ザ・カー VD-121

作品紹介

公開年月  1977/05/13
ジャンル  ホラー/サスペンス
原作  なし
監督  エリオット・シルヴァースタイン
脚本  マイケル・バトラー、デニス・シュラック、ほか
製作  マーヴィン・ハート、エリオット・シルヴァースタイン
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

ユタ州の田舎町サンタ・イネスのある日、サイクリングをしていた学生やヒッチハイク中の出稼ぎ労働者を連続でひき逃げする事件が発生。
地元の保安官であるウェイドはこの事件に使われた漆黒の車を断定し捜査に乗り出すが、相棒のルークは被害者の中に親族がいてショックを受ける。
目撃者であるインディアンの老婆は運転席に誰も乗っていないと証言する中、殺人車の行動は次第にエスカレートするのだった。

登場人物&出演者

ウェイド(演:ジェームズ・ブローリン)
地元の保安官。二人の娘と暮らす。妻とは仲違いで離婚し、現在はローレンが恋人である。
ジェームズ・ブローリンは代表作に『面影』、『チリ33人/希望の軌跡』などがあります。
娘たちに気を遣ってローレンと会わないようにしているが、彼女たちはすでに認めている。
黒い車による事件が次々と起きて、ただ事じゃないと知って休みなしのシフトに切り替える。
エヴェレットが殺され、その代わりとして黒い車の事件について陣頭指揮を執る事になる。
最後は爆破大作戦で囮になって黒い車を引きつけ、爆炎と岩の下敷きにして見事に倒した。

ルーク(演:ロニー・コックス)
地元の保安官。ヒッチハイカーが轢かれた現場にいち早く到着して凄惨さに顔をしかめる。
ロニー・コックスは近年の出演作に『追撃者』、『エディ・マーフィの劇的1週間』がある。
親しい人が死んでいる可能性が高いと知って、隠し持っていた酒を飲んで気を紛らわせる。
次々と親しい人が死んでしまい、情緒不安定になってパレードの中止も忘れてしまう。
ローレンが家にいながら殺されたところで、急に黒い車が悪霊の仕業だとなぜか思いつく。
最後は爆破大作戦に参加し、ギリギリまで囮になって、黒い車をなんとか倒す事に成功。

チャス(演:ヘンリー・オブライエン)
保安官。インディアン。黒い車が現れてティグラー郡に捜索をエヴェレットに指示される。
ヘンリー・オブライエンは代表作に『トム・ソーヤーの冒険』などがあります。
エヴェレットが轢かれた現場を目撃したインディアンの女性から話しを聞いて通訳した。
しかし、インディアン女性が現実離れな話しをして、必要ないとして割愛をしていた。
最後は爆破大作戦の為にエイモスを釈放し、山間部でダイナマイトを用意して退治した。

エイモス・クレメンツ(演:R・G・アームストロング)
町外れに住んでいる。妻に対して暴力的。ヒッチハイカーに注意され、逆に罵声を浴びせる。
R・G・アームストロングは代表作に『テキサスSWAT』、『プレデター』などがあります。
ヒッチハイカーが黒い車に轢かれている様子をみて、すぐに警察へ通報して事情を話す。
事情聴取を受けて帰る時に妻を威圧したが、そこに黒い車が現れて間一髪でなんとか避けた。
なぜか留置所に収容されていたが、黒い車をやっつける為に釈放されて喜んで協力をする。
最後は自前のダイナマイトを用意し、誘い出された黒い車を爆炎と岩の下敷きにして倒した。

ローレン(演:キャスリーン・ロイド)
小学校の教師。ウェイドとは恋人関係。彼の家にいる間は娘たちに会わないようにしている。
キャスリーン・ロイドは代表作に『ミズーリ・ブレイク』、『Dr.ノーマンの秘密』がある。
ウェイドが結婚を申し込まない事に不安を持つが、娘たちとは仲良くできる自信を持つ。
会場に生徒を集めてパレードの練習に励むが、黒い車に襲われるが墓地に逃げて助かった。
黒い車に襲われて打撲傷で入院したウェイドの看病をして、黒い車について語った。
チャスに送ってもらい帰るが、怪しい風を感じて家に避難するも黒い車に突撃されて死亡。

エヴェレット(演:ジョン・マーリー)
ベテランの保安官。黒い車がヒッチハイカーを轢いて現場に到着して厳しい表情になる。
ジョン・マーリーは代表作に『警部物語』、『ザ・ランナー/孤独な挑戦』などがあります。
保安官事務所に戻ってから他の保安官に黒い車の捜索を指示し、捕まえると宣言した。
地元の若者カップルの死体が見つかると、更に険しい顔となって道路の封鎖を敢行する。
エイモスの妻は初めての女で、彼女が暴力を受けている事に心を痛めて告訴を勧めていた。
事情聴取のあとに帰るエイモスたちを見送るが、黒い車が突然現れ轢かれて死亡した。

感想

個人的な評価

本作は車をテーマにしたホラー映画のパイオニア的な作品として知られています。
個人的に車が襲ってくる映画と言えば、スティーヴン・スピルバーグ監督の『激突!』が非常に印象に残っています。
得体の知れないトレーラーが理由もなくつけ回し、挙げ句の果てには襲うという展開は本作からの流れだと言えるでしょう。
黒い車は正体不明で突然現れて、目の前にいる人間を次々と轢き殺していきます。
ここら辺は無言の怖さを演出しているが、やはり、時代が70年代という事でグロテスクな描写はほとんどありません。
それに全体的なアクションが思っていたよりも薄味で、時々「えっ?」と思うような演出に時代を感じてしまいます。
その兆候として急に突風が吹いてから、どこからともなく現れて必ず誰を殺してしまう。
ただ、なぜか墓地の中へ入れず、その周囲をぐるぐる回ってクラクションで威嚇するだけ。
こにいち早く気づいたヒロインだったが、家に帰って安心していたら、まさか黒い車が中にまで突入して殺すという事まで考えられなかった。
理由なき殺人と黒い車の動機が不明の中で保安官たちが知り合いや親しい人たちを亡くし、追いつめられている様子も本作の見所でもある。
相手が生き物ではなく、人工物で動機も不明な状態なので、その不安感を誘う意味では本作の展開は悪くないと思います。
現代なら様々な道具を駆使して対策を立てるが、まだまだアナログな時代での対応も作品の面白さを引き立てていると感じました。
物語の悪役である黒い車はリンカーン・コンチネンタルをベースにした改造車で、磨りガラスとドアノブがなく、全体的に肉厚な外観をしている。
何より神出鬼没でエンジン音を出さなくても始動が可能で、大型車であっても小回りが利く。
とにかく、黒い車のドライビングテクニックが一級品で、相手が自分よりも大きな車であっても押し出すほどの馬力を持つ。
このように強力な車であるが、悪魔の仕業という位置だと考えれば、破壊するのは物理的な攻撃では意味がないと思う。
それなのに本作では単純な爆破大作戦によって意図も簡単に浄化する力業でやってける。
これも70年代だからこその分かりやすい倒し方で、なんだかサメ映画に通じる部分があるので、多くの後継映画が製作されたのは言うまでもないだろう。