パトリオット・デイ RE-2637

作品紹介

公開年月  2016/12/21
ジャンル  サスペンス
原作  デイヴ・ウェッジ 『Boston Strong』
監督  ピーター・バーグ
脚本  ピーター・バーグ
製作  スコット・ステューバー
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

2013年4月15日、50万の観衆がつめかけた“ボストン・マラソン”の警備に当たっていた殺人課の刑事トミー。
人々の大声援を受けてランナーたちが次々とゴールする中、トミーの背後で突然の大爆発が怒り、多数の負傷者が出て現場は大混乱に陥る。
地元警察官が救護活動をと事態の収拾に奔走し、FBIのデローリエが陣頭指揮を執ると、周辺の地理に詳しい地元出身のトミーも捜査に協力するのだった。

登場人物&出演者

トミー・サンダース(演:マーク・ウォールバーグ)
主人公。ボストン警察巡査部長。問題を起こして停職中。左膝が悪くサポーターをしている。
マーク・ウォールバーグは近年の出演作に『トランスフォーマー/最後の騎士王』、『バーニング・オーシャン』などがあります。
ボストン・マラソンが始まる5時間前から暴行容疑の犯人逮捕をして一睡もしていない。
爆発が起きてから的確な指示で負傷者を運び出すが、FBIの登場で一変して苛立つ事に。
殺人課の経験から地道に捜査を展開するが、家に帰って妻の顔を見て感情が大きく動く。
最後はジョハルが隠れるボートの中を覗いて確認し、FBIによって逮捕して事件が終結。

リック・デローリエ(演:ケヴィン・ベーコン)
FBI特別捜査官。ボストン・マラソン会場での爆発を受けて47分後に現場へ到着した。
ケヴィン・ベーコンは近年の出演作に『ダークネス』、『ブラック・スキャンダル』がある。
今回の爆発事件を勘でテロ事件だと推測するが、経済や政治の打撃について冷静に考える。
あくまで全体的な影響を第一に考え、安易な捜査の公開を躊躇うせいで意見が衝突する。
顔の公開がマスコミに流れてしまうと、それを流した犯人に対して徹底的な制裁を口にする。

エド・デイヴィス(演:ジョン・グッドマン)
ボスと警察警視総監。トミーとともに暴行容疑の犯人逮捕の現場にワザワザ出向いていた。
ジョン・グッドマンは近年の出演作に『キングコング:髑髏島の巨神』、『10/クローバーフィールド・レーン』などがあります。
トミーがあと一日で停職処分が解かれる事から、彼が再び問題を起こさないように監視する。
デローリエが慎重のな捜査を進めていくが、早く事件を解決したい一心で衝突してしまう。
犯人と思われる顔を公開するべきだと声を荒げるが、デローリエがそれを抑制していた。

ジェフ・ピュジリーズ(演:J・K・シモンズ)
ウォータータウン警察巡査部長。非番で朝から妻の為にベーグルを買いに出かけていた。
J・K・シモンズは近年の出演作に『ジャスティス・リーグ』、『ラ・ラ・ランド』がある。
爆破事件が起きてからは警戒態勢を敷き、いつ出動要請が来てもいいように準備をする。
出勤時間が終わって家に帰ろうとした時に銃撃戦の通報を受けて急いで現場へ駆けつけた。
銃撃戦の最中、裏に回り込んでタメルランの足を撃ち抜き、動きが止まったところで止めた。

ダン・マン(演:ジミー・O・ヤン)
中国人。独自にアプリを作って中国系の飲食店に商談を持ちかけて取引をしている。
ジミー・O・ヤンは代表作に『インターンシップ』、『Juliet, Naked』などがあります。
デートが終わって車でメールをしていたら、タメルランに銃を突き付けられ人質にされる。
1時間も一緒にドライブしたが、隙を見て逃げ出して警察へ通報した事から状況が一変した。

