作品紹介
公開年月 | 2014/11/14 |
---|---|
ジャンル | サスペンス/ドラマ |
原作 | アンドリュー・ホッジス 『Alan Turing:The Enigma』 |
監督 | モルテン・ティルドゥム |
脚本 | グレアム・ムーア |
製作 | ノーラ・グロスマン、アイドー・オストロウスキー、ほか |
製作国 | イギリス、アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
1939年、ドイツ軍と戦う連合軍にとって、敵の暗号機“エニグマ”の解読は勝利の為に欠かせない最重要課題。
解読チームにチェスのチャンピオンなど様々な分野の精鋭が集められ、その中に天才数学者のアラン・チューニングもいた。
しかし、アランは共同作業に加わらず、勝手に奇妙なマシンばかりを作り孤立していく。
そこにクロスワードパズルの天才ジョンが加わると、アランの理解者となり、やがてチームはエニグマ解読の一歩まで迫るのだった。
登場人物&出演者
・アラン・チューリング(演:ベネディクト・カンバーバッチ)
主人公。ケンブリッジ大学の数学者。自宅が強盗に入られて事情を聞く警察を追い返した。
ベネディクト・カンバーバッチは近年の出演作に『ザ・カーレント・ウォー』、『マイティ・ソー/バトルロイヤル』などがあります。
エニグマ解読チームに参加するが、他人と協力する事よりも独善的な行動が合理的と主張。
チーム内では孤独になるが、ジョーンとの出会いで考えを改めてコミュニケーションを取る。
エニグマ解読を成功させるが、それをナチスに知られない為に生死の苦渋なる決断をする。
最後は同性愛が有罪となって強制的にホルモン治療を受け、最終的に自殺をしてしまう。
・ジョーン・クラーク(演:キーラ・ナイトレイ)
ヒロイン。エニグマ解読人員を探すべく、アランが出したクロスワードパズルを解いた。
キーラ・ナイトレイは近年の出演作に『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』、『レッド・ノーズ・デイ・アクチュアリー』などがあります。
エニグマ解読チームには直接関わる事はなかったが、アランの持ち込んだ暗号を解いた。
25歳独身という事で両親に呼び戻されるが、アランのプロポーズを受けて留まる。
アランが同性愛者だと知っても仕事を辞める事なく、最後までエニグマ解読に携わった。
戦争終結後、軍人と結婚して仕事を得るが、アランの憔悴した姿を見てショックを受けた。
・ヒュー・アレグザンダー(演:マシュー・グッド)
二度チェスの英国チャンピオンになる天才。当初はエニグマ解読チームのリーダーを務める。
マシュー・グッドは代表悪に『ウォッチメン』、『セルフレス/覚醒した記憶』があります。
アランがチャーチル首相に直訴してリーダーとなり、その非情な行動に不満を持つ。
孤独なアランを敵視していたが、彼の作ろうとするマシンが最も効率がいいと認めた。
その後はアランと友情をなり、デニストンが彼をクビにしようとした時に助けた。
最後はエニグマ解読がナチスに知られないよう秘密を守り、役目を終えて大学に戻った。
・ジョン・ケアンクロス(演:アレン・リーチ)
数学教授。エニグマ解読チームに集められた一人。何よりもチームの和を大事にする。
アレン・リーチは代表作に『カウボーイズ&エンジェルズ』、『グランドピアノ/狙われた黒鍵』などがあります。
チーム内で孤立していたアランを気にかけ、食事に誘うも冷たくあしらわれてしまう。
アランが改心してから友人のように付き合うが、彼の抱えている秘密を知っていた。
実はソ連のスパイであったが、ミンギスはすでに知っていて敢えて彼をチームに迎える。
同じく秘密を抱えるアランに親近感を持つ一方で、暴露されないように脅迫をした。
・ピーター・ヒルトン(演:マシュー・ビアード)
数学教授。エニグマ解読チームに集められた一人。チーム内で一番の若手である。
マシュー・ビアードは代表作に『17歳の肖像』、『Mr.スキャンダル』などがあります。
兄は海軍の砲手で食料輸送船団を守り、従兄弟は空軍で哨戒機に乗っている。
チームに協力せずマシンを作って成果を挙げないアランに対して不満をぶつけた。
エニグマ解読に成功して喜ぶも、ナチスの標的に兄の乗った船があると知り助けを懇願。
結局、戦争勝利の為に兄は犠牲となるが、最後まで従事してチームは解散し大学へ戻った。
・ロバート・ノック刑事(演:ロリー・キニア)
マンチェスター警察の刑事。自宅で盗難があったチューリング教授の元を訪れた。
ロリー・キニアは代表作に『007/慰めの報酬』、『007/スカイフォール』などがあります。
