七人の侍 RE-695

作品紹介

公開年月  1954/04/26
ジャンル  時代劇
原作  なし
監督  黒澤明
脚本  黒澤明、橋本忍、ほか
製作  本木莊次郎
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

戦国時代で麦の刈り入れが終わる頃、とある農村では野武士たちの襲来を前に村民たちは恐怖におののいていた。
百姓だけで闘っても勝ち目はないが、麦を盗られれば自分たちは確実に飢え死にしていまう。
なんとかして百姓たちは野武士から村を守る為に侍を雇う決断をし、食べるもままならない浪人たち七人を見つけ出す。
これで戦力が整った百姓たちは七人の侍たちとともに、麦を狙う野武士たちに対抗するべく立ち上がるのであった。

登場人物&出演者

島田勘兵衛(演:志村喬)
菊千代(演:三船敏郎)
岡本勝四郎(演:木村功)
片山五郎兵衛(演:稲葉義男)
七次郎(演:加東大介)
林田平八(演:千秋実)
久蔵(演:宮口精二)

感想

個人的な評価

当然ながら本作の主人公は百姓たちではなく、なんと言っても流れ者である七人の侍と言えますね。
その前に村人たちの中から果敢にも野武士たちと対抗しようと提案するのは利吉を演じるのは土屋嘉男です。
利吉は野武士たちに女房をさらわれた事で誰よりも強い恨みを持ち、ずっと耐えていた人物であった。
さて、一人目は五十に手が届く歴戦の武士だが、敗戦ばかりで現在は浪人の島田勘兵衛を演じるのは志村喬です。
豪農の子供を盗人から救った事で利吉たちに助けて欲しいと頼まれ、当初は乗る気にはならなかったが、百姓たちの苦痛を見て引き受ける。
戦略家で冷静なリーダーであるが、白髪が目立つ風貌で若い頃の夢も情熱が枯れかかっていて、どこかで静かな暮らしを望んでいる。
しかし、本作では実に頼れるリーダーであり、この人がいればなんとかなるという印象を与えるだけの説得力がありました。
二人目は静かで穏やかか、もの柔らかさの下に人を宥める力がある片山五郎兵衛を演じる稲葉義男です。
リーダーを務める勘兵衛の右腕的な存在であり、軍学は相当できる経験豊かな浪人である。
戦国時代の剣豪で兵法家である塚原卜伝をモデルにしていて、本作ではサブリーダーという立場を見事にこなしています。
三人目は勘兵衛の忠実なる家臣で何時でも影のように付き添って戦ってきた七郎次を演じるのは加東大介です。
最大の特徴は主人に従う者としての性格的に無私であり、過去に落ち武者となって竹槍で追われた経験があって憎しみは強い。
特に武器が必要という事で村の者たちが落ち武者を倒して持ってきた甲冑を見て怒りを見せる場面が印象的でした。
四人目は苦境の中でも深刻にならない愛想の良い浪人である林田平八を演じるのは千秋実です。
若く明るく柔軟で生まれつき人懐っこいが、武士としての腕前は中の下と五郎兵衛が評価している。
武士の腕としての腕は心もとないけど、その明るいキャラクターは他の者たちに希望を与えてくれるキャラクターでした。
五人目は修業の旅を続ける凄腕の剣客で無口、傲慢、冷徹、兵法の鬼である久蔵を演じるのは宮口精二です。
自分自身を非人間的な戒律で縛っている為にストイックであり、世の中で頼りになるのは自分の腕だと思っている。
剣客で兵法家として有名な宮本武蔵をモデルとしていて、本作ではあまりしゃべる事はないけど、黙っていても間が持つキャラクターとなっています。
六人目は育ちがいい裕福な郷土の末っ子で半人前の浪人である岡本勝四郎を演じるのは木村功です。
浪人になりたいと親に頼んでも許されない事で家を飛び出して旅をしている道中に勘兵衛たちに出会う。
野武士との対決は全てにおいて新しい経験ばかりで若々しい敏感な感情で受け取るというキャラクターである。
本作では葉百姓の娘である志乃との出会いでお互いに惹かれ合い、ロマンスという立場を演じています。
七人目は勘兵衛の強さに惹かれて勝手についてきた山犬のような男である菊千代を演じるのは三船敏郎です。
長大な刀を肩に担いで浪人のように振る舞っているが、勘兵衛にすぐ浪人ではないと見破られてしまう。
元々は百姓の出で戦災孤児だったようで、型破りで特別に血がたぎった熱い男で百姓と侍を結びつける仲介役でもある。
のちに「世界のミフネ」となるだけに七人の中で特に目立つ存在であり、ワイルドな役はやっぱり似合っています。
このように七人の侍はとても濃いキャラクターであり、ストーリーは単純ながら彼らだけでも充分だと言える。
白黒の映画だけど、まさかこんな時代ですでにキャラクター映画が存在しているとは思いませんでした。
オイラもこの映画で影響を受けてしまうかも知れないと思えるほど、邦画史に残る宝としか言えませんね。