帰ってきたムッソリーニ RE-3273

作品紹介

公開年月  2019/09/20
ジャンル  コメディ
原作  なし
監督  ルカ・ミニエーロ
脚本  ニコラ・グアリャノーネ、ダニエル・カンポス・パヴォンチェッリ
製作  マルコ・コーエン、ベネデット・アビブ、ほか
製作国  イタリア
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1945年に死んだはずのイタリアの独裁者ムッソリーニがなぜか現代のローマで蘇った。
売れない映像作家のカナレッティは、彼を利用してドキュメンタリー映画を撮ろうと二人でイタリア全土を巡る旅に出かける。
彼をソックリさんだと思った市民との交流を重ねるうちに、いつしかネットで話題になってテレビ番組に出演する国民的な人気者になっていくだった。

登場人物&出演者

・ベニート・ムッソリーニ(演:マッシモ・ポポリツィオ)
主人公。イタリアの国家ファシスト党の総帥。1945年から2017年にタイムスリップした。
マッシモ・ポポリツィオは代表作に『ある貴婦人の恋』、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』などがあります。
当初は状況を理解できなかったが、キオスクのゲイカップルに助けれて現状を知った。
グローバル化した状況を見て、真のイタリア人を取り戻すべくカナレッティと旅をする。
時の人として人気を博していくが、レオナルディの策略で犬殺しで批判を買う事に。
最後はベッリーニと許しを乞う番組が成功し、カナレッティを退いて野望を展開する。

カナレッティ(演:フランク・マターノ)
売れない映像作家。イタリアの移民についてのドキュメンタリーを撮るも門前払いされる。
フランク・マターノは代表作に『Fuga di cervelli』、『Attenti al gorilla』があります。
偶然映っていたムッソリーニを発見して、彼のドキュメンタリーを撮る事で復活を遂げる。
ムッソリーニの強気な態度に触発され、望んでいた地位と女を手にして調子に乗っていく。
犬殺しで批判を買われると、暴走するムッソリーニを見限って前の女のところに転がる。
最後はムッソリーニが本物だと確信して訴えるが、警備員に止められて病院送りとなった。

フランチェスカ(演:エレオノーラ・ベルカミーノ)
テレビ局に所属する下っ端の社員。カナレッティとは気楽に会話して少し気を見せる。
エレオノーラ・ベルカミーノは本作が長編映画デビュー作となります。
弱腰だったカナレッティがムッソリーニに触発され、デートした事で一夜を共にした。
テレビ局で地位が上がったカナレッティに付いていき、ムッソリーニとも気楽に会話する。
認知症の祖母がいてカナレッティに対して、何度も初めましての挨拶をされていた。
最後は祖母の強い訴えでムッソリーニが来た時に虐殺の生き残りで彼らを追い出す事に。

カティア・ベッリーニ(演:ステファニア・ロッカ)
テレビ局の幹部社員。次期局長の座を手にすると、謙虚な態度から偉そうな態度に変わる。
ステファニア・ロッカは代表作に『ニルヴァーナ』、『HOTEL/ホテル』などがあります。
勢いがあって女性という立場を利用して、他の幹部社員を取り込んで企画を練っていた。
会議中にムッソリーニがやって来ると、真っ先に注目して彼の番組を用意してくれた。
犬殺しの映像で局長をクビになるが、ムッソリーニと結託して新たな番組で成功をする。
最後は帝国通りをオープンカーでムッソリーニと走り、彼の野望の片棒を担ぐ事になった。

ダニエル・レオナルディ(演:ジョエレ・ディックス)
テレビ局の副局長。カナレッティの持ってくるネタを毎度のように門前払いしている。
ジョエレ・ディックスは代表作に『Tracce di vita amorosa』、『Bene ma non benissimo』などがあります。
次期局長の座が確実だと思われたが、なぜかフランチェスカに奪われて副局長のまま。
カナレッティがムッソリーニのネタを持ってくるが、フランチェスカに横取りされていた。
犬殺しの映像を手に入れると、番組を使ってムッソリーニを引き下ろして局長に復帰する。
最後はムッソリーニを失った事でテレビ局の視聴率が回復せず、苦戦を強いられる事に。

感想

個人的な評価

本作は2015年公開の『帰ってきたヒトラー』の舞台をイタリアに置き換えたリメイクです。
この作品はイタリアのアカデミー賞『ダヴィッド・デイ・ドナッテロ賞2019』で脚色賞にノミネートされています。
『帰ってきたヒトラー』をそのままイタリア版にしているので、基本的な流れはまったく一緒に違いはほとんどありません。
多少はドイツとイタリアの国柄の違いを出していますが、骨組みは同じだから大きく変わる事はなかったです。
ただ、世界的に最も有名な悪人として知られるヒトラーに比べ、ムッソリーニは知名度や功罪に関して一歩劣ってしまう。
それがそのまま映画の状態にも反映されており、人間力が高いヒトラーと比べてムッソリーニはそこまで惹きつけるモノはなかった。
やはり、ドイツとイタリアでは根本的なところが違っていて、犯罪者であっても現代において求心力があるヒトラーの方がずっと強烈です。
そのせいもあって、本作は『帰ってきたヒトラー』よりも淡々とした感じで進み、今ひとつムッソリーニが持つカリスマ性が伝わらない。
どうしてもムッソリーニという存在に依存している感じで、演じているマッシモ・ポポリツィオから説得力が感じられません。
『帰ってきたヒトラー』ではヒトラーを演じたオリヴァー・マスッチの眼力と演技と比べても見劣りしていると思います。
どうしても二番煎じという事もあって、同じような展開だから新鮮味がなく、何よりヒトラーとムッソリーニでは圧倒的にカリスマ性が違っています。
多分、この感じだと独裁者シリーズとしてスターリンも作りそうだが、それはそれでちょっと観たいけど質は落ちるだろうなと思う。