作側はその仕掛けで満足しているだろうが、そうなってくると一般受けはしないだろう。
その点では『IT/イット THE END“それ”が見えたら、終わり。』はしっかりと説明しているから段違いの扱いになっている。
これは玄人好みの作品になっているので、やりたい邦題も相まって、本当に残念な扱いを受けた不遇の作品だと感じました。