作品紹介
公開年月 | 1983/02/04 |
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ジャンル | SF/ホラー |
原作 | なし |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
脚本 | デヴィッド・クローネンバーグ |
製作 | クロード・エロー |
製作国 | カナダ |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
暴力的で過激なポルノを売りとするテレビ局の社長マックスは、ある日、拷問や殺人シーンなどのサディストな番組「ヴィデオドローム」の存在を知る。
興味を持ったマックスは番組の出所を探ろうとするが、やがて自分の異変に気づき始める。
幻覚を見続け、現実との境を見失い、実生活に影響していく中でマックスは更に番組へと引き込まれるのだった。
登場人物&出演者
・マックス(演:ジェームズ・ウッズ)
主人公。ケーブルテレビ局「CIVIC-TV」の社長。目玉となる刺激的な映像を日々探している。
ジェームズ・ウッズは代表作に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、『コンタクト』などがあります。
次第にヴィデオドロームの中毒性に惹かれていき、調べているうちに幻覚を見るようになる。
オブリビアン教授のビデオを見て更に幻覚が深刻化し、その製作者であるバリーと会う。
バリーに操られ邪魔者となる局内の重役を殺し、ビアンカを殺そうとするも逆に利用される。
最後はビアンカの言葉によりバリーを殺害し、ニッキーの言葉で自殺を選ぶ事となった。
・ニッキー(演:デボラ・ハリー)
マックスの恋人。マックスから多大な影響を受け、自傷癖を持っていてナイフで体を切る。
デボラ・ハリーは代表作に『ヘアスプレー』、『死ぬまでにしたい10のこと』があります。
普段はマックスの局内の番組「ニッキーの心の相談室」でパーソナリティを務めている。
ヴィデオドロームに興味を持ち、一ヶ月の休暇を取って番組に出演しようと勝手に出向く。
結局はヴィデオドロームに取り込まれてしまい、マックスが助け出す前に殺害された。
すでに肉体は亡くなっているが、ヴィデオドロームから語りかけてマックスを焚きつけた。
・ブライディ(演:ジュリー・カナー)
マックスの秘書。いつも寝ぼけているマックスに目覚まし用のビデオを届けている。
ジュリー・カナーは代表作に『Chloe/クロエ』、『フェリシーと夢のトウシューズ』がある。
何かと忙しいマックスのスケジュールを把握して、的確に彼をサポートする有能な秘書。
オブリビアン教授のビデオをマックスの自宅に送るが、顔色の悪い彼を心配した。
バリーに操られて局内の重役たちを殺したマックスにどうする事もできず呆然とした。
・マーシャ(演:リン・ゴーマン)
マックスに刺激的な作品を売る老女ブローカー。地下の販売ルートにも精通している。
リン・ゴーマンは代表作に『Nobody Waved Good-bye』、『Looking for Miracles』などがあります。
刺激的な映像を求めるマックスの為に『ヴィデオドローム』について調べていく。
ヴィデオドロームの正体を知り、探っていたマックスに警告するも無視されてしまう。
マックスによって現実世界で殺されたように見せかけて実は彼の幻覚であった。
・ハーラン(演:ピーター・ドゥヴォルスキー)
あらゆるテレビ局の電波をキャッチする。マックスの依頼で刺激的な映像を発掘した。
ピーター・ドゥヴォルスキーは代表作に『ギデオン/テロリスト暗殺指令』、『助産師の選択』などがあります。
拷問と殺人を繰り返す「ヴィデオドローム」を見つけ、苦戦していた出所も探り当てる。
実はバリーの回し者で、電波ではなく、直接ビデオテープをマックスに渡していた。
元々はテレビ局に対して低俗だと決めていて、バリーの実験に同意して参加していた。
最後はマックスにテープを与えるが、右手を手榴弾に変えられて爆死してしまう。
・ビアンカ・オブリビアン(演:ソーニャ・スミッツ)
オブリビアン教授の娘。ホームレスにビデオを見せて社会復帰をさせる実験をしている。
ソーニャ・スミッツは代表作に『ザ・ピット』、『ザ・フィクサー』などがあります。
ヴィデオドロームについて尋ねてきたマックスを出迎え、父のビデオ映像を送った。
危害を及ぼすヴィデオドロームについて知っていたが、黙っていた事にマックスは怒る。
バリーに操られたマックスに命を狙われるが、逆にそれを利用して操る事に成功する。
結局、マックスは言いなりとなって、危険なヴィデオドロームの破壊者となる。
・バリー・コンベックス(演:レスリー・カールソン)
スペクタクル・オプチカルの代表者。市場にヴィデオドロームを広めようとしている。
レスリー・カールソンは代表作に『暗闇にベルが鳴る』、『ザ・フライ』などがあります。
ヴィデオドロームに浸食されていくマックスに接触し、事業拡大したいと申し出る。
実は最初からヴィデオドロームの被験者にマックスを選んでビデオを見せていた。
マックスに腹部からビデオを与え、邪魔となる者たちを殺害するように操作していた。
最後はビアンカにより操られたマックスによって殺害され、野望が潰えてしまう。
・オブリビアン教授(演:ジャック・クレリー)
ヴィデオドロームに深く関わった人物。テレビの真実性を見出して現実世界から脱する。
ジャック・クレリーは代表作に『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』などがあります。
ビデオでの出演しかしないが、実はすでに11ヶ月前に死んでいて映像を多く残している。
ヴィデオドロームは脳腫瘍を作り出し、見た人間に幻覚を見せるという事を警告した。
感想
個人的な評価
本作は独特なグロテスクな描写に定評のあるデヴィッド・クローネンバーグが監督と脚本を務めた作品。
しかしながら、当然のように万人受けせず製作費の半分も回収できなかったようです。
ただ、本作はビデオ化されてからカルト映画として一部の人に人気を博したらしい。
デヴィッド・クローネンバーグ監督と言えば、『ザ・フライ』、『イグジステンズ』などのグロテスクな描写が素晴らしかったです。
あの独特な気持ち悪いテイストを出せるのはデヴィッド・クローネンバーグだけでしょう。
そんな本作はまさしく、デヴィッド・クローネンバーグの世界観が如実に出た作品です。
とにかく、グロテスクな造形が素晴らしく、普通の人ならば目を背きたくる映像は個人的に大好きな80年代テイストでした。
主人公を演じるジェームズ・ウッズは『コンタクト』のイメージしかないが、本作で彼の上手さを知る事になりました。
次第にヴィデオドロームの中毒性にハマっていく様子は、さながら麻薬中毒者のような印象を与える感じでした。
普通なら発狂しておかしくない状況でありながら、逆に冷静となって感情を出さない演技の方が不気味さを演出していたと思います。
グロテスクな描写ばかりだけじゃなく、本作にはデヴィッド・クローネンバーグのメッセージも強く込められた作品でもあります。
ヴィデオドロームの内容はほとんど見せていませんが、そこから巻き起こる危険性を示唆していると作品だと感じました。
とにかく、テレビが人間に与える悪影響をデヴィッド・クローネンバーグなりに思い切って表現した作品です。
現代でもささやかれるテレビによる悪影響ですが、デヴィッド・クローネンバーグは彼なりの哲学でアプローチしています。
ハッキリ言って、本作は万人受けするような作品ではないし、娯楽性があるワケでもなく、ただ気持ち悪いの一言に限るような内容である。
それでもデヴィッド・クローネンバーグの世界観が縦横無尽に走っている作品として、彼が作り出した後続の作品にも影響を与えると言えるだろう。
まさに好事家が喜ぶような映像や内容であり、本作がカルト映画と呼ばれる意味も分かる。