タメルラン・ツァルナエフ(演:テオ・メリキゼ)
爆弾テロ事件の犯人。ジョハルは弟。妻もいて娘もいるが、爆弾テロを敢行した。
テオ・メリキゼは代表作に『Beautiful Something』、『Transit 17』などがあります。
アメリカ同時多発テロ事件の真犯人はアメリカ政府で、ムスリムを陥れるの陰謀だと信じる。
弟のジョハルに対して威圧的で、事件を起こした後は妻にも強く当たるほど苛ついている。
ダンの通報で居場所がバレてしまい、警察官に囲まれると真っ先に発砲して銃撃戦へ。
最後はジェフ・ピュジリーズの銃弾を足に受け、ジョハルが車で逃げる際に轢かれて死亡。

ジョハル・ツァルナエフ(演:アレックス・ウォルフ)
爆弾テロ事件の犯人。タメルランは兄。普通の青年だが、爆弾テロを日常のように起こす。
アレックス・ウォルフは代表作に『コクリコ坂』、『ピンチ・ヒッター』などがあります。
捜査網が自分たちの近くまで来ても危機感を持たず、何より人を殺した事に後悔を見せない。
中国人のダンからSUVのベンツを盗んで無邪気に喜び、次の車も高級車がいいと話す。
警察官との銃撃戦になって、タメルランが発砲する間に手製の爆弾で応戦していた。
最後はニューヨークに向かうが、逃げ切れず一軒のボートに隠れていたところを逮捕される。

感想

個人的な評価

本作は2013年に発生したボストン・マラソン爆弾テロ事件を題材にした作品です。
ジャーナリストのケイシー・シャーマン、ボストン・ヘラルド紙のリポーター、デイヴ・ウェッジが執筆したノンフィクション小説を基に作られています。
アメリカでのテロ事件と言えば、どうしても2001年9月11日に起きた“アメリカ同時多発テロ事件”が記憶に残っているでしょう。
しかしながら、本作で取り上げた事件はそれまでの爆弾テロ事件とは少し違います。
アメリカ同時多発テロ事件ではアルカーイダのテロリストが実行犯でしたが、本作の事件はあくまで一般人がやっています。
今回の犯人はムスリムのやった事だが、彼らは一般人でテロリストとは関係がないです。
ただ、そのテロリストから大きな影響を受けていて、アメリカに住みながらアメリカ政府に対するねじ曲がった考えを持っている。
これは爆弾テロを起こした兄弟だけじゃなく、兄の妻も覚悟を決めていて、何を言われても爆弾の在処を絶対に口外しない。
本作から伝わるのは悲惨な事件の全容だけに限らず、事件を起こした犯人側の心情もしっかりと描かれています。
被害を受けた者や現場にいた者は悲痛な思いを募らせる中、実際に爆破を行った張本人は罪の意識がまったくないのです。
主犯格であるタメルランは自分のやっている事は間違っていないと信じて疑わないのです。
弟のジョハルも同じ考えだが、こちらの方が散歩するような気持ちでテロを起こしています。
とにかく、犯人側の心情が普通の人間と違った感覚で、彼らにとって正義で悪がアメリカ政府だと主張しているのです。
そういう考えにつけ込むのがテロリストだが、彼らの場合は勝手に暴走してテロ事件を起こしているという恐ろしい考え方でした。
物語としてはずっと緊張感があって、犯人たちの足取りを捜査していく場面は非常に興味深く楽しむ事ができました。
2時間弱の作品だが、あっという間に終わってしまうほど、時間を忘れさせる秀逸な演出と間があって、思っていた以上の良作でした。
さすがに現実の出来事なので結末が分かっているが、それまで描き方に観ている側としても飽きる部分がありません。
最初は接点もない登場人物たちが出てくるが、その後、事件を発端として彼らの役割が分かってくる点も面白いと感じました。
本作は最も印象を受けたのはテロを起こした兄弟の考え方であり、人を殺した事実を感じさせない日常的なやり取りに恐ろしさがありました。