その際に冷たくあしらわれるが、何かを隠している確信して以後は目をつける事になる。
アランがソ連のスパイで大きな秘密に関わっている事を突き止めようと独自に捜査する。
捜査の結果、アランが同性愛者だと発覚するが、当初の大きな秘密と違って戸惑う。
なんとかアランを助けようとするも、自身の裁量を超える秘密に何もできないと知る。
・アラステア・デニストン(演:チャールズ・ダンス)
海軍中佐。エニグマ解読チームを集めた責任者。ドイツ語のできないアランを採用。
チャールズ・ダンスは近年の出演作に『高慢と偏見とゾンビ』、『アンダーワールド/ブラッド・ウォーズ』などがあります。
軍人である為、あくまで組織で動く事が一番だと思っているせいで一匹狼のアランを敵視。
アランが大金を使って作り上げたマシンが一向に成果が出せない事に苛立ちを覚える。
内務省の人間を引き連れてアランをクビにしようとするが、ヒューたちの反対で退いた。
・スチュアート・ミンギス(演:マーク・ストロング)
海軍少将。MI6の長官。エニグマを解読する為に専門家チームを招集させた。
マーク・ストロングは近年の出演作に『キングスマン:ゴールデン・サークル』、『ジャドヴィル包囲戦/6日間の戦い』などがあります。
チームで解読に挑む事を拒んでいたチューリングを説得して、エニグマに取りかからせる。
デニストンに嫌われるアランがチャーチル首相に直訴した手紙を預けて本人に手渡した。
アランが同性愛者、ジョンがソ連のスパイを分かりながらも起用するやり手の策士。
最後はエニグマ解読についてチームに口外を許さず、厳しい言葉で全員に釘を刺した。
・クリストファー・モーコム(演:ジャック・バノン)
寄宿学校時代のアランの友人。他者と変わっていたアランを受け入れた唯一の人物。
ジャック・バノンは代表作に『フューリー』、『キッズ・イン・ラブ』などがあります。
イジメを受けていたアランを助け、彼に暗号解読という将来の道を与えた人物。
実は結核を患っていて死を覚悟しており、アランが告白しようとする前に亡くなった。
感想
個人的な評価
本作はアンドリュー・ホッジスによる伝記を基に作られています。
第二次世界大戦中にエニグマ暗号を解読した実在の人物、アラン・チューリングを主人公にした作品となっています。
この作品は製作予定のない優れた脚本を挙げる“ブラック・リスト”の2011年版で1位を獲得したほどの評価を得ています。
アカデミー賞では8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した作品となっています。
アラン・チューリングたちのチームによって戦争が2年早く終結したと歴史家は語っている。
エニグマ解読は絶対に不可能だと言われていたが、天才数学者アランを中心にしたチームが実現して連合軍を勝利に導いたという。
その裏ではイギリスの情報機関であるMI6が関わった事で、50年の間は口外されなかった重要な秘密だったようです。
本作ではアラン・チューリングを中心にしたチームが解読したけど、彼らが一つにまとまるまでに様々な問題がありました。
特にアランは天才肌ゆえに他者を受け入れなかったが、ジョーン・クラークとの出会いでチームでの協調に目覚めます。
いくら天才が一人いたからって、すべてが上手くいかず、仲間がいた方が効率面や精神的にも重要だと本作は語っています。
他者とは不器用なアランが唯一心を開いたジョーンもまた天才で、8分かかるクロスワードを6分以内に解く才能を持っていました。
ただ、当時は男性の職場に女性が働く事は許されず、世間の目もあって距離を取っていた時代背景も描かれています。
本作はとにかく、アラン・チューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチの上手さが光っていました。
当初はチームの中で孤立していたが、それは暗号解読という目的の為だと分かります。
アランは確かに天才でチーム内でも飛び抜けた才能を持っていたが、そのせいで嫌われる。
しかし、ジョーンとの出会いで徐々に考え方を改めてチームの面々と協調していく姿も印象的だったと思います。
特に成果の上がらない状態でアランがクビになろうとした時、最も敵対していたヒューが助け船を出した場面は良かった。
天才で気難しい性格だった上に当時は批判の的だった同性愛者だったアランは、最後に自殺したという説明があって非常に悲しい結末だと感じました。
エニグマ解読という偉業を果たしながらも、同性愛者というだけで犯罪者扱いにする当時の常識は如何に愚かだったか分かります。
最後にベネディクト・カンバーバッチが見せた弱り切ったアランの姿は印象的で、初恋の相手だった友人の名前をつけたマシンを見ている表情は記憶に残りました。