パッセンジャー RE-2600

作品紹介

公開年月  2016/12/14
ジャンル  SF/アドベンチャー
原作  なし
監督  モルテン・ティルドゥム
脚本  ジョン・スペイツ
製作  ニール・H・モリッツ、スティーヴン・ハメル、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

近未来、豪華宇宙船“アヴァロン号”は5000人の乗客を乗せて地球を旅立ち、遠く離れた移住地に向かって航行していた。
120年間冬眠装置で眠り続ける乗客だったが、航行中のアクシデントが原因でエンジニアのジムだけが目覚めてしまう。
自分以外に誰も起きない事に気づいたジムは旅だってから30年しか経っておらず、他の乗客が目覚めるのは90年後だと知って絶望する。
それから1年が過ぎ、孤独に押し潰されそうになったジムは、目覚めたばかりの美しい女性オーロラと出会うのだった。

登場人物&出演者

ジム・プレストン(演:クリス・プラット)
主人公。技術者。予定していた120年後じゃなく30年後に冬眠ポッドから目覚める。
クリス・プラットは近年の出演作に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』、『マグニフィセント・セブン』などがあります。
当初は一人だけで戸惑うが、バーテンダーのアーサーに楽しむように言われて切り替える。
それでも孤独に押し潰されそうになり、ついにひと目惚れしたオーロラを目覚めさせる。
オーロラを楽しい日々を過ごすが、ついにウソがバレて拒絶されるようになって後悔する。
最後は船を修理する為に犠牲となるが、そもそもストーカーの英雄行為に共感できず。

オーロラ・レーン(演:ジェニファー・ローレンス)
ヒロイン。作家。ジムが目覚めてから1年と3週間で彼によって身勝手に目覚める事に。
ジェニファー・ローレンスは近年の出演作に『X-MEN:アポカリプス』、『ジョイ』がある。
当初はジムと同じく事実を受け入れなかったが、気持ちに整理をつけて切り替える。
本来の作家としての行動に目覚めて、1年以上も孤独だったジムに取材を申し込んだ。
ジムの愚行を知って彼を殺人者のように見て、甲板長のガスにもヒステリーに訴えました。
最後はジムの自己犠牲を目の前にして、殺人者でも一緒にいたい強引な展開になった。

アーサー(演:マイケル・シーン)
バーテンダーアンドロイド。上半身は人間で下半身は機械。感情は持ち合わせていない。
マイケル・シーンは近年の出演作に『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』、『アドミッション/親たちの入学試験』などがあります。
一人だけ目覚めた事に困惑するジムにプログラム通りの対応しかできずに失望させる。
ジムの良き話し相手になっていたが、一方的に機械と言われて頼りにされていない。
船の故障で暴走していたところで、ジムの判断で制御チップを外されて止まる。
ジムとオーロラによって修理されて、再びバーテンダーとして二人を出迎える事に。

ガス・マンキューゾ(演:ローレンス・フィッシュバーン)
甲板長。ジムが目覚めてから2年後、複雑なシステムエラーが発生して目覚める。
ローレンス・フィッシュバーンは近年の出演作に『ジョン・ウィック:チャプター2』、『バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生』などがあります。
ジムとオーロラの存在を知って、すぐに船の故障について調べていくが体調が悪化する。
アヴァロン号が航行できない状態になり修復を考えるが、すでに体は蝕まれていた。
最後はジムとオーロラに船の修理を頼んで、甲板長として制服姿で息を引き取る。

感想

個人的な評価

本作はノルウェー出身のモルテン・ティルドゥムが監督を務めた作品です。
モルテン・ティルドゥム監督は元々、ミュージックビデオやコマーシャルで活躍しました。
本作が長編映画として五作目となり、英語作品として『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』が一作目となります。
他の惑星への移住計画というのはあるけど、これに関してはまだまだ遠い未来の話しです。
本作はそんな惑星への移住計画を最新の映像技術を使って表現している作品となります。
物語の前半はほとんどジムの孤独な毎日、オーロラが目覚めてからのロマンスが占めます。
両者ともに偶発的に目覚めたならばロマンスは心から楽しめるが、本作の場合だとジムの身勝手さから起こしてしまった愚行です。
最大の問題が主人公が片想いしていた女性を身勝手な思いから目覚めさせた点だろう。
途中までウソを通そうとして自分の心だけを満たそうとして、ひと目惚れした女を勝手に目覚めさせる時点で殺人と変わらない。
悩む時間よりも一緒にいたいという欲望の方が大きく、それに対する罪悪感も少なかった。
それでようやくオーロラが事故じゃなく、故意で目覚めさせられて人生を潰された事でショックを受けてヒステリーを起こします。
この流れはしょうがないにしても、彼女自身は地球との人生を捨てているので、そこまで悲観的になる意味が分かりません。
そもそも、オーロラは作家という職業なので、彼女は記事を書いて後世の人間に物語を残すという技術を持っています。
これが恋愛体質の依存症ならばヒステリーの意味が分かるけど、物書きならば状況を冷静に見て、自分にできる事を着実にやっていくと思います。
ジムはオーロラを目覚めさせた大罪は他の乗客やクルーを助ける事で一応は払拭している。
しかし、なぜかオーロラが自己犠牲を選んだジムに心を許した展開は納得できなかった。
あれだけヒステリーに自分の人生を台無しにした男に付いて行く心理が今一つ説得力に欠けていると感じました。
だったら最初からオーロラが冷静になって物書きとして目覚めた事を受け止めて、ジムと一緒に船の中で残りの人生を歩むべきでした。
物語として大きく動くのにオーロラのヒステリーが必要だったが、それは個人的にもの凄く納得のできる展開ではなかったです。
ここで思った点として、もし、主人公がブサイクだったらどうなっていたのだろうか。
クリス・プラットが主人公を演じているので、二枚目だしスタイルだって抜群です。
だが、ブサイクでデブで性格が悪いヤツが主人公で、ジェニファー・ローレンスのような美女を勝手に目覚めさせたらどうなるのか。
本作では強引すぎるハッピーエンドになったが、上記の主人公だったらどうなっていたのか。
これがロマンスではなく、単純なストーカーと被害者のホラー映画になっていたと思う。
なぜ主人公とヒロインをそのような設定にしたのか分からないけど、もっと素直に描いてくれれば楽しめただけに残念でした。