作品紹介
公開年月 | 2016/12/02 |
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ジャンル | ドラマ/伝記 |
原作 | ジャクリーン・ケネディ 『大統領暗殺から葬儀までの4日間』 |
監督 | パブロ・ラライン |
脚本 | ノア・オッペンハイム |
製作 | ダーレン・アロノフスキー、スコット・フランクリン、ほか |
製作国 | アメリカ、チリ、フランス |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ大統領がテキサス州ダラスでのパレード中に狙撃され、命を落としてしまう。
悲しみに暮れるファーストレディのジャッキーを待っていたのは、新大統領に就任するジョンソン副大統領への引き継ぎや葬儀の準備、更には幼い子供たちへの説明であった。
そんな中、夫が後々まで決して忘れ去られる事にない厳かで立派な国葬をジャッキーは執り行うと心に誓うのであった。
登場人物&出演者
・ジャッキー/ジャクリーン・ケネディ(演:ナタリー・ポートマン)
主人公。ファーストレディ。夫で大統領を暗殺で亡くし、その後について自宅で語る事に。
ナタリー・ポートマンは近年の出演作に『プラネタリウム』、『ジェーン』などがあります。
当初はジョン・F・ケネディの添え物だと思われたが、彼の国葬準備で一気に評価を上げる。
夫が暗殺されて取り乱しているように見えて、実は強かな計算を働かせる一面をみせる。
最初は夫を歴史に名を刻む大統領としてプロデュースするが、途中から考えが二転三転する。
最後は自分の取り仕切った国葬が成功して、夫が歴史に名を刻んだとして満足感を得た。
・ボビー/ロバート・F・ケネディ(演:ピーター・サースガード)
ジョン・F・ケネディ大統領の実弟で司法長官を務めている。ジャッキーを一番心配する。
ピーター・サースガードは近年の出演作に『マグニフィセント・セブン』、『アイヒマンの後継者/ミルグラム博士の恐るべき告発』などがあります。
暗殺された兄の妻であるジャッキーの傍にいて、取り乱しそうな彼女をサポートした。
派手な国葬をやろうとするジャッキーに賛同せず、彼女や子供たちの安全を第一に考えた。
最後は考え方の食い違いによりジャッキーと袂を分かつ事になってしまう。
・ナンシー・タッカーマン(演:グレタ・ガーウィグ)
ジャッキーの親友。夫を亡くしたジャッキーの傍にいて彼女を励まし、助言を与えていた。
グレタ・ガーウィグは代表作に『ハンナだけど、生きていく!』、『ミストレス・アメリカ』などがあります。
テレビ取材を受ける際にはジャッキーが一番頼る人物となって彼女にアドバイスを送った。
何かと不安を募らせて情緒不安定となっていたジャッキーの傍にいて励まし続けた。
例え、ジャッキーがファーストレディじゃなくなっても付いて行くと召使い宣言をした。
・ジャーナリスト(演:ビリー・クラダップ)
国葬が終わって落ち着いたジャッキーに取材をした。あくまで彼女主導の記事を約束した。
ビリー・クラダップは代表作に『あの頃ペニー・レインと』、『ウォッチメン』があります。
聞きにくい事もズバズバと質問していくが、元記者だったジャッキーが一枚上手だった。
当初は記者として真実を聞こうとしたが、徐々にジャッキーの話しに取り込まれる。
最後には書いた原稿をジャッキーがチェックしている時、彼女を国の“母”だと認めていた。
・神父(演:ジョン・ハート)
国葬を終えたジャッキーが相談をした人物。あくまで神に仕える立場から話しを聞いていた。
ジョン・ハートは近年の出演作に『ヘラクレス』、『ドクターの日』などがあります。
何かと感情的になっていたジャッキーを諭し、生きているという事に意味があると語った。
感想
個人的な評価
本作は最近話題になったジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関連する作品です。
第73回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、金獅子賞にあと一歩で受賞できなかったようです。
本作は実際に起きたジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を振り返った伝記ドラマである。
伝記映画というのは物語が淡々と展開していき、すでに結末が決まっているので大きな出来事はそこまでありません。
あくまで本作はあった出来事を流していて、そこに映画的な面白さを加えるのは難しい。
真実を受け止めて映画にして裏側を描く点で、大統領暗殺事件に興味がある人ならそれなりに楽しめる作品かもしれない。
しかし、大統領暗殺事件に対して思い入れもなければ、ジャッキーという人間に興味がないと本作はずっと退屈です。
そこでアカデミー女優であるナタリー・ポートマンという演技力の塊がフォローします。
とにかく、本作は最初から最後までナタリー・ポートマンの演じるジャッキーが物語を引っ張っていました。
どうにも本作からは「私が演じているジャッキー」というナタリー・ポートマンの強すぎる主張しか伝わってこなかったです。
あとはジャッキーという女性はそれまで世間知らずだと小バカにされていたが、強力な後ろ盾だった夫がいなくなって本来のプロデュース能力を開花させた。
リンカーンに並ぶ偉大な大統領として歴史に名を残したジョン・F・ケネディをヒーローに仕立てのがジャッキーだと分かります。
夫を亡くした不安定な状況、将来を見据えた時に絶望感、それに今までの生活は大変だったと自ら悲劇のヒロインとして本作で独壇場を作っています。
個人的にはジャッキーのヒステリックさで振り回される周囲の方々が大変だったと感じます。
それでも彼女には愛する夫よりも、歴史に残る大統領として名を残すべき強い使命感で国葬を実現させたプロデューサーとしての能力が素晴らしいと思いました。
作品としては伝記ドラマなので抑揚が少なく、ジャッキーを演じたナタリー・ポートマンの力強い演技力のみが面白い部分となります。
つまり、本作は映画として面白いワケじゃなく、ジャッキー以外は添え物程度で、どれだけ彼女の強さを魅せるかが本作の肝である。
歴史を知る意味では本作の存在は大きいが、映画という意味では退屈にしか感じられません。