パッドマン/5億人の女性を救った男 RE-3045

作品紹介

公開年月  2018/02/09
ジャンル  ヒューマンドラマ/伝記
原作  トゥインクル・カンナー 『ザ・レジェンド・オブ・ラクシュミ・プラサード』
監督  R・バールキ
脚本  R・バールキ、スワナンド・キルキレ
製作  トゥインクル・カンナー
製作国  インド
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

インドの小さな村で新婚生活を送るラクシュミは、妻が高価な生理用ナプキンを買えずに苦労している事を知り、自ら清潔で安価なナプキン作りに乗り出す。
しかし、男性が生理について語る事自体がはばかれるインドで、ナプキンの研究に勤しむラクシュミは村から追い出されてしまう。
それでもラクシュミは研究に対する情熱を失わず、ナプキン作りに邁進するのだった。

登場人物&出演者

ラクシュミ(演:アクシャイ・クマール)
主人公。共同経営する修理工。修理の腕は他の人が10日なら、彼の修理は10年も持たせる。
アクシャイ・クマールは代表作に『ブラインド・ミッション』、『ガッバル再び』がある。
常に妻であるガヤトリを第一に考えていて、彼女の為ならなんでもやる覚悟を持っている。
インドでは生理に関してタブーだが、ガヤトリの健康を心配してナプキンの開発をする。
村から出てナプキン作りの旅に出ると、パリーとの出会いでビジネスとして成功させる事に。
最後は村へ帰ると英雄として歓迎され、ガヤトリとヨリを戻してビジネスを続けていく。

ガヤトリ(演:ラーディカー・アープテー)
ラクシュミの妻。ラクシュミと幸せな生活を送る。伝統的なインドの風習を大切にする。
ラーディカー・アープテーは代表作に『復讐の町』、『慕情のアンソロジー』があります。
生理中は5日間も外にいるが、それを心配するラクシュミに「恥」として避けていた。
それでも懸命にナプキンの開発するラクシュミに協力するが、結局は失敗して大恥を掻く。
父親によって強制的に実家へ帰らせ離婚届まで書くが、ラクシュミの頑張りを知る。
最後は村へ帰ってきたラクシュミとヨリを戻し、女性の為に働く彼の傍で支える事になる。

パリー・ワリア(演:ソーナム・カプール)
著名なタブラ奏者。地方公演でナプキンがなくなり、偶然にもラクシュミから手に入れる。
ソーナム・カプールは代表作に『ミルカ』、『プレーム兄貴、お城へ行く』などがあります。
翌日訪れて感想を聞いてきたラクシュミに興味を持ち、彼の発明は偉大として褒めていた。
ラクシュミの作った機械に可能性を感じ、工科大のの発明コンペで大賞を受賞させる。
ビジネスパートナーとして各地を周り、いつしか個人的な感情が湧いてラクシュミに接近。
最後はラクシュミが彼である為に身を引いて、イギリスで彼の活躍を知って笑顔を浮かべた。

バブルー(演:ヨゲシュ・シュレクタント・パンデー)
ラクシュミの村で精肉店を経営する。季節に左右される為に売り上げの悪さを嘆いている。
ヨゲシュ・シュレクタント・パンデーは本作が長編映画デビュー作となります。
薬局でナプキンを買おうとしたラクシュミに、通りがかりの時に15ルピーを貸していた。
ナプキン開発に勤しんでいたラクシュミを応援する数少ない理解者として見守っていた。
自分自身でナプキンを試すべく、本物の血が必要になって動物の血をラクシュミに渡した。
最後はガヤトリにラクシュミの電話番号を教えて、復縁させるきっかけを作ってくれた。

サーヴィトリ(演:ウルミラ・マハンタ)
ラクシュミがナプキン作りをしていた村の女性。家が貧乏で夫の酒癖と暴力に悩んでいた。
ウルミラ・マハンタは代表作に『事件番号18/9』、『マンジー山の男』などがあります。
なんとか助けようとパリーが介入し、仕事がないとしてラクシュミはナプキン作りを教えた。
最後はラクシュミのおかげで仕事ができて、今までなかった収入を得て安定した生活を送る。

ラクシュミの母(演:ジョーティ・スバーシュ)
インドの古い風習を第一に考える典型的なインド女性。女性のタブーには特に厳しい。
ジョーティ・スバーシュは代表作に『ファンドリー』、『君と一緒にいたくて』があります。
ラクシュミがナプキンを作っている事に「恥」を感じて、ヒステリックになってしまう。
知り合いの若い娘にナプキンを渡したラクシュミを蔑んで村を出て行こうとしていた。
最後はラクシュミが世界に認められると、ようやく彼を許して温かく家へ迎え入れる事に。

テジャス・ワリア(演:スニール・シンハ)
パリーの父親。デリー工科大の教授。シーク教徒。その為にターバンを常に巻いている。
スニール・シンハは代表作に『ルダーリー』、『Maroon』などがあります。
インドの古い風習よりも西洋的な影響を受けている為、ラクシュミの研究を理解する。
パリーを男手一つで育てて上げている為、女性について良く理解してタブーを無視する。
デリー工科大での発明コンペにラクシュミを出場させ、大賞を受賞して知られるようになる。
最後はラクシュミを諦めたパリーに理由を聞くと、納得する答えを得て彼女と同じく諦めた。

感想

個人的な評価

本作はトゥインクル・カンナーの短編小説集の一編を基に作られています。
この作品ではテーマ自体がタブーに触れている為、クウェートやパキスタンでは上映禁止になっています。
主人公であるラクシュミのモデルとなる実在するアルナーチャラム・ムルガナダムです。
彼はインドにて低価格で衛生的な生理用ナプキンを発明した実話として描かれている。
インドでは未だに古い風習が根強く残っていて、特に本作の主人公であるラクシュミの村では口にする事すらタブーとされています。
この物語は昔の出来事ではなく、2001年を舞台にしているので、最近と言えば最近の話しとなっています。
当時のインドでは生理用ナプキンは全体の12%しか使用しておらず、ほとんどの女性は不衛生な布を使っていました。
更に生理期間中は誰とも接触を許さず、インドの女性は5日間も外で孤独に痛みと出血に耐えるしかなかったのです。
そのせいで生涯に換算すると2ヶ月半も何もできない日にちを過ごさないといけなかった。
生理用ナプキンは売っていても非常に高価でほとんどインド女性は買えず、病気と古い風習に耐えるしかなかったのです。
そこでラクシュミは古い風習など関係なく、単純に苦しんでいる妻を救いたいという考えだけでナプキン開発を始めていく。
当然ながら男性であるラクシュミの行動はみんなから非難され、妻からも「恥」として結果的に離婚まで突き付けられる。
それでもラクシュミは走る事を止めず、その道中で出会った先進的な女性のパリーによって運命が大きく変わっていきます。
本作では低価格の生理用ナプキンを作りだけじゃなく、インドにあるタブーに触れて打ち破る革新的な事までやっている。
確かに今のインドは大国に発展しようとしているが、実際は本作のような古い風習に縛られる部分も残っています。
これを取り上げた上で孤独に戦っていた男の信念があって、それは最初から最後まで変わらないところに凄さを感じさせてくれる。
古い風習は大切であるけど、いつまでも守っていたら進めない事を本作は強く訴えている。
やはり、こういう作品を作らせるインドは根っからの映画大国であり、エンターテイメントとヒューマンドラマをよく分かっていると感じさせる作品でした。