15時17分、パリ行き RE-2857

作品紹介

公開年月  2018/02/09
ジャンル  ドラマ
原作  ジェフリー・E・スターン、スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー

アレック・スカラトス 『The 15:17 to Paris: The True Story of a Terrorist, a Train, and Three American Soldiers』

監督  クリント・イーストウッド
脚本  ドロシー・ブライスカル
製作  ジェシカ・メイヤー、ティム・ムーア、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

2015年8月21日、アムステルダム発パリ行きの高速列車タリスが発車した。
フランス国境内へ入ったのち、突如イスラム過激派の男が自動小銃を発砲した。
乗務員は乗務員室に逃げ込むと、554名の乗客全員が恐怖に怯える中、幼馴染みの三人の若者が犯人に立ち上がるのだった。

登場人物&出演者

アンソニー・サドラー(演:アンソニー・サドラー)
現場にいた本人が演じる。黒人。白人であるスペンサーとアレクとは中国時代から親友。
アンソニー・サドラーは本作が長編映画デビュー作となります。
子供の頃は口達者で何度も校長室へ行かされ、そこでスペンサーとアレクに出会う。
体を張る二人と違っておしゃべりで普通の会社員として働き、ヨーロッパ旅行に行く。
旅行中はずっと自撮り棒で写真を撮りまくり、二人と違って口達者な感じで話していた。
最後はテロリストが現れると真っ先に女性をかばい、気付いたら手を繋いでいた。

スペンサー・ストーン(演:スペンサー・ストーン)
現場にいた本人が演じる。トラブルがあると自分から首を突っ込んでしまう性格の持ち主。
スペンサー・ストーンは本作が長編映画デビュー作となります。
子供の頃は読む能力が非常に低く、当時の担任はアレクとともに注意欠陥障害と言われる。
パラシュートレスキュー部隊に憧れ、その為に体を鍛えるが結局は適性がなくて別の部隊へ。
旅行中はアンソニーと行動し、パリ行きに難色を示していた二人と違って積極的に推す。
最後はテロリストにタックルして倒し、ナイフで切られながらも柔術で気絶させた。

アレク・スカラトス(演:アレク・スカラトス)
現場にいた本人が演じる。アンソニーから「ロボット」と呼ばれ、頼りなるタフガイ。
アレク・スカラトスは本作が長編映画デビュー作となります。
子供の頃はすぐに気が散ってしまう、スペンサー同様に担任から注意欠陥障害と言われる。
スペンサーと同じくずっと軍人に憧れ、州兵になってアフガニスタンに派兵される。
旅行中はドイツで知り合いの女の子と楽しく過ごし、その後は二人と合流して飲み明かす。
最後はテロリストをスペンサーが抑える間に銃を分解して、弾薬を素早く回収した。

ジョイス・エスケル(演:ジュディ・グリア)
スペンサーの母親。シングルマザー。アレクの家とは隣同士でハイディと良い友達である。
ジュディ・グリアは代表作に『ヴィレッジ』、『アントマン』などがあります。
小学生のスペンサーが担任から注意欠陥障害と言われると、烈火の如く怒って教室を出た。
スペンサーがイタズラをして感情的に怒ってしまうが、その後は後悔していた。
教育の為にアレクが父親の元へ行くと、その光景を見て涙を流してスペンサーを励ました。
最後は高速鉄道タリスでテロリストを取り押さえた息子の表彰式に出て誇らしい表情に。

ハイディ・スカラトス(演:ジェナ・フィッシャー)
アレクの母親。シングルマザー。同じ境遇で隣同士という事でジョイスとは仲が良い。
ジェナ・フィッシャーは代表作に『スリザー』、『ソリタリー・マン』などがあります。
小学生のアレクがスペンサー同様に注意欠陥障害だと言われ、ジョイスとともに怒る。
転校したキリスト教の学校でも校長の言動に苛つき、またもジョイスと怒って帰る。
結局、父親の元で育った方がいいと判断して、仕方なくアレクを手放す事になる。
最後は高速鉄道タリスでテロリストを取り押さえた息子の表彰式に出て誇らしい表情に。

アヨブ・エルカザニ(演:レイ・コラサーニ)
銃乱射事件の犯人。高速鉄道タリスで15時17分のパリ行きの列車に乗り込んだ。
レイ・コラサーニは代表作に『The Son of an Afghan Farmer』、『Fireflies』がある。
スーツケースとともにトイレへ10分ほどこもると、様子見に来た乗客に銃を見せつける。
逃げ出した乗客を一人撃つと、それを見て逃げ出した他の乗客に銃口を向けていた。
一等席の車両にいたアンソニー、スペンサー、アレクにより妨害で銃が撃てず倒される。
最後はナイフでスペンサーを切り刻むも柔術で失神させられ、待機した警察に連行された。

感想

個人的な評価

本作は2015年8月21日に高速鉄道タリスで発生した『タリス銃乱射事件』が基になっている作品となります。
名実とともに今やハリウッドを代表する名監督のクリント・イーストウッドが監督を務めています。
クリント・イーストウッド監督の作品と、実際に起きたテロリスト事件を題材している時点で期待は自然と高まりました。
ただ、出演者のクレジットで事件を解決させた三人が本人役で出ていると知って一抹の不安が過ぎりました。
物語が始まると本人役で出る三人が当たり前ように演技をしていて、意外にもちゃんとやっているところに感心しました。
その中でも口達者なアンソニーは役者じゃないかと思えるほど自然体の演技で、少し不自然な二人よりも上手く感じられました。
本作はなぜ本人たちが出ているのか、その意味が分からなかったが、物語が進んでいくとようやく判明しました。
それは、本作がテロリストと戦った場面よりも、三人のどうでもいいエピソードが物語の大半を占めているからです。
まずは子供時代の回想があって、次に仕事をどうするのかの回想があって、残りの数分でやっと本題に入る感じになります。
つまり、本作はほとんどがドキュメンタリーのような構成で、映画としてのエンターテイメント性は非常に低いです。
結論として本作は映画として捉えるならば、どうしようもない退屈で面白味のない駄作と言っても過言じゃありません。
しかし、それを補うのは「クリント・イーストウッド監督」、「実話」、「本人が出演」という箔があって初めて価値が出てきます。
実話というのは外せないにしても、クリント・イーストウッド監督で本人じゃなくて役者が演じたらヒドイ有様になっていたと思います。
クリント・イーストウッド監督は敢えて本人たちを使ったのは、そこら辺が見えたからだと思いたいところです。
そうじゃないと、あれだけ評価されている映画監督となったクリント・イーストウッドにとって、本作は駄作中の駄作としか言えないからです。
確かにテロリストから乗客を救った三人の行動は素晴らしいが、別に彼らの人生など誰も興味がないと思います。
そこに劇的なドラマがあればいいのだが、ちょっと問題があるだけで映画的には面白味がないので、もしかするとエピソードを少し盛っている可能性がある。
とにかく、本作は期待値を上げすぎたせいで相当にガッカリさせられた作品となりました。